部屋の中に夜中がある
とき
外へ出ても夜中がある
とき
少数派のひとが
すべらかに呟く声が聞こえる
目を細めると
奥ゆきの向こうに
ひなたが見えるでしょう
たしかに
向こうには
多数がいて にぎやかにざわめき
上がってこないか
と
手を振っている
ひなたのなかに
またも ざわめきふかく
てんてんと
無数の話があり
話が重なり 積み上がっていく
けれども
そこから
誰も下りてこない
あれは、夜と昼とが交わるところ
指さし
ここはここ
と少数派のひとは教えてくれた
外へ出て夜中がある
とき、
R4.11.21