やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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振り向いて

2014-08-03 23:26:08 | 小説
彼女が一心不乱に研究をしている。

広い室内には誰もいない。

靴音を立てているが、彼女は振り返りもしない。

キョロキョロと周りを見て、本当に2人だけだと確信する。

少しふざけて、ヤンキー座り。

口笛を吹いてみる。

気付かない。

もう一度吹いてみる。

どうしたのかと言う風に振り向いた瞬間に、大笑い。

「もうそんな歳じゃないでしょ」

「たまにはイイ女をナンパしてみたくてさ」

「おあいにく様。ナンパされるような軽い女じゃないし」

そういうと試験機の方に振り向き、また仕事を始める。

その細い肩に抱きつきたくなる。

それでも試験室だと言うことで、理性で踏みとどまり部屋を出て行く。

いつ見てもイイ女。

こんな女をものにしたいなんて、ちょっと不良ぽく思う。

しかし・・・。

彼女はいつもこう言う。

「あなたは黒ぶち眼鏡で、ネクタイ締めて白衣を着る。それが一番似合って素敵」

「そんな男とデートしないか?」

「白衣ではなくて、スーツが似合うようになったらね」

いつまでたっても、彼女にならない君。

次はどうやって口説こうか。

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