介護サービスほっと通信

「暖か介護でほっと一息」をモットーにしています。日々の仕事の中から感じたことなどを発信していきたいと思います。

介護保険料5000円時代の到来

2012年04月07日 20時28分58秒 | 改定介護保険制度
介護保険制度の改定の審議の過程で保険者の代表委員は「保険料の限界は5000円だ」という発言を繰り返ししてきました。

そうなのでしょうか?

非常に難しい問題ではありますが、介護保険制度は、支援の必要性が高まり支援が増えていけば当然に保険料もアップしていく仕組みとして作られています。
そもそもが「負担と給付のあり方を国民全体が理解でき、納得しやすい仕組み」が保険料のあり方に位置づけをされているわけです。

保険者の代表者が「保険料は5000円が限界」ということは、住民に対して「これ以上介護保険の給付を増やすな」という意味になります。
使いたいサービスを使うな、我慢しろって意味にもなります。

今後首長選挙は保険料と市町村の福祉水準が争点になっていくのかもしれません。
「保険料アップしません。その代わり給付は我慢してもらいます。」
「サービスを浴していきます。その代わり保険料はアップします。」

こういう「選択」が行われていくのではないでしょうか。そしてそれにより多くの人たちも「考えて行動する」事になって行けばよいと思います。

さてこの話題、住民側はどういう意識なのでしょうか。
少なくても払う分は可能な限り少なく、手に入れるものは可能な限り多く、という意識の人はゼロではないにしろかなり少なくなっているのではないでしょうか。

必要な支援を受けたい。そのためのコストは甘んじて支払う。

私どものかかわっている利用者の方々にも今回の改定による様々な「負担増」についても説明をしてきました。
例えば通所の時間延長に伴うコストアップ、処遇改善加算によるコストアップ、訪問介護の時間と支援内容とコストの関係、保険料について…

殆どの皆さんは「これだけのサービスを受け、その結果今の暮らしが営めている。そのために必要なコストは当然に払う」という対応です。

中には金銭的な条件が厳しい方もいらっしゃいます。
そういう方にとっては今回の保険料のアップも相当の痛手になります。
それでも必要なコストは支払うとおっしゃられています。

介護支援専門員は、このことの重要性に気づき、それに応えていく必要があります。

可能な限り少ないコストで最大のメリットを提供する。
無駄な支援はしない。今必要な支援を提供し、卒業することができるように、どうなれば卒業できるかを明確に示した、そういうケアマネジメントの提供が求められているわけです。

そのためには「あったほうがベター」な支援ではなく「なければ生活が成り立たない」支援を提供することであり、その「違い」をはっきりと示していくことが必要になっています。

今回の改定、その意味では「家族が必要だと言ったから」ということを「根拠」としての支援を以下に排除していくことができるかという意味でも重要になっています。

今回の改定はひどい改定であることは間違いありません。
ひどいことはひどいと訴え続けて改善を目指していくことも重要なことです。

しかし「悪法もまた法なり」。決められてしまった以上はそれに沿っていかなければいけないわけです。
その過程で「本来のあるべき姿」を追求することが最大の防御であり、最大の攻撃になりえると考えています。

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2 コメント

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生みの苦しみの中で。 (フェリックス・フェリシス)
2012-04-12 03:03:13
兼任CM様、今晩は。

いつもタイムリーなご教示をありがとうございます。

まさに今、初めて新規ケースを担当させていただき、アセスメントを基に、自立支援型ケアプランを自分なりに作成している最中です。

思った以上に大変な作業で、四苦八苦しておりますが、以前兼任CM様がコメントされていた「(予防プランの展開の仕方が)好きなんです。」という一言を心の支えとして、これを何とか納得していただけるものに仕上げ、ご提案していきたいと願っております。

作成の過程に苦しみながらも、利用者様が、なぜそう言われたのか、という背景を考えることは、ニーズを見出すことにつながってくるのかなという手ごたえのようなものを、おぼろげながら感じつつあります。

明日、原案について上司に指導を仰ぐ予定です。

>必要な支援を受けたい。そのためのコストは甘んじて支払う。
>「あったほうがベター」な支援ではなく「なければ生活が成り立たない」支援を提供する
>可能な限り少ないコストで最大のメリットを提供する。
>「悪法もまた法なり」。決められてしまった以上はそれに沿っていかなければいけない...。

制度改悪を嘆いてばかりではいけないのですね。受け止めた上で、前に進んでいかなければ。。。。。

現状を踏まえ、兼任CM様が示してくださった考え方を忘れず、誠意を持ってやるべきことに全力を注いでいきたいと願っております。

まだまだ今の自分では、置かれている立場の本来果たすべき役割に対して、貢献するには程遠く、もっともっと知識と経験を積んでいかねばと日々感じております。

お忙しい折、まことに恐縮ですが、今後ともご指導、ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。
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とても良い仕事していますね。 (兼任CM)
2012-04-12 20:41:13
ェリックス・フェリシスさん。今が踏ん張りどころです。
利用者としっかりコミュニケーションをとり、言葉の背景、言葉の裏にこめられている「思い」に辿り着けば、後は簡単なものです。個々が踏ん張りどころです。

さて保険料。
仕組みは簡単です。サービスの量と費用は比例しているということです。
たくさんサービスを受けたければ保険料もそれなりに上がる。

ケアマネジャーは、利用者・保険者が負担したコストを「高い」と感じられるのか「安い」と感じられるのかが勝負なわけです。

ここで「高い」と感じ取られてしまえば、支援の効果が感じられていないって事になります。

そうならないためにも、アセスメントが何よりも肝心。

頑張ってください。
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