むすぶ つなぐ

「悪の枢軸」とされる国から思いつくまま……。

ツワモノ

2012年02月29日 14時32分59秒 | Weblog


外で暮らし、一番刺激を受けるのは、ツワモノに出会える時だ。

イランは厳しい制裁下に置かれ、ビジネスはなかなかうまく行かない。
私たちの仕事も何かと邪魔ばかりされ、決して楽じゃない。
そんな中でも、元気に動いている日本人はいる。




1カ月ほど前、30代で某国際機関勤務のFさんは、イランの事務所から、騒乱収まらない近隣のイエメンの事務所に転勤した。
厳しい環境の中で、ペルシャ語に続き、今度はアラビア語と格闘している。
テヘラン日本人社会で広く愛され、朗らかかつパワフルだ。



イランは何かと暗いイメージが増幅中。残念ながら今は来たくない人も多いようだ。
そんな中でも、ペルシャ語という宿命的?な言葉を学び、イランでの勤務を終え、隣のアフガン(ペルシア語に近いダリ語圏)に赴任する人が何人もいる。
少し前だが、私たちの仕事をサポートしてくれた、小柄な女性外交官のSさんは、日本に立ち寄らず、そのまま颯爽と隣国に旅立った。何とも格好いいのだ。
アフガンに比べれば、イランの生活環境は実は天国のよう。
奮闘しながら「故郷」のイランに思いをはせている。



昨日は元気のかたまりのような外大生Mさんが卒業旅行でやってきた。
Mさんは1年前、テヘランでペルシア語を学んでいた「有名人」。
イラン人社会にどっぷり浸かりながら、なおかつ在テヘランの日本人社会にもあちこちで顔を売り込み、たちまち知られるように。

人種や肩書に関係なく人とつながる能力がとにかくすごいのだ。
何度も一緒にケバブを食ったり、卓球やったりしながら、20歳も若い彼のエネルギーに何度も嫉妬してしまった。
この就職難の時代でも、やはり解き放つ彼の何かが評価されたんだろう。
難関の某援助機関の職員として、春から頑張るらしい。
「僕は、変わり者枠の採用ですから」。
そう笑っていたけれど、何かやってくれそうな予感……。





本当は「暗いイラン」は一行も伝えたくない。
けれど、正直なところ最近、経済制裁やこの国の暗い体制が、じわじわとボディーブローのように効いてきた。
日本で思われているような「戦争前夜」の緊張は全くないけれど、生活、仕事環境の悪化は日に日に増すばかり。


■原油人質、EU揺さぶり
http://mainichi.jp/select/world/news/20120221ddm007030009000c.html

■ネット規制強化
http://mainichi.jp/select/world/news/20120225ddm007030027000c.html



「グチばかりこぼし、仲間同士で固まる日本人はダメだ」。
赴任直後から、多少ツッパリながらこの2年と少し過ごしてきた。
日本人社会とは一定の距離を置き、それなりに言葉を覚え、イラン人と一緒に水たばこの煙をふかしてきた。
けれど、そんな自分の考え方がだいぶ間違っていた、と感じるようになった。

「記事読んでますよ」「先日は、○○まで行ってましたね」
日本人の集まりで、何げなくかけてもらう言葉が、最近身にしみるように。



多くの人に支えてもらいながら、何とかやっている。
そんな当たり前のことに今さらながら気づいた。

イランで暮らす日本人のひとりひとりがツワモノにも見えてきた。





先日、公園で初めて出会った「のらペルシャ」。

イランでもペルシャ猫は高価で貴重。普段外で見かけるのは、日本と全~く同じ顔をしたのらねこばかり。けど、こいつは違った。
イラン人の分析によると、毛の長さ、顔のひらべったさからみて、おそらくペルシャとのハーフらしい。
堂々とした歩きぶりがツワモノっぽかった。