遺言・相続

遺言や相続手続きをわかり易く

遺産分割2

2011-10-21 10:22:51 | 遺言・相続

遺産分割を行うにあたって法定相続分(法定相続割合)で相続するにしても、具体的に個々の財産の所有を誰にするかを遺産分割協議で決めなければならないことになります。

そこで、遺産分割の方法を簡単な例で具体的に分割をしてみますと下記のようになります。

     相続財産:宅地2筆(甲:120㎡と乙:60㎡)・現預金1200万円

     相続人:4人(配偶者:A、 子:B,C,D

≪現物分割で分割する例≫

各財産単位で分割することになりますので仮に次のように分割したとします。

A: 甲土地120㎡・現預金200万円

B: 乙土地 60

C,D: 各現預金500万円

ここで問題となるのが現預金は金額で評価できますが土地は㎡単位であるということです。又、土地の経済的価値は広さだけでなく立地条件や所有者の利用意図によっても大きくその価値が変わります。

相続人全員が合意できればこの分割方法は簡便で解り易く各財産単位で分割できるので不動産の所有形態もスッキリしたものとなります。

≪換価分割で分割する例≫

土地の譲渡価額…甲土地1,200万円、乙土地1,800万円、譲渡関係費用30%として、これを譲渡し各相続人が法定相続割合で分割したとしますと。

換価後相続財産…甲土地代金840万円+乙土地代金1,260万円+現預金1,200万円=3,300万円(実際、所得税等は確定申告のうえ納付することになりますが便宜上控除してあります)

A1/2):  現預金 1,650万円

B,C,D(1/6): 現預金 各 550万円

となります。

全て現預金ですのでどのような割合でも分割することが出来ますが、不動産をそのまま所有することができないことと譲渡に係る手続きが必要となります。又、譲渡費用や譲渡に係る所得税、住民税などを負担することになります。

≪代償分割で分割する例≫

土地の時価を、甲土地1,200万円、乙土地1,800万円と評価として、現物分割の例で各相続額を計算すると。

A: 1,200万円+200万円=1,400万円

B: 1,800万円

C,D: 各500万円

総額で4,200万円となります。これを法定相続割合で分割することにしますと

A1/2):  2,100万円

B,C,D(1/6): 各700万円

です。

結果、法定相続分との差は Aが△700万円、Bが+1,100万円、CDが各△200万円となります。

そこで、BA700万円CDに各200万円の金銭を支払うことで相続分を調整することになります。

しかし、B1,100万円を支払うことができるかどうかということが問題となります。

条件が整っていればよいのですが、Bが結局取得した土地を譲渡し、代償金額を支払った場合(譲渡関連費用30%として)Bの取得分は

1,800万円-(1,800万円×30%)-1,100万円=160万円

ということになってしまいます。

換価分割や代償分割は資産の種類又は相続人の状況を充分検討し行うようした方がよいと思います。

≪共有分割で分割する例≫

法定相続割合で分割したとします。(現預金については、共有となりません。)

A1/2):  甲土地60㎡・乙土地30㎡・現預金600万円

B,C,D(1/6): 各、甲土地20㎡・乙土地10㎡・現預金200万円

この場合、各土地は4人の相続人が共有で所有することになります、ただ、共有で所有しているとこれらの土地を処分等したりしようとする場合共有者全員の同意が必要となります(各共有持分の譲渡は可能ですが)。

又、時間の経過により共有持分ついて相続や譲渡があった場合、土地の権利関係が複雑になる可能性がありますので将来を考えた場合できるだけ避けることが賢明かと思います。