徒然草第242段 とこしなへに違順に使はるゝ事は
原文
とこしなへに違順(ゐじゆん)に使はるゝ事は、ひとへに苦楽のためなり。楽と言ふは、好み愛する事なり。これを求むること、止む時なし。楽欲(げいよく)する所、一つには名なり。名に二種あり。行跡(かうせき)と才芸との誉なり。二つには色欲、三つには味(あじは)ひなり。万の願ひ、この三つには如かず。これ、顛倒(てんだう)の想より起りて、若干(そこばく)の煩(わづら)ひあり。求めざらんにには如かじ。
現代語訳
いつになっても変わることなく逆境と順境に人が翻弄されるのは、楽を求め苦から逃れようとするからである。楽と言うものを人は好み愛するからである。この気持ちが止むことはない。人が渇望するものの一つが名を得ることである。名には二つある。一つは品ある行いが讃えられる事、教養と芸で讃えられることである。二つ目が性的欲望を満足させることである。三つ目が食欲を満足させることである。すべての人にとっての願いはこの三つに尽きる。このような欲望は物事を逆に受け取り考えたための煩いである。このよう欲望を求めないに超したことはない。
バートランド・ラッセルの名言
あなたが何を信じようと、 慎みを忘れてはいけない。
愛を受け取る人間は、 愛を与える者である。
道徳は、つねに変化している。
次に起こる戦争は勝利に終わるのではなく、
相互の全滅に終わる。
私は両親の愛にまさる偉大な愛を知らない。
“自制の効用”は、列車における ブレーキの効用に似ている。間違った方向に進んでいる と気づいた時には役に立つが方向が正しい時は、害になるばかりである。
幸福の秘訣は、こういうことだ。
あなたの興味をできるかぎり幅広くせよ。そして、あなたの興味を惹く人や物に対する反応を敵意あるものではなくできるかぎり友好的なものにせよ。
人間、関心を寄せるものが多ければ多いほど、ますます幸福になるチャンスが多くなり、また、ますます運命に左右されることが少なくなる。かりに、一つを失ってももう一つに頼ることができるからである。
最も満足すべき目的とは一つの成功から次の成功へと無限に続いて決して行き詰ることのない目的である。そして、この点で建設は破壊よりも一段と大きな幸福の源であることがわかるだろう。
首尾一貫した目的だけでは人生を幸福にするのに
十分ではない。しかし、それは幸福な人生のほぼ必須の条件である。
私は、どんなに前途が多難であろうとも人類史のもっともよき部分が未来にあって、過去にないことを
確信している。
実際、人類の大半が愚かであるということを考えれば広く受け入れられている意見は、馬鹿げている
可能性のほうが高い。
愛を恐れることは人生を恐れること。そして、人生を恐れる人たちは、ほとんどの部分が死んでいる事と同じなのだ。
賢人は、妨げうる不幸を座視することはしない一方、
避けられない不幸に時間と感情を浪費することもしないだろう。
幸福な生活とは、その大部分が静かな生活であることにかかっている。なぜならその静かな雰囲気のなかでだけ、真の喜びは生き続けられるのだから。
バートランド・ラッセル『幸福論』より