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藤原新也「全東洋街道」(Zen Toyo Kaido)

2023年12月24日 19時26分26秒 | 書評のコーナー

Hemingway said, " You can't get away from yourself by moving from one place to another."

(どこか別の場所に行ったって、あなたはあなた。そんなことしても

「もう嫌だこんな自分❗️」というそんな自分から

逃げることなんてできませんから)

(➡️大円コースからも地球上で「あなたから一番遠いのはあなたの背中」です)

 

余命五年の元年スタートを前に朗らかに断捨離しているとき、本書「全東洋街道」(1981)に再会しました。懐かしい。42年前に購入した書籍。本書を読了したときの衝撃は、しかし、くっきりと覚えています。

というか、本書はーー今から思えば、無邪気な「井の中の蛙大海を知らず的の空理空論」だった。というか、現実の歴史や政治や文明の認識に一欠片の具体性をも附与できないという意味で、間違いでさえない暇潰しの「調査旅行感想文」にすぎないーー梅棹忠夫「文明の生態史観」とかの微睡みを、阿部謹也「中世の窓から」(1981)等の書籍とともに醒ましてくれた一書だったから。

自家記事紹介:冒険家の日ですか?・・・ところで、「冒険」ってなに?

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/1773815cbf25b667518e05fa7a3ebb6f

【再掲】海馬之玄関推奨--素人でも読めるかもしれない社会を知るための10冊--

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/dbf7ce118446231aefc61e7464f2cbf4

 

グローバル化の時代の保守主義☆使用価値の<窓>から覗く生態学的社会構造
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/3436c1fca7e8d7caadb11a7d82f62bd6

「いま世界の哲学者が考えていること」↖️悪気はないのだろうけれど「羊頭狗肉」の一書? +追記あり

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/e4c09e22a84dfb8aee664373693760a6

 

  

尚、逃げるようですが(↖️なんとでも言ってください🌺)、梅棹忠夫批判をちゃんとしようとするとたちどころに舞台は「社会科学方法論≒認識論哲学」に移動せざるを得ず、よって、読者を睡魔の管轄領域(jurisdiction)に移送することになるのは必定。ゆえに、残念ながら本稿では割愛させていただきます。

 

↗️ブログ友からお借りした岩海苔と餃子の🍴お昼ごはん🍴

俄然元気もらえそうです❗️ 🥟餃子3個🥟も渋い♥️

この⤴️画像:記事内容と関係なさそうな「食べ物やお料理さん系」張り付けた理由はなんだろう?

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/4e03beafbd5b690bed61fda9e978db7a

 

>本書のなににわたしは衝撃を受けたのか?

>どんな微睡みから醒ましてもらったのか?

 

一言で言えばそれは「世界史の主舞台≒ユーラシア大陸の地域区分」に関するわたし自身の謂わば「日本的思い込み」に気づかされたということです。どういうこと?

ご存じの方も多いでしょうけれど、明治維新からほど近い頃(1878年)、帝国大学(➡️東京大学)に史学科が新設された際、同科は、①日本史、②東洋史、③西洋史(アメリカ合衆国史を含み、ドイツ史学というか当時の欧米史学の標準だったランケ流の西洋史学がドイツ人講師によって教授された)の三支科でスタートしました。といっても、②東洋史はその8割近くを「支那史」が占めており、③西洋史とは「英仏独史+ギリシア・ローマ史」の別名だったのですけれども。

そして、20年後、日清日露の前後にはすべての大学・専門学校(≒私立大学)もこの学科割を採用する。蓋し、国史・東洋・西洋の三地域に日本人の脳内のユーラシアの歴史は分割されたということ。でもね、本書「全東洋街道」の著者が走破された街道筋。そう、🧑‍🎄サンタクロース🧑‍🎄(≒英国では🧑‍🎄「Father Christmas」🧑‍🎄)の発祥の地である現在のトルコ、そのトルコはイスタンブールから陽関までのエリアはどこに行ったのでしょうか?

 

  • 元二を送る<王維>
  • 渭城の朝雨 軽塵を浥す
  • 客舎青青 柳色新たなり
  • 君に勧む更に尽くせ 一杯の酒
  • 西のかた陽関を出ずれば 故人無からん

 

https://youtu.be/Tt6_DWH8GCI?si=wtf5zBGseAjPQ7er

 

このユーラシアのその真ん中のエリアはどうなるのか? 梅棹忠夫さんの謂われる「乾燥地帯」、あるいは、あのモンゴル帝国の版図の中核部分、または、その後イスラーム文明が覆っているあのエリアはどこに行ったのでしょうか?

而して、ほとんど同時にもう一つの衝撃が到来しました。それは、本書を読み終え、「東洋」という語彙の意味をふと考えたときに襲ってきた。これを読んでいただいているあなた、「東洋」って英語でなんと言いますか? 「東洋一:アズマヨウイチ, ヒガシナダハジメ」さんの「東洋」じゃない方の地理的と文明的の用語としての「東洋」ですよ。

 

ネットで見かける「食パンは英語でなんと言う?」類いの記事↖️面白いけどちょびっと迷惑かも

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/5fc098f9884e1ac07f0c697584644f81 

英単語は2000語も覚えれば充分?⬅そんなわけないだろう❗ (*^o^)/\(^-^*)

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/58dcb4dfa601a3321646ab7d6bcf1029

英単語を覚えるには諦観と気迫ですーー「短期記憶・長期記憶」談義のその先へ

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/71dfff5f7a1c019a7ab58ced83266b3b

 

地理学の約束事(↖️要は、「青信号」が「青」である必然性はなくて、つまり、決められている内容に確たる意味はないけれど、社会的に決まっていることに意味と便益がある類いの「調整問題」を解決するための規約定義)としては、「アジア≒東洋」は「ユーラシア大陸のヨーロッパ部分の東側であり、ウラル山脈、カスピ海、黒海、ボスポラス海峡、ダーダネル海峡を境とする」らしいです。

また、手元の和英辞典に相談してみると「東洋」は「the East, the Orient, or Asia」とかとか言うらしい。なら、「全東洋街道」はさしずめ「All roads in Asia」「The/A whole road in the East」「Whole roads in the Orient」(↖️「whole+複数形の名詞+時空を限定する副詞」の用法に注意しましょう❗️)とか訳すのかしら? なんとか「the Silk Road:シルクロード」との歴史的な関連性を他の副詞とか形容詞を工夫して・・・。と、そのときふと💡ひらめいた💡のです。

・定義の定義-戦後民主主義と国粋馬鹿右翼を葬る保守主義の定義論-
https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/0fb85611be79e7a89d274a907c2c51ac

・<アーカイブ>書評☆春田哲吉『パスポートとビザの知識』

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/f7f5d8db2fc1ab94bcc30eade45b511b

・完版:保守派のための海馬之玄関ブログ<自家製・近代史年表>みたいなもの

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/a3221c77ea0add17edf737d21088cf96

 

簡単な話です。欧米の人たちやこの真ん中のエリアの人たちはユーラシア大陸をどう区分けしてきたか? 同じユーラシア大陸の地理的の区分けに際して、日本人的な視点のベクトルは文字通りの「One of Them」にすぎなかったのではないか、と。 結論いきます。

 

🐙日本的なユーラシア区分🐙

 西洋ー真ん中ー東洋(≒支那とか日本)

🐙欧米的なユーラシア区分🐙

 西洋ー東洋(≒真ん中)ーその東の化外

 

つまり、本書「全東洋街道」の著者が走破された街道筋こそ欧米的と欧米から見た「東洋」的には、極普通の意味で「All roads in Asia」or「Whole roads in the Orient」なのだろう。もっとも、だからといって日本流の区分を改める筋合いはないけれど。自分のそれが「One of Them」であるという認識は心地好い衝撃でした。

 

>Where is the Asian food kept?

(スーパーマーケットとかで「アジアの食品・食材はどの棚ですか?」)

実際に、英国のほとんどのスーパーマーケットでも「アジア食品」を扱っています。けれどもイギリスでは、蓋し、「asian food」というとどうしても「インドの」あるいは「インドとインドから中東までの」という語感 になる。そんな気配がなきにしもあらず。だから、「味噌」「味醂」「玉露」「梅干」「厚揚げ豆腐/高野豆腐」「純正醤油」「漬物」「佃煮」(他方、イギリスで「醤油:soy sauce」「豆腐:tofu」とか「袋パック入り味噌汁:miso soup」自体は今ではどこにも普通にある、鴨)とかがほしければ、「a Japanese food」と呼ぶか、潔く「a Japanese food shop」に行くしかないと思いますから。

 

おまけ、

 

It's more important to them ❰↖️ not 「for them」 nor「of them」 but「to them」🌸❱ to wear cool ski-wear and look for a lover than it is ❰important❱ to ski.・・・

Christmas Eve is more important than Christmas Day in some European countries, but it is the other way round ❰↖️アメリカ英語では「around」❱ in England.

 

スキーは彼氏を見つけるためのもの、スキー衣装はそのための道具です。日本では😵💨

イングランドではまだそうでもないけれど、欧州大陸の国々ではクリスマスよりもその前日が盛り上がるらしいのよね

(津野志摩子「イギリス暮らしの英語表現」2006年より、要訳はKABUのもの)

 

 

 


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