1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 人が生まれて、初めて人間の理不尽(自分勝手、欲、嘘つき、浪費など)を目にする(3歳の子供が)は、親の言動から。

2023-06-08 06:25:10 | 法話
【6月10日投稿分】

先月、親子関係に大きな溝のあった父親を亡くした息子(長子)さんに拙僧、葬儀の当日、次の様な話をしました。

「平成15年7月8日、拙僧が父を亡くしたその年に、檀家男性が他界を。平成15年6月28日、67歳で。ところが、その男性の父親も、昭和55年の6月28日、67歳で他界を。君の爺様と父親もこの度、他界日と他界年齢が同じだったな。偶然とはいえ、不思議なもんだよね。そこの家族はちょっと複雑でね。平成15年に亡くなった男性の、最初の奥さんの子供が長男さんで、2人目の奥さんの子供が、長女さんと次女さん。つまり、親の離婚による腹違いの兄妹って事だな。葬儀は一応、その長男さんが喪主をされたが、その後の追善供養(1周忌、3回忌、7回忌、• • • )は、父親が大好きだった長女さんが引き受けた」と。

続けて「その父親の葬儀の時に拙僧、その長男さんに『わが寺の納骨堂に次に入れるは、直系の君達家族なんだが、父親と一緒に入るがどうしても嫌なら、爺様と父親は永代供養にして、お寺が預かる事も出来るよ。つまり、お寺の納骨堂が、君の家の仏壇となる。そうされている檀家さんは、何軒かある。長女さんと妹さんは嫁がれているから、ずっと里の仏壇を嫁ぎ先に置いとく訳にはいかんからね。だけどくさ、現実的な話で、わが寺の納骨堂を君が継承しなかったら、君は、どこぞのお寺の納骨堂を契約するか、お墓を建てなきゃならん。継承すれば、お金は0円で永眠場所を君達家族は確保出来るが、別にお墓を建てようもんなら、安いお金の問題じゃない。そこら辺に自分達の遺骨は捨てても構わん、というのなら話は別だが。が、この、捨てても構わん、は、様々な問題が起こってる。まず、誰が捨てに行くのか。死体は自力で歩いて火葬場には行けないし、自分の遺骨を自分で捨てにも行けん。散骨、といえば、聞こえはいいが、あれは海に捨ててるに同じ。後々後悔して拙僧のところへ、どうすればいいですか、と相談に来る人は少なからず。どうすれば、と言われてもね、遺骨はもう戻ってくる事はない。10年経てば、知識、知恵、経験が増して、人の考え方は確実に変わる。わが寺の納骨堂は、あの位置から変わる事はないから、じっくりと考えなさい」と。

更に、拙僧「死んで逝った人間にこだわりはない。こだわってるは、いつも残った人間だけ。喧嘩相手は、もうこの世にいないのに、腹を立て続けて何の得になる。心身ともに病む(疲れる)だけだよ。よしな』と。この長男さんだが、数年後『私が金剛寺(わが寺)の納骨堂を継承させてもらいます』と拙僧に申し入れてきた。君の家庭によく似てるだろ。君は若いし、時間はたっぷりあるから、よくよく考えてみてごらん。君に対してのこの話は、あくまでも拙僧の提案に過ぎん。お寺から『こうしなさい』と強制をするつもりは全くないからね。君達(長男、長女、次女)が下した決定に、お寺は従うだけだよ」と。

上記の家族のような話は、結構にあるんですよね。葬式、お墓、先祖の継承に限らず、その場の感情だけで動いて、後々後悔した人達は、少なからず。その場の感情といえば、こんな話も。どこで聞いた話かは忘れましたが、父親の後を継ぎ、漁師になった息子に、親戚の叔父さんが心配して「お前の父親を殺した恐ろしい海に、何故、お前は毎日、毎日、出ていくんだ」と。対し「叔父さんの父親は、どこで亡くなったの」と。「布団の上だ」「じゃ、何故に叔父さんは、叔父さんの父親が死んだ恐ろしい布団の上で、毎日、毎日、寝てるんですか」と返した、と。この話、読者の皆さんの人生に、何かしらの参考にしてもらえれば。

葬儀といえば、こんな話も1つ。ご主人の7回忌法要当日、癌の為に主治医から余命1年を宣告された奥様が「住職さん。夫が他界前に『私の人生に悔いはないが、何が辛いって、君と別れる事かな』と寂しそうに。『一緒に逝きましょうか』と言うと『いや、50年以上も、わがままだった私の世話を。随分疲れたろ。ゆっくり休んでから、ボツボツ来なさい』と。思えば生涯を通じ、夫は私を大事にしてくれました。そろそろ夫のところへ逝きましょうかね。待ちくたびれているでしょうから。ご住職、夫に何か伝えてほしい事はありますか」と。その半年後に。

また、こんな話も。ある檀家の男性は、父親が大好きで、その父親が若くして他界した時、後追い自殺を希望。当時、若干20歳。が、母親から泣いて止められ、その場は何とか。それから58年後、その男性が他界を。大好きな父親の誕生日の日に。この様な月日の偶然は、結構にあります。「残った者、忘れんなよ」という事かな。拙僧の爺様の祥月命日(立ち日)も、拙僧兄の誕生日にて。恐らく偶然でしょうが、縁というは、異なもの味なもの、ですよね。

【余談1】
檀家女性が「冠婚葬祭の仕事をしてると、こんな話が度々耳に。気分次第で、意味もなく、転々と菩提寺(我が家の先祖を供養してくれる寺院)を。そんな話を聞く度に『高額離檀料を取られてもしょうがないよな』と思える様になった。菩提寺変更といえば、仏教からキリスト教に変える人も。その理由が『キリストって語句が、かっこいいから』だって。どう思うよ、住職。ハロウィン並みの受け入れ方(ノリ)だよ。この先、この国は、どうなっていくんだろう」と。因みに、離檀料の話は、拙僧も何度か聞きました。300万、800万、最高額では1200万。「どうすればいいですか」の相談に対し、拙僧「どこぞの地裁が、上限50万と言いおった。鬱陶しいが、裁判すれば判例があるので、その額になりますよ」と。が、離檀料って、必要ないよね。大半の家はそれなりの理由があっての、菩提寺変更だろうから。

【余談2】
余談ですが、昨日、読者高校生が「醤油差しを舐めた若者に、スシロー側が6700万円の賠償請求をしたんだってよ、住職。『これが社会というもの。今時の子供には、大人の社会を嘗めると、ごめんなさい、じゃ済まない事がある、を教えた方がいい』と。俺もそう思うよ。それも、自分で動画を撮って、自分でSNS に投稿するなんて、アホ丸出しじゃん。わからんのかな、その後に、大変な事が待ってるって事が。見つかってない行為まで含めると、どれほどあるのやら。関連被害(スシロー以外)を考えると、莫大な損失に。まずは、こんな低俗な行為を止める手立てを講ずる事が、最優先課題だわ。スシロー側の6700万円損害賠償請求だが、住職はどう思うよ、これ」と。「まあ、ひと舐め(醤油差し)6700万円は、ごっついよね。中には、賠償金額が安過ぎると言われる人もいると耳にするが、親はほんと、大変だわ。が、スシロー側は、請求した後に示談にして、親の負担を軽減してくれるかもよ。家庭崩壊まで望んでないだろうから。『若者達に社会の仕組み(嘗めたら、こうなる)を、わからせればそれでよか』と言ってね。これはあくまでも、拙僧の憶測だけどね。SNS でも陰口を言いたい放題だし、ほんと、おかしな世の中になったよね」と。

次回の投稿法話は、6月15日です。