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「いま世界の哲学者が考えていること」↖️悪気はないのだろうけれど「羊頭狗肉」の一書? +追記あり

2024年06月16日 22時58分12秒 | 書評のコーナー

 

2023-09-18 22:56:30

 

忙中閑あり。散歩がてら近隣の図書館で本を借りました

(check out a book from the library nearby)。

実に、興味を引きつけるタイトルだったから。

 

いま世界の哲学者が考えていること

 

でも、貸し出し延長はせずに速攻で返却(not renew it but return/take it back to)。

だって、竜頭蛇尾というか羊頭狗肉の一書と思ったから。

でも、誤解なきように❗️

本書は、同じ著者のこの書籍⤴️と同様、日本に特徴的な輸入代理店的の哲学書籍研究者としては優秀な著者がーー彼氏さんや彼女さんに「インテリさん」に見られたいという動機もあってのことでしょうか?ーー哲学に興味のある素人の読者のために誠実にまとめられたガイドブック。そうわたしは思っています。少なくとも、上から目線で、著者ご本人も「わかっているの?」ものの、リベラル派の仲間内向けに書かれた大部分の類書とは出来栄えもわかりやすさも段違いですから。

 

では、なぜに「羊頭狗肉」なのか?

簡単です。本書には、ただの一つも

 

>世界のいまの哲学者が考えていること

 

が書かれていないから。どういうこと?

もちろん、どんな言葉をどんな意味で使うかはかなりの程度著者の自由ではある。

定義の定義-戦後民主主義と国粋馬鹿右翼を葬る保守主義の定義論-

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/0fb85611be79e7a89d274a907c2c51ac

 

而して、著者は本書でいまの世界の哲学研究の趨勢を概略こう述べておられる。

「かなり概略的ではありますが、その変化が分かるように、現代の哲学的潮流を描いてみたいと思います。・・・このように、【20世紀後半までは生き残っていたかもしれないポスト構造主義と解釈学を含む】実存主義とマルクス主義が哲学の世界的な潮流としては勢力を失ったのに対して、アングロサクソン系の分析哲学は、その内実を変容させながら、現在でも現代哲学の中心的な勢力を保っています。」

(本書第1章第一節。下線はKABUによるもの)

しかし、本書にはただの一つも分析哲学の立場に立つ哲学研究者がいま取り組んでいることに関する記述はない。キリスト教の組織神学やイスラームの宗教哲学のいまの地平からの発信への言及もない。畢竟、哲学者を自称する西欧諸国のーーその多くはドイツやフランスの名門大学に籠城するーーリベラル評論家が書き散らす「先人の哲学テキスト」に関するーーその主張に哲学からの方法論的な根拠をとことん欠くーー読書感想文あるいは日記にしたためた世相談義の紹介のみ。

 

Just because the technology exists doesn't mean we need it.・・・For me, a plain old refrigerator that keep my food cold is more than enough.

(テクノロジーがあるからといってそれが必要ということにはなりません。・・・わたしはといえば、ちゃんと食べ物を冷やしてくれる昔ながらのありきたりの冷蔵庫であればお釣を払いたいくらい充分満足です/西欧で哲学風論議が続いているからと言ってそれをフォローしなければならないわけではありますまい。・・・わたしはといえば、自分の思索に科学方法論の基礎づけをきちんと提供してくれる、ありきたりの昔ながらのカント哲学、およびカントの哲学と親和的な唯一の現役の哲学でもある分析哲学系現象学流新カント派日常言語哲学で充分すぎるほどです)

(公式TOEIC Listening&Reading 問題集 8, pp.90ff.)

冷蔵庫でも「きちんと食材を冷やしてくれる」かどうかが重要。だから、話しかけてくれるとか献立とそのレシピを提案提供してくれるとかは極論すれば要らぬお世話の余分な機能。もちろん、それらの機能が好きな方はそんな新式の商品を買われればよろしい。でもね、です。そんな余分な機能は、そして、哲学に引き戻せば哲学風の読書感想文や日記に書いておけばよい世相談義は<冷蔵庫の機能>でもなく<哲学の思索>でもない。繰り返しになりますけれど後者はその言説に認識論・存在論・価値論の根拠が皆無だから。

でもね、まあ、大体が、西欧のリベラル評論家の哲学風文芸作品の輸入代理店でしかない日本の哲学書出版の環境を鑑みるに、蓋し、本書は、和書の「哲学書」としては潔く「令和5年現在、世界的にみても、ーー諸々の科学に、よって、それらの言説に認識論と存在論と価値論の基礎づけを提供しているーー現役の哲学は日常言語学系統の分析哲学のみである」という世界の常識がちゃんと紹介さているだけでも評価すべきなの、鴨。ならば、本書は、

羊頭狗肉➡️竜頭蛇尾

の一書と言うべきなの、鴨。

 

<再論>素人の素人による素人のための<技術>としての哲学入門・・・みたいな記事

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/2599c7621e96f3c97eb27cbe3886798a

 

書評:はじめての言語ゲーム

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/10d53758eaae62bffd83dc909a4ea99a

 

岩波書店『カント全集』完結♪(画像差しかえ版❤)

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/95ae24e813f4c07a0a3983d5c0ba686d

 

書評☆戸坂潤「日本イデオロギー」

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/6819e535b8364ae9d73bf63a22c43778

 

【再掲】海馬之玄関推奨--素人でも読めるかもしれない社会を知るための10冊--

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/dbf7ce118446231aefc61e7464f2cbf4

 



🍎母校・同志社大学・同志社女子大学の喫茶店で「哲学」した日々を懐古🍎

 

追記(2024年06月16日)

分析哲学・日常言語学派の言語哲学については

最近良書が出版されました。

言語哲学がはじまる (岩波新書 新赤版 1991) 新書

– 2023/10/21  野矢 茂樹 (著)  

⤴️加之、もう少しきちんと「入門」したい♥️という向きには

同著者の「増補改訂版 哲学の航海日誌」(春秋社, 2024/1/20

も出ました。KABUは幾らか反論したい箇所がありますが、

間違いなく、これまた良書。

 

 

ただ、入門書と言うことで、本書はすばらしいのですが、

素晴らしいのですけれども、その素晴らしさを堪能するには、

和書でよいのでイギリス言語哲学の入門書の他に

・カント

・ウィトゲンシュタイン

・できれば、論理実証主義

・できれば、現代数学基礎論

・できれば、分析哲学の鏡像としてのフッサール

これらを、英書/英訳で読まれる必要がある、鴨。

多分、それには3年ー5年程かかるでしょう。

が、その時間投資の効果はビジネスに

おいても絶大です。うけあいます。

 (*^o^)/\(^-^*)

 

今日も朝ごはん食べて英語頑張りましょう❗️

@ダブリン



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