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スポーツ・マスコミあれこれ(25)

◎そこのけそこのけ五輪が通る
 だんだん年をとってくると、たいていのことには驚かなくなっているのですが、少し前の新聞に、私は大いに驚きました。
 1月22日付けの朝日新聞朝刊一面に次のような社告が載りました。
 「本社は、公益財団法人東京2020オリピック・パラリンピック競技委員会組織委員会と『東京2020オフィシャルパートナー』の契約を結びました。契約期間は1月21日から20年12月31日までの約5年間です」
 朝日新聞は商業新聞ですから、オリピックに協力すると宣言することは、まあ仕方ないことでしょう。
 だが、私の驚いたのは次に毎日新聞と読売新聞を見たときです。同じような囲みものの一面社告で「本社は公益財団法人東京2020オリピック・パラリンピック競技大会組織委員会と東京2020オフィシャルパートナー契約を締結しました」とあったからです。
 まったくオヤオヤです。主要3社の新聞社が、しかも同じ日に、オリピックに協力していくと宣言したわけです。裏でなにか談合があったことは明らかです。
 たしかオフィシャルパートナー契約は一業種一社に限られているのではなかったのでしょうか。

◎進歩しない日本の新聞
 私は戦時中に、日本のすべての新聞が軍部に協力して、同じように戦意高揚の記事を書いたことを思い出しました。オリピックに批判的な新聞があってもいいじゃないか。
 日本の新聞は、右へならえで個性がない。一犬吠えれば万犬吠えるでオリピック礼讚の記事を軒並み書きまくり、体制翼賛的な記事を読まされるとは脅威です。
 また、朝日、毎日、読売とも、まるで一社独占のような書き方をせず、正確には「3社そろってオリピックに協力する」と自虐的?に書くべきでしょう。自己宣伝の好きな日本の新聞のいやらしいところで、いつまで経っても進歩がありません。

◎見せることに意義
 かつてオリンピックは「参加することに意義がある」といわれました。いまは派手なパーフォーマンスが優先し「見せることに意義がある」に変わりました。
 「見せること」で大きな役割を果たしているのはマスコミです。コーチ陣はもちろん親兄弟まで登場し、苦しいトレーニングが報道され、勝てば褒めまくり、タレントとして時代の寵児に祭りあげられます。先入観に基づいた勝者礼讚の姿勢です。
 さきに日本サッカーU23がリオ五輪の出場権を得たときには、朝日、毎日、読売が一面でそろって写真入りで報じ、社会面スポーツ面で同じように礼讚記事を載せました。その手口はワンパターン。内容もほぼ同じです。
 なぜマンネリ的に、右へならえ的に、こういう平面的な報道の仕方が固定化したのでしょう。工夫のないことです。
 私は、毎朝各新聞を見て、切り抜いておきたい個性的な記事はないかと目を皿のようにしているのですが、なかなかみつかりません。物事の背景を探るといったジャーナリズムに徹した突っ込み記事がありません。
 オリンピックが近づくにつれて、写真だけが大きい大味な記事を読まされると思うといやになります。
(以下次号)



 
 

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