やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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親父

2014-08-28 22:38:34 | 小説
小さな袋を渡された。

なんだろうと開いてみる。

中には1万円札が1枚あった。

何?

不思議そうな顔で、隣で運転している親父を見る。

「持って行け」

ぶっきらぼうに言う。

返そうとしたが、親父の年季の入った顔を見ると、「いいよ」と言う言葉が出なかった。

もう俺は社会人だ。

2年目だぞ。

住むところも自分の給与で払ってる。

そう言いたかった。

でも親としては、何もなしに返せないと思ったのだろう。

母親がいれば、たぶん食材を送ってきたり、畑で採れた野菜とかも送ってきただろう。

でもうちは片親だ。

そんな器用なことが出来る親父でもない。

小さな工場で働いて、休日は釣りか畑仕事して過ごしている。

そんな親父がくれた1万円。

でも。。。

俺にとって、ただの1万円ではない。

100万にも1億にも匹敵するぐらいの価値がある。

ジャンバーのジッパーがついたポケットの奥に仕舞った。

俺の胸にあるポケット。

なんだか熱い想いが。。。

胸の位置にある気がする。
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