亀の啓示

18禁漫画イラスト小説多数、大人のラブコメです。

フォトブックで作品集

2017-12-29 09:38:54 | たわごと、エッセイ
年末押し迫って
皆さんコミケに年越しにと
お忙しくしておられることと存じます。

私はあえてまったりと
こんなことをしてました。






これはあのフォトブックという
やつなんですが、それで本が作れないか
試行錯誤です。

スマホの画像フォルダからの
投稿が可能であり
PCを使わなくてもカラーイラストを
プリント出来るので
本当にありがたいサービスです。

今回は2ヶ所で試しに作ってみました。
一冊から作れるので気軽に試せます。









これはsarahというところの
フォトブック。
A5版です。
もう一サイズ小さいのもあります。


一頁に四枚くらいの写真をランダムに
レイアウトしてくれます。
もちろん一枚のみでもOK。


逆にページ内のレイアウトは
おまかせ状態なので
トリミングとかわやくちゃになる
こともあります。

sarahはページ毎にかなりな文字数の
キャプションが入れられて
画像の枚数もたくさん入ります。
でもカラーの再現が少し地味なんですよね。








こちらがTOLOTというところの
フォトブックですが
卓上カレンダーや年賀状
名刺タイプのカードを作った
ところです。



TOLOTは小さいサイズで60ページくらいの
ボリュームで作れるんですが
一頁に写真は一枚づつ。
それぞれ長所短所があり
今回一冊作ってみてますます
頭悩ます結果になりました。

sarahは42ページで550円
TOLOTは62ページで500円
画像の枚数的にはどっこいどっこい
カラーの色味的には自分としては
TOLOTを推します。

もし欲しいと言ってくださる方
いらっしゃれば
受注生産で承ります。

コメント入れていただいても
Twitterにリプ下さっても
構いません。
Twitter→@taku_ryow


年あけてからまた
編集なんかを試行錯誤するつもりですが
やはりスマホ上で見る画像と
プリントしたもののギャップって
まあまあありますよね。
そこを引き算して見ていただけたら
嬉しいです。
よろしくお願いします(* >ω<)

とにかくイチャイチャハロウィン小説版⑪

2017-12-25 09:58:55 | とにかくイチャイチャハロウィン小説版
純血のヴァンパイアというのは
昨今わりと希少である。
魔女や人間、人狼との混血が
殆どとなった魔界の住人の中で
純血のヴァンパイアはほぼ5%
登録上のヴァンパイア優性種族の
15%にも満たない。

純血のヴァンパイアは
逆に言えばお堅い古くからの
家柄が多く、基本自由に恋愛をして
別の種族との結婚をしようなどとは
許されない。
そんなものたちが残している
血なのであった。

幼いころから
恋愛など下らぬ
お前の結婚相手はもう決まっている
お前は時期が来れば
当人同士の事情などに関わらず
結婚して子を残すのだと
教え込まれて育ってきた。
シンは自分を好きになる女にも
冷たい態度で追い返していた。
初めはやさしさのつもりだったが
それは自分が恋愛というものを
深く知るのが怖かったのだと
今となれば理解できた。
そのうち、気持ちのない相手とばかり
浮き名を流すようになる。
そういった遊び相手しか
寄ってこなくなった。
それはそれでいい。
ただ、それはとてつもなく
退屈な生き方だった。

純血のヴァンパイアには
処女の血が何よりの御馳走だ。
パーティーには貧しい土地から
買われてきた幼い少女たちが
柔らかな首筋を露にした。
ある者は存分にその血を吸い
ある者はもっと金を積み
妾にして処女を貫いた。
くだらねえ。
シンはギリギリまで処女の血を
吸うのを我慢した。
市販の精製されたドリンク剤でも
体を維持することはできる。
ただ、年に何度かは処女の生き血を
吸わないと体がもたなかった。

「え?もう帰ってもいいの?」

他のヴァンパイアたちは
少女たちがフラフラになるまで
血を吸い尽くす。
シンは献血して貰ったくらいで
やめることにしていた。

「いいよ。早くお帰り。」

年端もいかぬ女の子だから
素直に助かった!くらいの顔をする。
シンはそんな顔が好きだ。

「うち、どっちだよ?送ってやる。」

「ほんとう?」

「ひとっ飛びだぜ?しっかり掴まってろ。」

はしゃぐ少女を抱き締めて空を飛ぶ。
体の細さと暖かさに癒された。

「シン!ありがとうね!」

別れ際、少女はシンの頬にキスしてくれた。

「また、来年にでも会おうな。」

「えー。それまで処女でいられるかしら。」

「じゃ、半年くらいでどう?」

「んふ。じゃあ、シンのために。
ヴァージンでいてあげるわ。」

甘酸っぱくて胸の踊る約束だ。
まあ、そんな約束をしてみたところで
彼女たちは家が金に困っていれば
あっという間に売られてしまうのだが。

彼女もそんなことは百も承知だった。

「ぜったいだからね。」

小さい手のひらでシンの頬を包むと
唇を唇に寄せ、ちょんと触れた。

「グッナイ。」

この日のためにあつらえられたであろう
膝丈のベビードールの裾を翻して
玄関の扉へ駆けていった。

許嫁と結婚した後は、こんな貧しい娘たちに
援助をしながら、かわりばんこにこんな
デートをするのもオツだなと思った。







「昔は俺も純情だった。」

シンは売春宿で女をひいひい言わせながら
少女との思い出を話して聞かせていた。

「こっ!…んあんっ!はあ…こんなこと
しながら…ふぅん…よくそんな話あああっ!」

面白いように感じて喘ぐ売女をシンは
楽しそうに犯す。

「ひあん!ひあああんっ!」

退屈だ。シンは心からため息をついていた。


売春宿を出て街を歩く。

処女の生き血を飲みたいな。
シンは遠くから買われてきた少女たちの
血を吸うのをやめた。
処女と目星をつけた娘を
街でナンパする。
捕まえた女が処女じゃないことも多いが
今のところ勝敗は五分五分。
処女なら、その場で少し吸わせてもらい
謝礼を払う。実は街中でやるとパクられる
行為なんだが、大抵の娘はバレないように
つき合ってくれる。
処女じゃなかったときには
正真正銘単なるナンパになるが
どんな女も満足して帰っていく。

八百屋の前を通りかかったとき
ふんわりといい香りがした。
これは八百屋の商品の匂いではなく
生き血の匂いだ。
美味い女の血の匂い。

「おまけしてくれんの?うわあ!」

買い物をしている若い女。
人間だ。幼い顔立ち。すんなりと
長く細く伸びた体。魔除けのベルトを
きっちりと巻いているが
その首筋が白く滑らかなのは
想像に難くない。

「あんがと!おじさん!」

ご機嫌で買い物かごを振りながら
去っていく後ろ姿に
シンは様々な思いを重ねる。
吸うか。
抱くか。
処女を貫けば情が移るが
これは体も血も美味そうだ。

「おい。人間の女。」

振り返る女は怪訝そうにシンを見上げた。

「お前、処女か?」

だいたいシンは純血のヴァンパイアだ。
牙は他の混血のヴァンパイアより大きく
耳も形が違う。人間でも一目で
ヴァンパイアだと分かるのだから
そんなやつに処女かと尋ねられれば
この後のことは誰でも想像がつく。

「ヤってます!血も特定の相手に
毎日のように吸われてます!」

女は街でキャッチセールスに
絡まれたときのように
キッパリと切って捨てるように
お断り口上を繰り出した。

へえ。他人の女か。
シンはこんな処女みたいな見てくれの
女が毎晩のように可愛がられ
血を吸われているなんて、と
そのギャップに興味をそそられた。

「なかなかいいじゃん。
ちょっと遊ぼうよ。今の彼氏より
絶対イイから。満足させてやる。」

シンは興奮してきた。
かっさらって街外れのモーテルに
連れ込もうと、畳んでいた翼を伸ばした。
ギシバシと大きな音を立てて
はためかせると、軽く風が起きた。

女は慌てた様子もなく
ポケットから小さなホイッスルを出して
息を吹いた。音は鳴らない。
だがシンにはわかったのだ。

「コウモリの呼び笛!」

すぐにパタパタと小さな翼の音がして
二匹のコウモリが飛んできた。

「ミヅキドウシタ?」
「マタマイゴカ?」

それは友達が飼っている
ペットのコウモリだった。

「シンちゃん。これは俺のだから。」

いつの間にか顔中を怒りのマークで
一杯にした亮が、美月をマントに包んで
抱き締めていた。美月はうっとりしている。

「亮の、あの彼女だったのか。」

痛がって中々血が吸えないと
雑談とも相談とも取れる話に上った
件の彼女本人と分かり、シンも笑った。

「分かったよ。血も吸わなければ
セックスにも誘わないから。」

何よりシンは、今にも血管が切れて
血が吹き出しそうな亮が
可笑しくて堪らなかったのだ。
恋って苦しくて切なくて甘いものだろうと
とりあえずの想像はつくんだが
端からみるとこんなに滑稽なものだなんて
面白いったらありゃしねえ。

「美月!触られてないか?!」

「んふ。もう亮はヤキモチ可愛すぎ。」

いつまでもイチャイチャしているふたり。
愛し合うってこんな風なんだな。
シンは何だか恥ずかしい。
こんなにみっともなく嫉妬に狂う男を
あんなに愛しそうに見つめる女。
恥ずかしい。羨ましく見ている自分が
すごく恥ずかしい。

「済まなかったな。
安心しろって、もう大丈夫だから。」

「いや、まあ分かってくれれば。」

亮はようやく落ち着いてきた。
本気でブレーキが効かなくなるようだ。

シンは美月にもウインクすると
翼を広げて空へ飛んだ。
しばらく売春宿にも行けないだろう。
あんなにつまらないところも他にない。
自分の許嫁にはまだ会ったことがないが
あんな風に恋することが出来るのだろうか。

亮のように嫉妬に狂うのは流石に
みっともないと思うのだが
それを嬉しそうに受け止めてくれる
彼女がいたら、それはそれでいいかなと
そんな想像をしながら口元がにやけた。

それでもそんな恋なんて気持ちで
自分の人生がまるごと方向転換するなんて
その時のシンには知るよしもなかった。




君の首を吸わせて メリークリスマス

2017-12-24 14:57:58 | 美月と亮 とにかくイチャイチャハロウィン
皆さん
クリスマスイブ
如何お過ごしでしょうか。
私は何もせず
何処にも行かず
時間を無為に過ごしています。
ZEITAKU!!( ´ ▽ ` )ノ

最近イラストなんか描いて
色なんか塗ったりして
そのうちあのフォトブックにまとめる
つもりでおります。
フォトブックってあれですよ
家族や仲間内で撮った
スナップを本にして
記念に残すってあれですよ。

描いて
スマホで撮って
ちょっとアプリで加工して
それを送信すると
一冊にしてくれます。
一冊から注文出来るんで
自分の自分による
自分のためだけの
フォトブックも出来るのです。

それが上手く出来たら
いつも応援してくださる方に
お分けしたいななんて
思っています。




てなわけで
その中に入れるであろう
イラストになりますが
クリスマスもの。




↑これはいいニーハイの日に
描いたんだけど
クリスマスカラーにしたんで
せっかくですから(笑)




ちょっとエロいやつも。
クリスマスの夜。





Twitterには流してますが
コウモリ兄弟
メタモルフォーゼ。
ヒト形にしてみました。
まあ、イタズラに描いたのも
ありますが、あとから種明かしの
ストーリーも考えてます。


もうゆるやかに年末を迎えるのみの
相原でございますが
冬コミで追い込みの皆さん
準備でお忙しい皆さん
お疲れさまです。
冬コミ関係ない方々も
お寒い折、体調には
くれぐれもお気をつけになって
師走乗りきりましょうね( ´ ▽ ` )ノ

とにかくイチャイチャハロウィン小説版⑩

2017-12-22 23:52:52 | とにかくイチャイチャハロウィン小説版
「トオルトミヅキ、ハダカデイッショニ
モゾモゾシテル。」

アルファは不思議そうに首を捻る。

「ミヅキ、クルシソウニヒイヒイ
イッテル。」

ベータも分からないようで
アルファと同じように首を傾げる。

「ミヅキガナイテルノカトオモウト
チガウッテイウシ。」

「ホントウハフタリ、ナカワルイノカ?」

夜、亮と美月にお休みを言うと
二人の間に流れる空気が
僅かながらだが変わるのだ。

コウモリ兄弟は、そんな気配を
敏感に感じとる。

「トオルハ、ボクタチノミテナイトコロデ
ミヅキニイジワルシテルノ?」

ある晩、とうとうコウモリ兄弟は
二人に問い質した。
現場で説明を求めた。
案の定、亮は美月の上から
のし掛かるように彼女を捕まえていて、
美月は目を潤ませてじっとしている。
時々苦しそうに声を上げて、身動ぎする。

「トオル!ミヅキクルシソウ!!
マイバン、ナニシテルノ?!」

「ミヅキニイジワルシテルノ?!」

兄弟は裸の亮に、キュキーと怒りの
鳴き声を浴びせた。
断固とした態度で臨んでいると、
今日は中途半端な説明では
誤魔化されないという
意思表示だった。

「こ、これは。」

亮はどうしたもんかと悩みあぐねた末

「これは、愛し合った男の子と女の子が
これからも仲良くするための体操さ。」

こういった。
美月はすっかり正気に戻って
苦笑いを浮かべていたのだが
コウモリ兄弟は亮の言ったことを
懸命に考えていた。

「アイシアッタ?」

「お互いを大好きな男女のことだよ。
俺は美月を大好きだし、美月も、な?」

美月は急に話を振られて飛び起きた。

「そうよ。大好きだよって
お互いに確かめ合う体操をしてるんだ。
少し疲れるから、女の子は先に息が
苦しくなったりしてハアハアいうけど。
心配ないからね。」

「だから。二人とも、安心して寝なさい。」

亮はアルファとベータに見せるように
美月に唇を寄せて、髪をやさしく撫でた。
美月もそれに応えるように、嬉しそうに
亮の頬に自分の頬を寄せた。













「トオルトミヅキ、ナカヨシ。」

「ダイスキナンダネ。」

コウモリ兄弟はしばらくは納得して
亮と美月の夜の体操を邪魔しないように
夜は早くにベッドに入っていった。
だが。

「トオル!」

また、亮と美月が仲良し体操の最中に
乱入すると、こう叫んだ。

「ボクタチモ、イッショニヤリタイ!」

亮と美月は真っ白になった。
亮は一瞬『こいつらがセックスに
参加したらどうなるんだ?』と
アホな想像を巡らせて
慌てて掻き消した。
美月は、嘘が嘘を呼び
収集がつかなくなる予感に
戦慄し始める。
でも。セックスを一から説明して
分かってもらえるのだろうか。
コウモリの性教育って
どうすんだ?
え、コウモリって性教育要るの?
二人が慌てふためく間も、
兄弟は円らな瞳で返事を待っている。

亮が。多分脊椎反射だろう。
脳で考えついたとは思えない
答えを出した。

「や、俺は!美月と交尾してるんだよ!」

美月は再び真っ白になった。
あ。そうか。あたしたちのしてること。
交尾か。

「コウビ………」
「コ、コウビ…………」

兄弟はハッとした顔で
亮と美月の顔をかわりばんこに見つめる。

「コウビナラシカタナイネ」

二匹はにっこりした。
今までで一番、得心したといった顔である。

「コウビ、ガンバッテネ。」

「ボクタチ、ネルカラネ。」

寝室からさっさと出ていくコウモリ兄弟を
唖然として見送る亮と美月だった。

「交尾。しようか。」

「んもう。」

再び亮が美月をベッドに組み敷いて
やさしくやさしく愛撫を始めた。







とにかくイチャイチャハロウィン小説版⑨

2017-12-20 18:07:31 | とにかくイチャイチャハロウィン小説版
「賞平。あなたの気持ちも分かるけど。」

エリザベスは相変わらず落ち着いた話し口で
賞平に話しかける。

賞平は、正直落ち着かないと思う。

彼女をコウモリだからと
下に見るつもりではない。
美雪のよき理解者として
エリザベスから彼女とのことについて
アドバイスをもらうのは
有益なことで欠かせない言葉だと
分かってはいるのだ。

「美雪は今の今まで男を誘うことも
ろくに知らない、小学生以下の
ズブズブヴァージンだったのよ。」

いや、エリザベスは冷静だ。
下世話な話としてではなく
必要不可欠なこととして
話をしてくれている。

「もう少し、手加減して
あげられないかしら。」

賞平はこのアドバイスを何度か受けている。
言い回しは違うが、同じ内容だ。

要するにこのコウモリ婦人は
あんた夜が激しすぎるわよと
言っているのである。

「いや。リズには心配かけて済まないと
思っているんだよ?」

エリザベスを略したニックネームとして
リズと自然に口にするのは
賞平の従姉妹がエリザベスという名で
幼いころからリズと呼んできたからだが
ついリズと呼んでもエリザベスと呼んでも
エリザベスは変わらぬ円らな瞳で
賞平を見つめ返してくれる。

「我慢できないのね。」

美雪はもう、美しく柔らかく香しく
艶やかで滑らかで温かく熱く可愛く
切なくキモチイイ。キモチイイ。
ああ。たまらない。
愛しい。俺が死にそうなほどに
キモチよくしてやる。
快感に叫び、声が枯れて
身悶えし、痙攣し、くたくたに疲れきる
美雪を。賞平は尚も欲してしまう。

「今まで、黙っていたけれど。」

エリザベスはゆっくりと翼を畳み
ソファーの横の止まり木に逆さ吊りになる。

「美雪は、昼間もずっと
あなたを愛し続けているわ。」

「ほえ?」

「体に、ずっと余韻を残していて
あなたとの行為を反芻してしまうのよ。」

「え。」

賞平は想像しただけで
頭の芯まで熱くなった。
結果、鼻の奥から同様に熱いものが
伝い降りてきた。

「分かってるの?賞平?
あなたのお陰で、美雪は日中も
仕事が全く手につかないのよ!」

「女房抱いて何が悪いんだよ!」と
賞平は思ったんだが、エリザベスに
たてつこうなんて恐ろしいことは
出来ようはずもなく。

「美雪とも話すよ。それは、問題だ。」

賞平としては、愛欲に溺れてくれている
女房がますます愛しい。
今まで誰とも交渉をもったことのない女が
自分にめろめろに蕩けてくれている。
冥利に尽きるどころじゃあない。

仕事なんかしなくていい。
俺が仕事中にはひとりで妄想に耽って
俺に犯されていたらいい。
真っ直ぐ家に帰って、お前を犯してやる。
と、思ったのだが。

美雪は、ずっと一人で仕事をし、
仕事に支えられて生きてきたのだ。

子どもが出来ても続けられる仕事だと
以前美雪は言っていた。
エリザベスは有能なベビーシッターだし
デルタも頼りになる娘である。

彼女の人生設計は、なににも邪魔される
べきではないのだろう。
それは、度を越えた夫婦の愛欲でさえ
薄く淡く影を落とすのだろうか。
だが賞平は思う。
俺が我慢するのも、果たして正しいのか。








「おかしいよ。」

美月は賞平の話を聞きながら
眉間にシワを刻む。

「なにが?」

賞平はムスッとして返した。

「だって、夜はわかるよ?
いくらなんでも余韻で日中ずっと
うっとりしてるなんて。」

「まあ、リズははっきり言わなかったが
恐らくは俺の行為をなぞらえて自分で…」

「ストップ。」

美月は真っ赤になり、賞平を手で制す。

「なおさら、おかしい。」

「俺の実力って見方は出来ないだろうか。」

「ないよ。」

美月はしばらくして気づく。

「亮だってすごいのよ!」

賞平はニヤニヤしている。

「あたしだって一晩中余韻にうっとりは
するけど!朝は切り替えられるよ。」

「まあ、正直俺もここまでになってくれた
女初めてで驚いてるんだ。」

賞平はやはり嬉しいキモチの方が
勝っているので、真剣に考えるまでには
至らないのだ。

美月は美雪に会って話を聞こうと思う。














「あたし、とても淫乱だったのね。」

「いや、わかんないけど。」

美雪は日中仕事も手につかぬほどに
旦那様を思い切なくなる現象を
新婚家庭には普通に起こるものだと
思っていた。

「美雪。ハッキリ言ってもう少し控えた
方がいいと私は思うわ。」

エリザベスは繁殖のプロ。
美雪にとって、今の夫婦の営みは
明らかに度を越えていると進言する。

「ホルモンバランスが崩れてるんじゃ
ないかな?」


美月は一度婦人科に行こうと促す。


「んー。やっぱり変なのかしら。」

美雪は今一つ危機感がないというか
二人の心配がピンと来ていないのだ。


その時である。
ガシャピーン!と玄関で
鍵が壊れる勢いで開けられた音がする。

キャーッ!と耳をつんざくような
女の金切り声が響く。

「んもうっ!賞平ったら安物の合鍵
渡してきて!上手く開かなかったわよっ!」

ズカズカとリビングに入ってきたのは
キツイ目付きのチャキチャキのおばちゃんで
年の頃なら50すぎ、肩甲骨の間からは
シャキンと金属のような翼が伸びる。
美月はここまで見事な翼を持った
女性のヴァンパイアを初めて見た。

「ちかこさんっ!!」

美雪が慌てて居住まいを正す。

「賞平から聞いたわ。」

ぽかんとしている美月に、エリザベスは
さりげなく近づいて耳打ちする。
この人は、賞平のママよ。

「美雪ちゃんは確かひいひいお祖父ちゃんが
ヴァンパイアだったのよね?」

「はい。純血のヴァンパイアだったと。」

「なるほどね。」

賞平のママは電卓を叩いて
しきりに何やら計算をしている。

賞平のママは数学者なのだという。
確率とか統計とかそういった数字の
研究で博士号を持っているという。
今でも幾つもの論文が学会で認められている
その道ではかなりな有名人らしい。

「いやだ。スケベ。」

そんなママが電卓を置いて
その液晶に出た数字をためつすがめつ
しながら口にした言葉は
意外すぎる単語で、美月も美雪も
エリザベスも数学の専門用語かと思った。

「凄いカップリングなのよ。
うちの賞平と美雪ちゃんは。」

美月は魔物との混血ではないし
魔物同士の種の混血の事情にも
詳しくはない。
魔界ではこの種の混血の遺伝子研究が
かなり進んでいて、様々な謎が
解き明かされているのだ。

「夜の営みが、翌日も快感を伴って
ずっと体に残るのは、あなたたちだから。」

ちかこママは賞平の遺伝子型の特性から
美雪の体内にスペルマが侵入すると
美雪の体の免疫機能と様々な反応を
誘発して、長く受胎の受け入れ体制を
作るよう導く仕組みになっているという。

「あなたたちの組み合わせでは
年中無休24時間営業で即、性行為に
導入されちゃうってわけ。」

そうだ。美雪は初夜を思い出していた。
初めての行為はとてつもなく痛かった。
賞平のぺニスはとても立派で
こんなもの受け入れたら自分は
壊れてしまうと思ったのだ。
しかし、痛みに耐えて彼と一つに
なったあとは、ジワジワと快感が湧いて
次の夜には一晩中二人で
シーツに身を投げ出し揺れ続けた。

美雪は幸せだった。
これは運命なんだと。

「でも、これは赤ちゃんが出来たら
落ち着くから。心配しなくていいわ。」

え?

半ばこれからは賞平の性の奴隷となることも
厭わない心境になったところに、ちかこから
比較的あっさりした結末を明かされる。

「遺伝子が残せたあとは、かなり落ち着く。
せいぜい毎晩5~6回ハッスル
するくらいになるわね。」

「あら。私たちの発情期に似てるわね。」

エリザベスがオチを言うと
美雪と美月は中途半端な顔で
苦笑いをした。

ちかこは初対面の美月にも大変に
興味を示した。

「へえ。純血の人間なんだ。」

美月は何だか亮のセックスを思い出して
真っ赤になってしまった。

「亮くんが初めてだったの?」

美月は無言で返事をした。
ちかこはまた電卓を叩いて何やら
メモに書き出した。

「もし赤ちゃんを早くと望むなら
少し回数をセーブした方がいいわ。
純血の人間の卵子は弱くて、
月に一個か二個しか排卵されない。
亮くんのスペルマが強すぎて上手く受精
出来ないかもしれないわ。」

体内に入れるスペルマの数は少ない方が
いいのだとアドバイスをくれた。









「じゃあ、赤ちゃんが出来るまでかあ。」

賞平は何だか寂しそうに言った。
美雪は賞平の胸に抱かれて
うっとりしながら話しかける。

「賞平さんは、あたしのこと淫乱だって
思ってなかったの?」

「嬉しかったよ。よっぽど職場早引けして
抱きに帰ろうかと何度も迷った。」

「…嬉しい。」

美雪は賞平の亀頭をやさしく撫でて
胸で挟みながらディープキスをした。

「美雪。今のうちだから。
思いっきり乱れよう。」

「ん。そうね。」

相変わらず寝室からお盛んに響く甘い声や
ベッドの軋む物音に、エリザベスは
ため息をついた。

ガンマとデルタは昼間たっぷりと
森で遊ばせるのでよく眠っている。

美雪の仕事をセーブさせるか。
あるいは、エリザベスも
美雪のフォローに回るか。
そんなことを考えていたのに
ふと思考に割り込んできたのは
一番はじめのお相手、アントニーだった。

『君は聡明で、細やかで。素晴らしい
女性だよ。君の初めての相手になれるのを
僕は誇りに思う。』

あれから15年以上経っている。
アントニーはとても素敵に、緩やかに
年を重ねていて。エリザベスは胸に
温かいなにかが湧いてくるのを感じた。





「アレ?ママノコエシナカッタ?」

アルファはベッドから起き上がる。

「アルファ?ドウシタノ?」

ベータは聞こえなかったのか
目だけを開けてアルファを見た。

それぞれの夜は更けてゆく。

隣の寝室では、美月が必死に声を飲み込み
亮と同じリズムで揺れていた。