goo

サッカーあれこれ(51)


◎観客の老化現象
 昨年度のJ1観戦者の平均年齢が、前年より0.9歳も上がって40.4歳になったそうです。40歳を越えたのは、2001年に本格調査を始めて以来初めてとか。
 統計を分析した筑波大の仲沢真準教授は「これまでは1年で0.55歳の上昇が平均。今年はいつものペースより早い」と急速な高齢化の現状を分析しています。
 観戦者の数は、2008年の1試合平均19,202人をピークに下落傾向が続いていますが、まあ2万人以下で固定客が継続して安定しているという見方もできます。
 だが、平均年齢が若返るのならともかく、固定客が年々年をとって、リーグ全体が老化していく引き潮の現象が読み取れます。10年後にはどうなっているのやら。まさか平均年齢が50歳近くになってはいないでしょうね。
 Jリーグはチャンピオンシップ制を導入するなど、一生懸命盛り上げようとしていますが、若い新規のファンが開拓し切れていない。あるいは入場料が高いのか。ともかく若い人に魅力がなくなったとは脅威です。これは静かな内部崩壊を意味しています。

◎地域振興を目指すが
 1993年に発足したJリーグは百年構想を掲げ、地域密着を基本理念に「豊かなスポーツ文化の振興と国民の心身の健全な発達への寄与」を目指してきました。
 企業名を廃し、企業からの支援はなくても、経営の工夫と地域のサポートによってクラブが保持できる形を作る努力を続けてきました(現実には、まだまだ企業の支援がなくては困るクラブが多いようですが)。
 ある時は田植えや清掃作業の手伝いをするなど涙ぐましい努力をしたと伝えられています。地域の人々から、その存在を期待され、しっかりした基盤を築くことができただけでなく、地域の生活向上に貢献する存在になりつつあると言います。そしていまやJ3までできました。
 だが、Jリーグはまだ豊かとはいえません。プロ野球全選手の年俸平均は約4000万円といわれていますが、スポーツ紙を見る限りJリーグ選手の年俸は、プロ野球に及ぶべくもありません。経営も四苦八苦のところが多いようです。
 週の試合数や収容人数も限られていますからやむをえませんが、若者の試合離れの現実は寒気さえ覚えます。
 
◎「80年構想」はいかが
 なぜACLでの日本チームは勝てないのか。Jリーグの試合レベルは高いのか。際立ったチームがなく、個性に乏しい低次元の競り合いが多いのではないか。若い有望な選手は、なぜ外国に行きたがるのか。若者にとってどこに魅力はないのか。外人選手の枠を撤廃できないものか。
 J2、J3あたりは経営安定のため企業名を緩和してもいいのではないか。J1の9試合を一日にやるのではなく、分散したほうがテレビは放映しやすいし、新聞やファンは喜ぶのではないか、なぜ地元選手を積極的にやとわないのか、などなど注文は多い。
 性質は違いますが、百年構想はドイツのゴールデンプランを模したといわれています。そのゴールデンプランは1960年に発足し、15年ごとに成果を見直して、今日の隆盛をもたらしたとされています。
 百年構想の内容は理念が中心ですが、発足以来20年を越えたのですから、その成果を精査して、より具体的な「80年構想」を考えたらどうかと私は考えています。100年経っても百年構想では困ります。
(以下次号)
 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ