KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

ベルリン・天使の疾走~世界選手権雑感 vol.8

2009年09月25日 | 五輪&世界選手権
更新をサボっているうちに、世界選手権が終わって1ヶ月経ってしまった。この間に与野党が逆転して、総理大臣が代わり、それとは直接関係ないが僕の生活も変わった。

いささかネタが古くなってしまったが、これにケリをつけないと次に進めないのでお付き合いください。

昨年の北京で、日本女子マラソンの五輪での連続メダル獲得が途絶えてしまった。エース野口みずきの故障欠場、土佐礼子も故障を抱えての出走で途中棄権。
「日本女子マラソンの崩壊」
と謳うメディアもあった。追い討ちを掛けるように、国民的ヒロイン高橋“Qちゃん”尚子やベテラン弘山晴美の引退もあった。

しかしながら、一般のメディアはほとんど取り上げなかったが、昨年から今年にかけての日本女子マラソンは「新人の大豊作」だったのである。北京で日本勢唯一の完走者となった中村友梨香は、選考レースであった昨年の名古屋国際女子マラソンで初マラソン初優勝で代表の座を掴んだし、五輪直後の北海道を制したのは、当時19歳で初マラソンだった佐伯由香里だった。2人とも今回の世界選手権ではトラックで代表入りを果たしたのは先述の通り。秋の東京国際女子マラソンで優勝したのは名古屋で中村に次いでゴールした尾崎好美。これが2度目のマラソンだった。年が明けて大阪国際女子マラソンで8年ぶりに優勝した渋井陽子に次いでゴールしたのは、渋井と共に北京のトラック代表となった初マラソンの赤羽有紀子。そして名古屋は、10年前に世界選手権に出場した「スーパー高校生」藤永佳子が初マラソン初優勝を果たしたのである。

さらに、選考レースではなかったが、3月の東京マラソンで女子のトップとなったのは、4年ぶり3度目のマラソン出場となった那須川瑞穂で2位が佐伯、とマラソン歴の浅いランナーたちが大活躍だったのである。

全盛期のQちゃんや好調時の野口らに比べると、確かに力不足かもしれないが、代表のうち3人がトラックで日本代表を経験しているし、東京で尾崎に次いで2位でゴールした加納由理も尾崎ともども10000mのベストは32分を切っている。もはや、10000mで32分を切って、A標準記録を出せないとマラソンの代表にはなれないであろうと思う。実際、赤羽は今年の10000mの日本選手権者である。
(Qちゃんも野口も、世界選手権にトラックで出場している事は、覚えているよね?)

実績面では申し分ない。尾崎の東京での優勝タイム2時間23分30秒は、昨年の世界ランキングで9位、加納のタイムは11位に入っている。さらに、今年は北京五輪のメダリストが不調だった。4月のロンドンで金メダリストのコンスタンティナ・ディタは棄権、銀メダルのキャサリン・ヌデレバも7位。この2人は今回欠場していた。男子で2時間4分台が2人も出たロッテルダムも、女子のトップはナイリア・ユラマノワが26分台で、短絡的に
「世界の女子マラソンのトップは層が薄い。」
という印象を持っていたのだ。さらに今年のロンドンを制した「現在世界最強」のイリーナ・ミキテンコに、昨年の北京で6位に入賞し、今回も日本勢の「良きライバル」になりそうだった、日本在住の英国代表、マーラ・ヤマウチも欠場、英国といえば、世界最速のポーラ・ラドクリフも欠場とあっては、今回、日本は
「メダルを獲って当たり前」
だと思っていた。それは、エース格の渋井が欠場を表明しても変わらなかった。(それにしても、三井住友海上の関係者は・・・言いたくはないけど同じ失敗を繰り返して欲しくなかった。渋井の欠点は、今の男子のトップと共通する。2度続けて結果を出せないのだ。)

渋井の欠場で日本のエース格としてメディアに多く登場していたのは赤羽だった。出産後に強くなったランナーとして、愛娘を帯同してのトレーニング光景が何度も紹介されていた。それもいいけど、僕自身は、彼女が加納や藤永と同様に、
「全日本大学女子駅伝の優勝メンバーから、マラソン日本代表入りしたランナー」であることも強調して欲しいと思っていたが、それはやはり無理だったかもしれない。「世界陸上」の独占中継をしている局が主催し、中継している大会ではないからだ。

新たな日本のマラソン・ヒロインの誕生が待望されるレースのスタートライン。おなじみのリディア・シモンが見える。中国は今回銅メダリストの周春秀を出してきた。ロンドンでは加納の後塵を浴びていたので僕は評価を下げていた。むしろ、2年前の世界選手権、10000mで銅メダルを獲得したカラ・ガウチャーに注目していた。彼女のコーチは、アルベルト・サラザール。僕と同世代のマラソン好きなら、その名前を口にするだけでワクワクしてくるはずだ。

男子と違って、ゆっくりとしたペースでレースが始まった。ラドクリフやディタのようなフロントランナーがいないせいか。その辺りは10000mと同様の展開になりそうだ。

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