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サッカーあれこれ(35)

◎佐藤さん、ありがとう
 このコラム・ページの横に「最新のコメント」という欄があり、時どき読者の方が感想を寄せてくださっています。
 たいていは「偽名」「匿名」「変名」「造名」です。そんなものは、私はクリックしません。本名を隠し、きたない言葉を使って一方的に悪口雑言を述べる。これこそ、人間的に最も卑劣な暗殺行為であり、人間のクズと申せましょう。恥を知れ、です。
 だが今回、珍しく「佐藤省一」さんと本名で投書してくださった方がいます。本当にありがたい。私は、物書きのプロですが、涙が出るほどうれしい。お客さまは神様です。
 佐藤さん。こんどお会いするチャンスがあれば、私の肩をたたいてください。お茶でも飲みながら、ゆっくり「サッカー談義」といきましょう。

◎アギレの官報的な報道
 さて、老人の繰り言といいましょうか。今週もカチンと来ているのは、アギレ氏とやらの新監督就任です。そして、これを報じる各新聞のバカさ加減です。
 朝、読、毎、産経、東京の大手5紙はすべて、7月25日付け一面で報じています。「サッカー日本代表新監督にアギレ氏」と見出しもほぼ同じ。それを受ける形で、各紙ともスポーツ面に約半ページを使って、新監督を礼讚?しています。
 「早さ・組織力、ザック路線継承」(朝日)。「多彩な戦術、飛躍託す」(読売)。「豊富な経験。攻守柔軟アギレ氏」(毎日)。「勝てる日本、再建託す」(東京)。「多彩な戦術に期待」(産経)とザットこういった具合。見てもいないのに、よく言うわ、です。
 新聞の画一化、横並び現象が言われて久しいのですが、オイオイ新聞記者サンたちよ、これでは個性も、工夫も、独自性もないよ。日本サッカー協会の言うがままの官報と同じではないか。
 こういう大勢順応型の報道では、いつまでたっても日本のサッカーは進歩しないよ。もっと日本協会のドタバタぶりを報ずべきでしょう。

◎幹部に危機感はあるのか
 日本サッカー協会は、日本のサッカーに関係する人々、みんなのものです。原博実専務理事がどんなにエラい方かも知りませんが、その周辺のわずかな人々だけに相談するだけで、次期監督という、こんな大それたことを任せておいていいものか。
 「もしアギレで失敗した時に、原さん、あなたも責任をとる覚悟があるのですか」
 という質問ぐらい、記者会見で出ていいはずです。イングランドのように公選制にしたら、という案がなぜ出てこないのか。いま必要なのは、万機公論です。そんなに急ぐ必要もない。
 会長も専務理事も、ブラジルW杯での、あの惨敗の責任をとることなく、ケロリとして「次期監督は」などと言っている。こんなノー天気なことでいいのいか。彼らは上にいるボスから、現在の地位をもらい、高給を食み、メンメンと地位にしがみついているだけです。
 もう一度いいます。こんな自覚のない人たちに日本のサッカーを任せていいものでしょうか。
 アギレは「メキシコを2回ほどベスト16にした実績がある」そうですが、それなら、4年先のW杯で「日本をベスト16にしてくだされば、それでいいのか」。
 テレビで語る元日本代表の解説者たちによれば、「メキシコ人は、日本の選手と体格が似ているから適任だ」「気性は激しいが、気さくで陽気」「守備をまとめて攻める熱いサッカーをやる人」だそうです。一方で、長谷部誠主将は「アギレさん? ボクは彼のことはまったく知りません」と言っていました。
 こんないい加減な知識で、監督を決めていいものか。スポーツ紙によると年俸2億5千万円とやら。よくそんな大金を払うよ。9月の国際試合に向けて、日本選手とくにJリーグ選手のことが短期間でわかるのか。もしわかれば、アギレは宇宙人だよ。
 
◎人に頼らず、自分で考えよ
 こんどのブラジルW杯では、大会前にベスト8だの、ベスト4だの、中には優勝だの、と「日本のレベルは世界的に見ても高い」いう風な人騒がせの楽観論が勝手に横行しました。信じていたワタシが悪いのよ、ということになりそうです。協会の人たちは、「今回の大惨敗」を真剣にとらえているのだろうか。
 日本は、いまやアジア・チャンピオンリーグの参加枠を4から2に減らされようとしている。世界ランクは45位。欧州での多くの日本選手は、いつもベンチを温めている。世界からみれば、「日本はこの程度のレベルだ」ということを、日本協会の連中はよーく認識すべきでしょう。身の程知らずのところがあります。
 私は、金儲けの国際試合をやりながら、ずるずると次の4年間が意味なく経過すると思っています。楽観論が横行すること自体がおかしい。日本人は、すぐに戦術や戦型を語ります。だが、基本的にサッカーの試合は、監督がやるものではない。選手がやるものです。選手個人のレベルアップが大切です。
 かつてクラマーさんはサイドキックから始めて、「戦術のノウハウを知りたい」と思っていた高橋監督を驚かせました。ファルカン監督は「膝の筋肉を強化する」ことから始めました。日本選手の基本的な課題--劣悪な体格、環境に順応できない体力、スピードのなさ、全体を見渡せるサッカー観や得点を狙う執念の不足などの強化が先でしょう。
 日本選手に何が足りないのか。なぜあんな覇気の無い試合をやってしまったのか。若い選手に何を伝えていくべきか。それは日本人自身が考えることでしょう。外国人に教えてもらおう、アギレ監督に救ってもらおうなどと思っているうちは、日本サッカーの進歩はありません。大惨敗の教訓を生かすことにもなりません。


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