1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 一昨日も、中学校の先生がお寺に。教育現場の実態を赤裸々に。教育現場が崩壊しない様に、何か手を打つ必要が。

2023-06-22 08:35:20 | 法話
【6月25日投稿分】

大津市の中学2年生男子が、いじめによって自殺を。それがきっかけで『いじめ防止対策推進法』が成立して、今年で10年に。その中学生の父親が先日、テレビで「あれから10年。いじめ問題はなんの進展も。わが子の死を無駄にしてもらいたくない」のニュアンスの言葉を涙声で。

2021年に認知した『いじめ』について、児童1000人当たりの件数を毎日新聞が調べたところ、33自治体の間で、約30倍の差(いじめ件数)がある事が判明したと。これは『認知したいじめ』が少ない自治体では『いじめ』が見逃されているのではないのか、と専門家が。

『いじめ防止対策推進法』が出来た頃、今から約10年程前ですかね、東京から「死にたい」と言う13歳の男の子を連れて、両親が拙僧のところ(寺)へ相談に。話の流れから、この子の父親が「住職は、転校しろ、と言われるが、次の学校でも『いじめ』にあったら、どうするんですか」と。「また、転校すればいい」「更に、次の学校でもいじめられたら」「安息地が見つかるまで、何度でも転校すればいい」「それじゃ、こいつ(自分の息子)は、何に対しても逃げる様な人間に」と父親が。「あなたの息子が自殺した後に、そんな言葉をその時に、また出せますかい。拙僧は『逃げろ』と言ってる訳じゃない。『自分の命を守りな』と言ってるだけ。何度注意をしても、そのいじめっ子達に聞く耳などはない。自分がいじめの対象になって、辛い思いをしないとわからん。人は教えられても、身に付かん。人は気付かにゃ、身に付かん。こんな『いじめ』をしてくる人間に、自分の命(人生)を代償にしてまで、付き合う必要などない、と言ってるだけですよ。人間は1度死んだら、2度と生き返ってはこれませんよ」と、この父親に。

その3ヶ月後、この13歳の男の子から嬉しそうに電話があり「次の学校で幸せな学生生活を送っています」と。父親は拙僧に相談に来た後、東京に帰って、即、転校手続きをとり、自分は1人東京に残り、母親と息子さんを他地域の学校へ。その父親も電話に出てこられ「息子の変わり様を見て、転校をさせたは正解であった、と思いました。有難うございました」と拙僧に。

拙僧のところ(お寺)へ、これまでに来られた自殺相談者は少なからず。が、相談に来る人は、まだ生きていたい、という気持ちが。よって、その行為に至った人は運良く、拙僧が相談を受けた中にはいなかった。相談が出来る相手が『いる、いない』だけでも、大きく結果が違ってくる様な気がしますね。但し、拙僧の範疇(相談を受けた)に限った事ですが、自殺に至った、自殺まで至らなかった、数十人の内の大半が、いじめではなく、親子(家庭内問題)関係にて。因みに、外国では、いじめっ子の方を転校させる方策が、取られている国もあるとか。何故か、どうしてか日本は、被害者よりも、加害者の方を擁護する傾向が。ただ単に、幸せな人生を望んでいただけの人の命を、死ななくてもよかった人の命を、そんな人の将来(未来)の全てを奪ったのに。

教育委員会から依頼を受け、拙僧、講演に呼ばれた事が何度か。その時、参加の教諭陣に「わが寺の檀家に、先生(同僚)達からのいじめを受け、精神疾患となり、休職して長期入院した男性が、2人。『いじめはするな』と生徒を指導している先生達が、先生間でいじめを。2019年に起こった『神戸市の教師いじめカレー事件』は、まだ、記憶に新しいですが。まさか、この会場にそんな先生は、おらっしゃれんとは思いますが。報道で『いじめ』の事件がある度に、校長先生(学校関係者)が『いじめがあってるとは知りませんでした』なる釈明が。いやいや、それは如何なものかな。拙僧は若い頃に毎年、お寺で3泊4日の夏休みの林間学校を、数百人の子供達を相手に。その短い期間でも、いじめが行われているは、結構認識出来ますよね。いじめられている子供から、大人にモールス信号(目で訴え)が必ず発せられてますから。報道で発表される『いじめ』で自殺された子供さんの遺書には『先生に何度話しても、真剣に僕(私)の話を』の言葉が度々。人は、長い人生の中で、人から必死に助けを求められる事って、そんな度々ある事ではないですよね」と先生達に。

続けて、拙僧「大半の先生は恐らく、真剣に子供達と向き合う教育熱心な先生ばかりかと。が、昨今、聞くところによると、先生達があらゆる面で、精神的、肉体的に、追い込まれているとの事。わが寺の檀家で先生をしている50代男性が『住職、先生によっては、2年も、3年も、1年間1日も休みがなかった、という先生も』と。『クラブの顧問ですか』と問うと『はい。高校では既に、クラブ活動の指導者は外部の人が。ところが中学では、まだ、先生が担当するが主流。クラブ活動以外でも、業務が多過ぎて、帰宅時間が22時、23時になる先生達も。この過酷な職場環境で、精神をやられる先生もおれば、家庭を崩壊させた先生も。おまけに、理不尽な文句を言ってくる、モンスターペアレンツなる親の対応も。私の知人教諭には、1日に何度も、酷い時には夜中まで、自宅の電話にギャーギャー文句を言ってくる親がいて、遂に精神疾患となり、休職に追い込まれました。いじめを黙認するは、そりゃ、いかん事ですよ。が、先生達は精神的に、いっぱいいっぱいの状態なんですよね。国は早く、仕事の分担化に着手しなきゃ、教育現場そのものが崩壊する事に。近頃では、先生という職業に若者が魅力を感じなくなり、競争率(教諭志願者)も低下を。どの職業でもそうでしょうが、競争率が3倍前後になると、質が落ちる。どうにかならんもんか、と様々思案しながら、頭を抱えております』と、檀家で教員をされている男性がそんな事を」と、この講演で先生達に。

【追伸】
わが寺の檀家の中には、保育士の免許を取得しておりながら、他種の仕事をしている人達が。理由は様々なれど、日本全国にそんな人が、30万人もいるとか。ある代議士に拙僧『教員免許と保育士の免許を統一(一貫に)して、小学生の担当も出来れば、幼児の担当も出来る様にしてはどうですか。幼稚園、保育所を新たに設立の話が出た途端に、煩くなる、と住民から反対の声が。なれば、最初から子供の声が聞こえている小学校に、設けたらどうですか。少子化で教室が余ってるんだから。昨今は世の中が物騒だから、兄弟がおれば、登下校も安全だし。これは、大雑把な提案ですが、一考してみる価値は。『異次元の少子化対策』の声もあがってるようだし」と進言させてもらった事が」と。

投稿写真は、子供SOS の1つです。他にも相談所は多数あります。

次回の投稿法話は、6月30日です。