会社法務の仕事をしているので契約書は毎日何件も読みますが、英語の契約書が平均して月に1件強程度あります。たまに同時に数件の案件が重なるときもありますが、その大半が米国企業との契約書なので見慣れない文体や使用される表現、単語に会うことはそれほどありません。 たまに米国企業以外のヨーロッパあるいはアジアの企業の英文契約書を読むことがありますが、その場合には米国企業の契約書ではまず見かけない表現もしくは単語を一つ二つ見つけることがよくあります。 最近読んだあるSingaporeのメーカーとの契約書にも "expunge" なる単語が次の様に使われていました。
“expunge all Confidential Information it programmed or entered into any computer, word processor or other similar device and destroy all notes, analyses or memoranda containing Confidential Information it prepared.”
"expunge" を辞書で調べると:
1. to remove something such as name or piece of information from a list, book etc.
2. to forget something bad
expunge ~ from the record
~を記録{きろく}から抹消{まっしょう}[削除{さくじょ}]する
・ The judge told the clerk to expunge the witness's statement from the record. 裁判官はその証人の発言を記録から抹消[削除]するように書記に言った。
expunged from the record
《be ~》記録{きろく}から抹消{まっしょう}される
The judge told the clerk to expunge the witness's statement from the record.
裁判官はその証人の発言を記録から抹消[削除]するように書記に言った。
などと出ていました。
辞書には <FORMAL> とも記されていたので法律、契約書などで使われる言葉なのでしょうが、私がこれまでに読んだ米国の契約書では "expunge" は使われず、通常 "destroy" が使われています。念のために過去半年で読んだ約10件程度の Non-Disclosure Agreement を確認しましたが、6割強は秘密情報の返却のみの定めとなっており、返却以外の条件としては次の例のように全て "destroy" が使われていました。
Confidential information shall be returned to the other Party or destroyed, with all copies thereof, upon the termination of this Agreement.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます