JR福知山線事故から1ヶ月。
各メディアでは事故の特集が組まれていました。朝日新聞にはJR西日本の井手正敬取締役へのインタビューした記事が掲載されていましたが、井手取締役の回答には非常に違和感を持ちました。 ▲朝日新聞インタビュー記事▲
また、今朝のニュース番組「朝ズバッ」で、中国の呉儀副首相が小泉首相との会談をキャンセルして帰国して外交問題になっている問題について、あるコメンテーターが民主党の女性議員に対して「こういう状況になったのは、そもそも民主党が小泉首相にあのような回答を引き出したからだ」と叱責しました。これを聞いて、こんな人が知識人であるかのように何時もテレビ出演していることに対して非常に違和感がありました。
あと、ピアノマンの話題はもうやめてほしい・・・・
さて、気分を切り替えて、と。
昨日の続きで、電子自治体の先進事例について紹介させていただきます。
e-Japan 戦略
2001年1月に決定されたITに関する政府の基本戦略である e-Japan 戦略 は、その冒頭で「我が国が5年以内に世界最先端のIT国家になることを目指す」という目標が掲げられています。また、その具体的な行動計画として策定されたe-Japan重点計画 では、「行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進」という項目で「行政の情報化については、行政情報の電子的提供、申請・届出等手続の電子化、文書の電子化、ペーパーレス化及び情報ネットワークを通じた情報共有・活用に向けた業務改革を重点的に推進し、2003年度までに、電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現する。 」「ITの活用による公共分野におけるサービスの多様化及び質の向上を図ること等により、広く国民がITの恩恵を享受できる社会を実現する。」との目標が掲げられています。
こうした基本計画を背景として、国や自治体では様々な分野でIT化が進んでおり、各種届け出などの電子申請についても多くの自治体が導入されるようになりました。
横須賀市の情報化計画
こうした動きに先駆けて先進的な取り組みをされてきた神奈川県横須賀市の政策を調べてみました。
横須賀市では1996年に「よこすか情報フロンティアプラン」 を策定されました。この15年計画においては、情報化の取り組みについて次の5項目に整理されています。
1.行政の情報化
(1)行政サービスの情報化
行政情報、公共情報のマルチメディアによる提供 、市民参加の機会の充実、窓口サービスの情報化、保健・医療・福祉サービスの情報化、災害に備えての情報通信ネットワーク整備
(2)行政運営の情報化
戦略的な行政運営の実現、事務処理の情報化、職員の育成
2.市民の情報化支援
(1)情報教育の充実
学校の情報化、教育情報センターの整備、高度な情報教育の場づくり
(2)情報啓発事業の充実
情報リテラシー施設(学習施設)の整備、情報学習講座の充実
(3)地域コミュニケーションの情報化支援
地域コミュニケーションネットワーク活動の支援、国際交流ネットワーク活動の支援
3.産業の情報化支援
(1)地域産業の情報化支援
電子商取引等の導入促進、人材育成事業の充実、産業情報化支援制度の充実
(2)情報通信産業の集積促進
拠点整備プロジェクトの推進、情報通信産業振興のための協議組織の設立
(3)ベンチャービジネスの育成
人材の育成、支援制度の創設
4.情報基盤の整備促進
(1)公衆電気通信網の高度化促進
(2)地域情報基盤の整備
5.推進にあたって
(1)情報化の推進体制 (行政の推進体制・市民参加の推進組織)
(2)推進にあたっての留意点
(3)克服すべき課題 (人に関する課題・情報環境に関する課題)
その後、2001年のe-Japan 戦略を受け、「電子市役所推進戦略」を策定され、横須賀市を世界トップレベルのIT先進都市「情報フロンティア都市」にするという大目標が掲げられました。
横須賀市の取り組みについて、総務省広報誌『シリーズ地方の力』(PDF)に紹介されていますので、ご参照ください。
電子入札制度
横須賀市の具体的な取り組みとして、2001年度から日本で初めて導入された電子入札制度が注目されます。
最近、国発注の鋼鉄製橋梁工事の入札で談合を繰り返していた問題があったり、草津市でも「特A」格付け問題などが新聞記事になって問題視されたこともあったりするなかで、透明性の高い入札制度をつくっていく上で非常に参考になるものです。横須賀のシステムは、他の自治体への提供も行っており、平成14年6月には下関市、平成15年8月には福井市でも導入されているそうです。
また、「電子入札コアシステム開発コンソーシアム」が開発した電子入札コアシステムは、岩手県や岐阜県など全国49団体で稼働しています。
なお、横須賀市の担当者は、導入に際するアドバイスとして「ただ、電子入札を導入すればいいのではなく、まず入札の仕組みそのものの改革を行う必要がある。また、競争原理の働く地域でなくては効果はでないだろう」「それぞれの自治体の規模や条件にあった制度、システムをつくることが重要」といったことを述べられていますが、こうした点に留意する必要がありそうです。 ▲Nikkei Net▲
藤沢市の電子会議室
市民自治に資する取り組みとして、藤沢市の電子会議室が注目されています。
藤沢市の電子自治体へ取り組みは96年3月に策定された「地域情報化基本計画」の中に、インターネットを活用した行政への市民参加や市民情報コミュニティシステムの普及という内容が盛り込まれました。
この計画に基づき設置されたのが、「市民電子会議室(電縁都市ふじさわ)」で、慶応義塾大学等と連携して運営されています。詳しくは、当ブログでもeデモクラシーへの挑戦 ―藤沢市市民電子会議室の歩み―を紹介していますので、こちらをご覧ください。
大和市の市民参加型まちづくり
次に、市民自治という面でのIT活用事例として知られているのは、神奈川県大和市の動きです。
1995年に都市の長期的なまちづくりの方針などを総合的・体系的に示す計画である「都市計画マスタープラン」の策定にインターネットを利用されて成果を上げられたことを契機として、2000年1月からは市民と市役所職員の意見交換の場として「どこでもコミュニティ」を設置されました。また、最近ではICカードを使った地域通貨「LOVES」事業も注目されるところです。
三鷹市のSOHO支援
東京都の三鷹市は、市民参加が盛んに行われていることでも知られていますが、ITに関して産業支援のも力を入れておられます。そのことは、三鷹市HP
で事業者向けのコンテンツが設けられていることからも分かります。また、ITを活用したSOHO支援事業も積極的に展開されています。▲Soho City 三鷹▲
なお三鷹市は、2002年4月より市のIT政策全般に関して助言を行う非常勤特別職としてCIOを全国で初めて設置され、民間からNTTや日本無線などで大型プロジェクトに携わってこられた前田隆正氏が就任されています。
岡山市の電子町内会
岡山市は、町内会でのホームページ活用に積極的に取り組んでいます。▲岡山市市民情報化サイト▲ ▲電子自治体ポータル記事▲ ▲全国の電子町内会(参考)▲
岡山市の「e-情報公開室」
また、情報公開の方法として開示対象となった文書を請求者だけでなく、だれでもが閲覧できるように60日間HP上で公開されています。
e-情報公開室
鳥取県の予算査定状況公開
鳥取県では、予算要求から査定ならびにその結果に至るプロセスをすべて公開しています。
鳥取県HP
みえ政策評価システム
三重県では事務事業評価システムを導入していますが、その評価表の公表だけでなく、公表された評価表を県民がどう受け止め、どう活用していくのかを話し合う会議室が設置されたり(現在は休止)、市民による「行政評価」の部屋といった関連HPが立ち上げられたりしています。
札幌市
札幌市は、市民、企業、行政などによる『協働都市』を目指してウェブシティさっぽろというホームページを運営しています。ここでは、行政やNPOの情報を合体されて、出会いの場を作っています。
また、札幌市コールセンターにも注目です。
NPOの政策提案と評価
NPOによる事業の提案から、その採否決定並びに事業評価までを公開しているホームページで大阪府 提案公募型事業があります。
また、東京都千代田区でもNPO・ボランティアとの協働に関する政策提案制度のホームページが設置されています。
以上の他に、昨年の日本工業新聞「電子自治体大賞」に輝いた富山インターネット市民塾や、宮崎市のみやざきコミュニティ支援サイトなどがあります。
今日のところは、この位にさせていただきます。(つづく?)
各メディアでは事故の特集が組まれていました。朝日新聞にはJR西日本の井手正敬取締役へのインタビューした記事が掲載されていましたが、井手取締役の回答には非常に違和感を持ちました。 ▲朝日新聞インタビュー記事▲
また、今朝のニュース番組「朝ズバッ」で、中国の呉儀副首相が小泉首相との会談をキャンセルして帰国して外交問題になっている問題について、あるコメンテーターが民主党の女性議員に対して「こういう状況になったのは、そもそも民主党が小泉首相にあのような回答を引き出したからだ」と叱責しました。これを聞いて、こんな人が知識人であるかのように何時もテレビ出演していることに対して非常に違和感がありました。
あと、ピアノマンの話題はもうやめてほしい・・・・
さて、気分を切り替えて、と。
昨日の続きで、電子自治体の先進事例について紹介させていただきます。
e-Japan 戦略
2001年1月に決定されたITに関する政府の基本戦略である e-Japan 戦略 は、その冒頭で「我が国が5年以内に世界最先端のIT国家になることを目指す」という目標が掲げられています。また、その具体的な行動計画として策定されたe-Japan重点計画 では、「行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進」という項目で「行政の情報化については、行政情報の電子的提供、申請・届出等手続の電子化、文書の電子化、ペーパーレス化及び情報ネットワークを通じた情報共有・活用に向けた業務改革を重点的に推進し、2003年度までに、電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現する。 」「ITの活用による公共分野におけるサービスの多様化及び質の向上を図ること等により、広く国民がITの恩恵を享受できる社会を実現する。」との目標が掲げられています。
こうした基本計画を背景として、国や自治体では様々な分野でIT化が進んでおり、各種届け出などの電子申請についても多くの自治体が導入されるようになりました。
横須賀市の情報化計画
こうした動きに先駆けて先進的な取り組みをされてきた神奈川県横須賀市の政策を調べてみました。
横須賀市では1996年に「よこすか情報フロンティアプラン」 を策定されました。この15年計画においては、情報化の取り組みについて次の5項目に整理されています。
1.行政の情報化
(1)行政サービスの情報化
行政情報、公共情報のマルチメディアによる提供 、市民参加の機会の充実、窓口サービスの情報化、保健・医療・福祉サービスの情報化、災害に備えての情報通信ネットワーク整備
(2)行政運営の情報化
戦略的な行政運営の実現、事務処理の情報化、職員の育成
2.市民の情報化支援
(1)情報教育の充実
学校の情報化、教育情報センターの整備、高度な情報教育の場づくり
(2)情報啓発事業の充実
情報リテラシー施設(学習施設)の整備、情報学習講座の充実
(3)地域コミュニケーションの情報化支援
地域コミュニケーションネットワーク活動の支援、国際交流ネットワーク活動の支援
3.産業の情報化支援
(1)地域産業の情報化支援
電子商取引等の導入促進、人材育成事業の充実、産業情報化支援制度の充実
(2)情報通信産業の集積促進
拠点整備プロジェクトの推進、情報通信産業振興のための協議組織の設立
(3)ベンチャービジネスの育成
人材の育成、支援制度の創設
4.情報基盤の整備促進
(1)公衆電気通信網の高度化促進
(2)地域情報基盤の整備
5.推進にあたって
(1)情報化の推進体制 (行政の推進体制・市民参加の推進組織)
(2)推進にあたっての留意点
(3)克服すべき課題 (人に関する課題・情報環境に関する課題)
その後、2001年のe-Japan 戦略を受け、「電子市役所推進戦略」を策定され、横須賀市を世界トップレベルのIT先進都市「情報フロンティア都市」にするという大目標が掲げられました。
横須賀市の取り組みについて、総務省広報誌『シリーズ地方の力』(PDF)に紹介されていますので、ご参照ください。
電子入札制度
横須賀市の具体的な取り組みとして、2001年度から日本で初めて導入された電子入札制度が注目されます。
最近、国発注の鋼鉄製橋梁工事の入札で談合を繰り返していた問題があったり、草津市でも「特A」格付け問題などが新聞記事になって問題視されたこともあったりするなかで、透明性の高い入札制度をつくっていく上で非常に参考になるものです。横須賀のシステムは、他の自治体への提供も行っており、平成14年6月には下関市、平成15年8月には福井市でも導入されているそうです。
また、「電子入札コアシステム開発コンソーシアム」が開発した電子入札コアシステムは、岩手県や岐阜県など全国49団体で稼働しています。
なお、横須賀市の担当者は、導入に際するアドバイスとして「ただ、電子入札を導入すればいいのではなく、まず入札の仕組みそのものの改革を行う必要がある。また、競争原理の働く地域でなくては効果はでないだろう」「それぞれの自治体の規模や条件にあった制度、システムをつくることが重要」といったことを述べられていますが、こうした点に留意する必要がありそうです。 ▲Nikkei Net▲
藤沢市の電子会議室
市民自治に資する取り組みとして、藤沢市の電子会議室が注目されています。
藤沢市の電子自治体へ取り組みは96年3月に策定された「地域情報化基本計画」の中に、インターネットを活用した行政への市民参加や市民情報コミュニティシステムの普及という内容が盛り込まれました。
この計画に基づき設置されたのが、「市民電子会議室(電縁都市ふじさわ)」で、慶応義塾大学等と連携して運営されています。詳しくは、当ブログでもeデモクラシーへの挑戦 ―藤沢市市民電子会議室の歩み―を紹介していますので、こちらをご覧ください。
大和市の市民参加型まちづくり
次に、市民自治という面でのIT活用事例として知られているのは、神奈川県大和市の動きです。
1995年に都市の長期的なまちづくりの方針などを総合的・体系的に示す計画である「都市計画マスタープラン」の策定にインターネットを利用されて成果を上げられたことを契機として、2000年1月からは市民と市役所職員の意見交換の場として「どこでもコミュニティ」を設置されました。また、最近ではICカードを使った地域通貨「LOVES」事業も注目されるところです。
三鷹市のSOHO支援
東京都の三鷹市は、市民参加が盛んに行われていることでも知られていますが、ITに関して産業支援のも力を入れておられます。そのことは、三鷹市HP
で事業者向けのコンテンツが設けられていることからも分かります。また、ITを活用したSOHO支援事業も積極的に展開されています。▲Soho City 三鷹▲
なお三鷹市は、2002年4月より市のIT政策全般に関して助言を行う非常勤特別職としてCIOを全国で初めて設置され、民間からNTTや日本無線などで大型プロジェクトに携わってこられた前田隆正氏が就任されています。
岡山市の電子町内会
岡山市は、町内会でのホームページ活用に積極的に取り組んでいます。▲岡山市市民情報化サイト▲ ▲電子自治体ポータル記事▲ ▲全国の電子町内会(参考)▲
岡山市の「e-情報公開室」
また、情報公開の方法として開示対象となった文書を請求者だけでなく、だれでもが閲覧できるように60日間HP上で公開されています。
e-情報公開室
鳥取県の予算査定状況公開
鳥取県では、予算要求から査定ならびにその結果に至るプロセスをすべて公開しています。
鳥取県HP
みえ政策評価システム
三重県では事務事業評価システムを導入していますが、その評価表の公表だけでなく、公表された評価表を県民がどう受け止め、どう活用していくのかを話し合う会議室が設置されたり(現在は休止)、市民による「行政評価」の部屋といった関連HPが立ち上げられたりしています。
札幌市
札幌市は、市民、企業、行政などによる『協働都市』を目指してウェブシティさっぽろというホームページを運営しています。ここでは、行政やNPOの情報を合体されて、出会いの場を作っています。
また、札幌市コールセンターにも注目です。
NPOの政策提案と評価
NPOによる事業の提案から、その採否決定並びに事業評価までを公開しているホームページで大阪府 提案公募型事業があります。
また、東京都千代田区でもNPO・ボランティアとの協働に関する政策提案制度のホームページが設置されています。
以上の他に、昨年の日本工業新聞「電子自治体大賞」に輝いた富山インターネット市民塾や、宮崎市のみやざきコミュニティ支援サイトなどがあります。
今日のところは、この位にさせていただきます。(つづく?)