やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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商談

2011-05-19 22:44:58 | 小説
ペンを取り出して渡す。

黙って受け取って、黙々と紙に書き出した。

20行ぐらいに殴り書きして、突き返してきた。

それを俺も黙って受け取る。

ちらっと眺めてポケットに押し込んだ。

廊下に出て、3つ目の部屋に入る。

そこには少し神経質そうな男が座っていた。

今ポケットに入れた紙をそのままその男に渡した。

男はそれを黙って見る。

2度ほど読み返した後、自分のペンを取り出してサインをした。

「よろしく」

そう言って俺に渡した。

俺はその紙をもう一度ポケットに仕舞って、建物を後にした。

電車で5つ目の駅で降りる。

3分程歩いた場所の小さなビルに入った。

3階の部屋に入り、椅子に座った。

自分の席だ。

「ファー」息が漏れる。

そこでやっと緊張がほぐれた。

やった!!

遂に認めさせた。

5年目にしてやっとだ。

これから作られる大きなビルとショッピングモールに収めるある備品について、一手に引き受ける。

たった10人程度の小さな会社の社長である俺がだ。

何億にもなる商談。

安心と同時に、身体の奥から震えるものが湧きあがる。

力拳を見つめながら、もう一度呟いた。。。。

「やったぞ!」
コメント
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