亀の啓示

18禁漫画イラスト小説多数、大人のラブコメです。

とにかくイチャイチャハロウィン小説版(45)

2018-02-16 06:15:49 | とにかくイチャイチャハロウィン小説版
「うふふ。るー1号。」

美月は隣に座る亮の頬にキスする。

「ん~ん。るー2号。」

美月はベビーベッドに横たわる
長男、渉の頬にキスする。

「うふんっ。るー、3号。」

美月は渉の隣で足をバタバタさせている
次男、卓の頬にキスする。

「あーんっ!しあわせっ!」

美月は退院してからというもの
1日1回はこうして家族四人で
揃ってこの儀式をする。
まあ、楽しんでんのは美月だけだが。

「しあわせだ。」

亮は美月と子どもたちが退院してきてから
美月に堂々とキス出来るのが幸せだ。
個室だったので、病室でもやっていたが
なかなか落ち着いてディープキスなんか
出来るものではなかった。当たり前だが。

それから、夫婦の気がかりは
赤ん坊が夫婦のイチャイチャを
どれだけスルーしてくれるのか
だったりする。
病室では隙を見て、美月の乳房に
手を伸ばした亮だったのだが
必ず、子どもたちが泣くのである。
必ず、である。

変な話だが、美月が触れられで
感じていると泣き方が違うのだ。
抗議しているかのような、怒りの色さえ
感じさせるような、激しい泣き。
表情にも怒りが滲んでいる気がする。

「イチャイチャは許さない構えだろ。」

亮は絶対そうだと思うのだが。

「放っとかれる気がするから
嫌がるだけじゃない?」

美月はそこまで考えていない。

「んふふ。君たちのことも
お父さんとおんなじくらい。愛してるよ。」

赤ん坊のふわふわほっぺにキスする美月。
まだ、笑った表情までしないのだが
なんか嬉しそうなのは手足の動きでわかる。

「くそ。かわいいよお前ら。」

亮も子どもたちのほっぺにチューだ。

美月がするより反応は良くないが
ご機嫌そうにしてくれる。

夫婦は多少イチャイチャを諦めても
赤ちゃんたちにメロメロである。

でも、亮はちょっと寂しい。






夜は二時間おきに起きてミルクを欲する。

「これ、ヴァンパイアの血が濃いと
もう少しいっぺんにたくさん飲んで
夜も寝てくれるらしいよ。」

子どもたちはだいたい人間とのハーフ
くらいの特性をもっていて、夜泣きは
激しくないがミルクを飲む回数が多い。

母乳には母乳にしかない免疫物質やら
赤ちゃんに必要な成分が含まれるが
双子がいっぺんに満腹になるほどの
量はなかなか出せない。
美月が自分の乳房を吸わせている間に
横のテーブルに手を伸ばしつつ
ポットからミルクを作る。

大概、亮も夜に起きていて
仕事をしているから、手が空けば
ミルク作りも手伝う。オムツも代えるし、
抱っこで寝かしつけもする。

基本、亮は育休中と宣言していて
仕事をネットの取引に移行させたのだが
直接出向いて会議に出たり、打ち合わせを
しなければならないこともある。
週一回か二回だが生活が赤ちゃん中心に
なってから夜がキツくなってきたのだ。

「亮はもう休んでいいよ?」

「美月こそ。」

「あたしはこの子達と一緒に寝るもん。」

「そう、か。じゃあ、明日出掛けるから
申し訳ないけど。」

亮は、育休とか堂々と言ったわりに
ろくなこと出来てないなと落ち込む。

「亮は家のことほとんどやってくれるもん。
すごく助かってるよ。」

「なら、いいけど。」

どうしても、モヤモヤとしたものが残る。










「タダイマタダイマ!」

「アカチャンアカチャン!!」

コウモリ兄弟アルファとベータである。

彼らは長内家にペットとして飼われている。
役所に登録してある公式のコウモリなのだが
その家に赤ちゃんが生まれると
義務として赤ちゃんと一緒に暮らす
ノウハウを教わる講習を受けることに
なっているのである。
自身の健康診断やワクチン接種
爪や牙の手入れ、赤ちゃんに対する基礎知識
などなど家庭のペットとしての身の振り方を
教わるのである。

役所に出生届けを出してからの手続きに
なるので、コウモリ兄弟は講習を終えてから
初めて赤ちゃんと会う形になる。

「お帰り!あるちゃん、べーちゃん!!」

美月は入院してからコウモリ兄弟に
ずっと会っていなかったので
久方ぶりの対面になる。

「ミヅキタダイマタダイマ!!」

「ミヅキゲンキ!ヨカッタヨカッタ!」

コウモリ兄弟は美月のおっぱいめがけて
飛んできた。挟まりたいのではない。
ミルクの匂いを嗅ぎに来たのだ。

「ミヅキ、ママ!!」

「オッパイ、イイニオイ!!」

アルファもベータもおっぱいは赤ちゃんの
ものなのだと教わって帰ってきている。
母乳は、コウモリも美味しいと思う
ごちそうなのである。
これは美月も母親講習で習った。
ペットのコウモリが吸いたそうにしても
癖になるからやらないように、と。

「あるちゃん、べーちゃん。ほら。」

美月は赤ちゃんたちのベッドにふたりを
案内した。弟たちだよ。

「これが渉。こっちが卓。」

アルファは渉の横に、ベータは卓の隣に
止まった。翼を小さくパタパタさせながら
口々にカワイイネ、チイサイネと
嬉しそうにして覗き込んでいる。
まあ、コウモリ兄弟の方が赤ちゃんたちより
よほど小さいのだったが。

「ある!べー!帰ってきたのか!」

亮が取引先の打ち合わせから戻ってきた。
家でコウモリの羽音がするのは
亮には当たり前のことで、最近これが
なかったのが物足りなかった。
あらためてしっくりくる。

「トオルオカエリ!」

「アカチャンアカチャン!」

「カワイイネチイサイネ!」

亮はコウモリ兄弟が赤ちゃんたちを
弟のように思っているのが嬉しい。

コウモリ兄弟と渉、卓は
血の繋がった兄弟のように育つのだが
アルファとベータは甲斐甲斐しく
お兄ちゃんを務めてくれるのであった。