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オリンピックあれこれ(50)

◎ロシアのドーピング騒動
 ロシアの陸上競技の選手が、大量にドーピングをしていたと大騒ぎになっています。どうやらロシア陸連や政府までも絡んだ国家ぐるみの組織的な事件ようです。
 プーチン大統領も乗り出し「選手個人が好き勝手にやったもので、国家ぐるみではない」と弁明しているようですが、賄賂も横行しているとか。ロシア側の言い分はとても苦しいようです。
 国際陸連と世界反ドーピング機関は暫定的ですが、ロシア選手の国際大会への出場停止処分を科しました。日本でも、金沢でやられていた国際マラソンで優勝したロシア選手の記録を抹消し、順位を繰り上げる事件が起きています。
 いまのままでは来年のリオ五輪へのロシア選手の参加が危ぶまれています。陸上競技大国のロシアの不参加は、オリンピックにとっても大きな痛手でしょう。

◎恐ろしい国家ぐるみ
 私はもともとドーピングは、あまり厳しく取り締まらない方がいい、というのが持論でした。市販のカゼ薬を間違って服用したとか、生まれつきのゼンソクの子供が予防薬として常用してしているのまで、1年とか2年とか出場停止にするのは酷だと思っていたからです。
 それに最近は、競技会の時だけでなく、日常生活の中で抜き打ち的にオシッコや血液を採取する人権無視のやり方に少なからず抵抗を感じていました。
 うわさ話ですが、ライバルを蹴落とすためドーピングという手段を用いるという不愉快な話も伝わっています。マラドーナがドーピングに引っ掛かったのは、明らかに謀略?でした。
 それに、最近は全世界に張り巡られた巨大な反ドーピング機構。これにかかる莫大な費用もバカになりません。2年も3年も前に採取した検体を持ち出して罰するのも不愉快です。
 ということで、ドーピングに批判的だった私ですが、今回のロシアの「国家ぐるみ」というのには感心しません。かつての東ドイツや中国のドーピング事件の残酷さを思い出します。
 気の毒なのは選手たちです。若い有望選手がコーチや役員から「このクスリを飲めば勝てるよ」と勧められたら断り切れるものではないでしょう。
 選手たちは知らず知らずのうちに国家戦略に巻き込まれ肉体が摩耗してしまう。
 私は、国家というもの、そして国家の名において無慈悲なことを平気でやる人たちの姿に慄然たる思いです。

◎日本はどうか
 ひるがえって日本はどうか。ドーピングには厳格で、へまなことをやらない賢さを備えていますが、国家ぐるみという点では、ロシアと伝統的に同じで、首を傾げたくなる部分が多々あります。
 文科省はじめスポーツ庁、五輪担当大臣、JSC、東京都らはオリンピックに一生懸命です。「史上最高の金メダルをとれ」と豊富な予算を投入しています。一見いい政治をやっているようですが、このような国家ぐるみでは、ロシアのやり方を対岸の火事とばかり笑うことができるでしょうか。
 そもそもスポーツは、お上にやれといわれてやるものではないと思うんです。国がお金を出して選手の尻を引っぱたいてやらせるものではない。無理をせずのびのびと持てる力を出すだけで十分ではないでしょうか。
 国が金を出してスポーツをやらせるのではなく、アメリカのように寄付した人に、軽減税率で優遇し民間運営するのが一番いいと私は考えています。
 最近のオリンピック頑張れムードを見ていると、日本もけっこう「国家ぐるみ」が好きなんだと、ちょっと怖い気がします。



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