亀の啓示

18禁漫画イラスト小説多数、大人のラブコメです。

とにかくイチャイチャハロウィン小説版(48)

2018-02-19 00:04:32 | とにかくイチャイチャハロウィン小説版
亮が帰宅したのは
仕事が終わった当日の夜のことだ。
場所から考えると、もう一泊してから
翌日を移動日としてもいいくらいの
距離があるが、飛行機をすれすれで乗り継ぎ
その日の内に帰ってきた。

「亮ぅ。おかえり。」

美月はベッドに横になり
ベビーベッドをすぐそばに移動させていた。

「どうしたんだ?具合悪いの?!」

スーツケースを放り出して駆け寄る亮。
美月は起き上がって亮に抱きつく。

「ごめん。なんか熱上がっちゃって。」

「疲れが出たのかな。」

亮は黙って美月を抱いている。
こんなとき、亮は口数が減るのだが
負担になるだろうインプットアウトプットを
強要しないのだ。触れて、いたわってくれる。

「あれ?の、割に家の中キチンとしてる。」

「ヘルパーさんがふたりいるの。」

「あ、トオルオカエリ。」

台所からアルファが出てきた。

「今夜はトマトシチューだよ。」

「お前が?」

「ウン。ミヅキにオソワッタ。」

バスルームからはベータが戻ってきた。

「ワタル、スグル、オフロデキタヨ。」

「ベータもか。」

亮を見つけてベータも嬉しそうな顔をした。

「じゃあ、パパにオフロタノモウ。」

亮は断る理由もなく、バスルームに
直行した。











「美雪ちゃんがプレゼントしてくれたの。
すごい有能よ。このシッターさんたちは。」

「ふうん。」

美月は今までのいきさつを亮に話して
聞かせていた。少しばつが悪かったが
自分が苛ついて至らない母親だったことも
包み隠さずに亮に聞いてもらったのだ。

亮は多少落ち込んだ。
育児で大変な美月を少しでも助けたくて
一年以上前から根回しして育休を取った。
役に立っていなかったってことだよね。

「亮。うれしい。帰ってくるの、明日だと
思ってたから。会えてうれしいよ。」

「ごめん。肝心なときに役に立てなくて。」

「亮はちゃんと、あの子達のパパで
いてくれてるじゃない。」

「そして、あたしの夫。」

二人はまだ夜の営みを再開していなかった。
夜に、ゆっくり夫婦で愛し合おうなどと
そんな余裕はとてもじゃないが持てなかった。

渉と卓は今までにないほど、深い眠りに
落ちている。寝息が規則正しく、深い。

「最近、あたしが精神的に不安定で。
それが子どもたちも不安にしてたの。」

生後2ヶ月は、個人差はあれど
夜に安定して連続した睡眠を取れるように
なる時期なのである。

「ねえ。美月。いい?」

「うれしい。淋しかったの。来て。」

「愛してるよ。美月。」















渉と卓は夜中に一度起きてミルクを飲んだが
夜を通してよく眠ってくれた。

朝、昨日の残りのトマトシチューを
温めているとアルファの声がする。

「ミヅキ、オハヨオハヨ!」

小さな翼の音、高い幼児の声。

「ボクタチ、モトニモドッタヨ。」

コウモリ兄弟は元の姿で可愛らしく
美月のところに飛んできた。

「残念だなあ。もう少しヘルパーさんたち
には活躍してほしかったんだけど。」

美月はウインクして続けた。

「でも、この可愛いコウモリくんたちにも
会いたかったよ。もちろん。」

コウモリ兄弟は美月の肩でキューキューと
甘えて鳴いた。

「お、二人とも戻ったな。」

「トオルオハヨオハヨ!」

「ボクタチ、モトニモドッタヨ。」

「可愛いな。俺のいない間、よくやって
くれたんだな。ありがとう。」

アルファとベータは亮の肩に飛び移り
同じように首元にくっついて甘えた。