KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

ロンドン世界陸上雑感・20年目の「このあとすぐ!」~vol.1いきなり男女マラソン

2017年08月06日 | 五輪&世界選手権
久しぶりのブログ更新である。世界陸上開幕ということで、それなりにふさわしいタイミングかと思うが、今回は少々困惑している。

僕にとっての「メインイベント」であるマラソンが、大会3日目に男女同日実施となったのである。実は、20年前に初めてTBSが独占中継権を得たアテネ大会においても、当初は男女同日スタートの予定を別開催にしたという経緯がある。誰の要請でそうなったかと言えば、中継を担当するTBSである。先に女子を実施し、翌日に男子を実施したが女子は鈴木博美が金メダルを獲得したのに。男子は5人エントリーして全員入賞圏外の惨敗。以後の大会では、それまでの慣例を破って男子のマラソンを先に実施し、女子が「トリ」を務めるようになった。2005年のヘルシンキ以外は、男子の順位を女子が上回ったのであるから、テレビ局にも女子マラソンが「トリ」という意識があったに違いない。

しかしながら、今回はマラソン同日開催。アジア大会ではこれまでにもあったが、世界選手権では初めて。交通規制等や経費の問題でこうなったというのは分かるが、大会最終日ではなく、3日目というのが何というか。紅白歌合戦で、9時半頃に北島サブちゃんが出てきて、「まつり」を歌うようなものではないかと思うのは僕だけか?多分僕だけだろう。

もはや、マラソンというのは五輪において、3大会連続して男女ともにメダルを獲得していない競技である。注目度もかつての比ではない。だいたい、今回の代表選手6人を全員言える人が何人いるのだ。主役は完全に「リレー侍」である。

そんなマラソンだが、今回は実に楽しみなメンバーが揃った。(マラソンはいつでも、楽しみである。)男子は、「今、最も有名なマラソンランナー」川内優輝にロンドン五輪6位、モスクワ世界陸上5位の中本健太郎、そして、若手のホープ井上大仁。少なくとも、2009年のベルリン大会以降では五輪も含めて最強のメンツではないかと僕は思っている。経験と実績十分なベテランと2度目のマラソンでブレイクした若手。

「3年後の東京を見据えたような選考をすべきだった。」

という意見も代表発表当時目にしたが、意味不明である。選考レースで最もいい成績を残した者が代表に選ばれるのが当たり前のことだ。野球やサッカーのようなチームプレーのスポーツでもない競技で、代表選出に「サプライズ」があっていいわけではない。

「近年最強」と言いたくなるのは、3人とも選考レースでの内容が良かったからだ。川内と中本、本来なら去年のリオ五輪に出ていなくてはいけなかった2人が久しぶりに快走した。特に、別大毎日での中本は素晴らしかった。川内は選考レースの福岡よりも、我が地元の愛媛マラソンでのサブスリーのインパクトが強烈だった。かつては、彼が地方の市民マラソンでコースレコードを次々と更新していく、「道場破り」のようなマラソン出場を冷ややかに見ていたが、ここまでやられてしまったらもう、

「恐れ入りました。」

と頭を下げるしかない。

そして、MHPS長崎(旧名三菱重工長崎)マラソン部入部3年目の井上大仁。ウィルソン・キプサングが2時間3分58秒で優勝した今年の東京マラソンで日本人最高の8位でゴールしたランナー。タイムはキプサングと比べて4分24秒遅れではあるが、ようやく、「平成生まれのマラソンのエース」が誕生した。(リオ五輪代表の3人は全員昭和生まれだった。)

山梨学院大時代はキャプテンを務め、ケニアの留学生が故障欠場した年に、シード権を獲得している。山梨学院大というと、ケニア人留学生ばかりが注目されるが、世界陸上のマラソン代表はこれで4人目になる。今年のニューイヤー駅伝でも、エース区間である5区で、今井正人と神野大地という新旧「山の神」に後塵を浴びせた走りで注目していたが、期待以上の走りを見せてくれた。

ロンドンの夏は涼しい。男女の10000mが凄まじい高速レースとなったように、マラソンも高速レースとなる可能性もある。ケネニサ・べケレやキプサングはベルリンマラソンに「抜かれた」が、今年のロンドンでケネニサに勝ったダニエル・ワンジルが出てくるのだ。優勝タイムが2時間4~5分という展開もありえよう。それこそ、今年の東京のようなレースになるかもしれない。日本勢はどうしても、先頭に付かずに後方から「拾ってくる」展開になるだろうが、井上には、果敢なチャレンジを期待したい。10000mのベストをこの春に更新しているくらいで、高速レースを想定した準備をしているようだ。何と言っても、MHPS(ようやくこの名称に慣れてきた。)、正式名称が「マラソン部」だけに、「マラソンをよく知っている」ランナーを何人も出している。去年の北海道マラソンに優勝した木滑良も見事だったし、井上の大学の先輩である松村康平もアジア大会で銀メダルの実績を持っている。

(話はずれるが2014年のアジア大会銀メダルの松村を翌年の北京世界陸上代表にしても良かったのにと、未だに残念に思っている。)

久しぶりに、国際大会での日本男子の快走を見たいものである。

女子については、項を改めよう。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 二ヶ月遅れのニューイヤー駅... | トップ | ロンドン世界陸上雑感・20年... »

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
男女の1万m決勝のレース展開から見ると… (がじゃっち@沖縄)
2017-08-06 16:07:34
'09年ベルリン大会以来の「2時間06分台決着」となるのでしょうか…⁉️個人的にはやはり「NAHAマラソン歴代優勝者」の1人である川内優輝選手(埼玉県庁)に期待したいですね‼️中本健太郎選手(安川電機)には「五輪・世界選手権入賞経験者」として川内選手には負けない気概を,「大迫世代」初のマラソン世界選手権代表となった井上大仁選手(MHPS)には東京マラソンで魅せた様な「確実性」に期待したいですね‼️誰かがメダル獲得…となれば一番良いんですが,現実的には「複数の入賞者輩出」に期待したいですね‼️
返信する

コメントを投稿

五輪&世界選手権」カテゴリの最新記事