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Dr. 讃井の集中治療のススメ

集中治療+αの話題をつれづれに

JSEPTIC-CTG、セミナー終了しました

2013-07-02 18:11:11 | 麻酔

6月22日昭和大学で開催された第13回JSEPTIC-CTG総会にご参加くださりありがとうございました。

マイクが使えずご不便をおかけしたことをお詫び申し上げます。

アイデアの段階から論文執筆中のものまで、進行中の12件の研究について熱くディスカッションすることができました。今回はオブザーバーの方も含めのべ33名ご参加くださいました。

次回は9月14日に慈恵医大で行います。研究アイデアをお持ちの方(過去にもCTGで話し合われボツになったものでも形を変えて単施設で行われたり、ひょうたんからこま、いろいろなパターンがありますので、どうぞお気軽にお持ちください)、ご自分の進行中の研究に対して意見を聞いてみたい方、単に覗いてみたい方、お気軽にいらしてください。

また午後からは、JSEPTICセミナーにご参加くださりありがとうございました。蒸し暑い中のべ146名の方にご参加いただきました。

Intensivist ECMO特集の刊行に合わせて、編集をしてくださった横浜みなと赤十字病院の武居哲洋先生の進行のもとに、4人のエキスパートの方に素晴らしいご講演をいただきました。

板橋中央総合病院麻酔科の赤嶺 斉先生には、「体外循環の生理学」というテーマでVA-ECMO、VV-ECMO施行にともなって生じる生理学的変化について、自治医科大学附属さいたま医療センター臨床工学部の百瀬 直樹先生には「ECMOデバイスの原理と進化」とくにポンプおよびガス交換の原理について、駿河台日本大学病院循環器科の渡邉 和宏先生には「VA-ECMOの症例検討」と題して、心肺蘇生時のVA-ECMOの豊富なご経験について、最後に日本医科大学付属病院集中治療室の竹田 晋浩先生には「日本のECMO治療の課題」について、海外およびご施設での豊富なご経験をもとに日本の第一人者の立場から、デバイスと管理の重要性および進行中のECMOプロジェクトに関してお話ししていただきました。

Intensivistの復習、誌面に現れない臨床的なこぼれ話、秘話、コツなど、大変勉強になりました。

次回は、9月14日「神経集中治療」をテーマに慈恵医大附属病院で行います。始めての試みとして、CTG、セミナー、FCCSを同一場所で開催いたします。三つを自由に見学していただけるようにする予定ですので、是非ご参加ください。プログラムができ次第ML、HPなどでお知らせします。

また、1年分のJSEPTICセミナーの講演が動画で視聴できるJSEPTIC Clubの入会も随時募集しております。セミナー参加が無料になります(ただし技術的な問題、版権、個人情報の問題などで一部視聴できない部分があります)。

引き続きよろしくお願いします。


第18回JSEPTICセミナー(テーマ ECMO)のお知らせ

2013-05-28 23:59:56 | 麻酔

第18回JSEPTICセミナー(テーマ ECMO)

http://peatix.com/event/13284

http://www.jseptic.com/seminar/pdf/18thjseptic_pro.pdf

まだ席に若干の余裕がございますので、ふるってご参加ください。

ECMOに関して一気に勉強したい方、Intensivist特集「ECMO」の復習をしたい方、演者(著者)のナマの見解を聞いてみたい方、絶好のチャンスです。

< 日時 >
2013年6月22日(土)13:00 - 18:00 (受付開始12:30 - )

< 会場 >
昭和大学病院 上條記念講堂
〒142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8
交通のご案内:
最寄駅(東急池上線・大井町線 旗の台)
東京駅 - 旗の台駅:28分(五反田経由)
新宿駅 - 旗の台駅:28分(五反田経由)
品川駅 - 旗の台駅:19分(五反田経由)
旗の台駅東口下車 徒歩5分

< 参加費 >
当日参加:3,000円
事前申込:2,500円(5/8 - 6/14)
JSEPTIC CLUB会員:無料

<プログラム >
13:00 - 13:05
開会の辞 武居 哲洋(横浜市立みなと赤十字病院)

13:05 - 13:50
「体外循環の生理学」
演者:赤嶺 斉(板橋中央総合病院 麻酔科)

13:50 - 14:35
「ECMO デバイスの原理と進化」
演者:百瀬 直樹(自治医科大学附属さいたま医療センター 臨床工学部)

14:35 - 14:55
JSEPTIC CTG 委員会から

14:55 - 15:05
休憩

15:05 - 15:50
「V-A ECMO の症例検討」
演者:渡邉 和宏(駿河台日本大学病院 循環器科)

15:50 - 16:35
「日本の ECMO 治療の課題」
演者:竹田 晋浩(日本医科大学付属病院 集中治療室)

16:35 - 16:50
休憩、機器展示等

16:50 - 17:55
パネルディスカッション
「PCPS/ECMO アンケート結果と質疑応答」
司会:武居 哲洋、パネリスト:赤嶺 斉、百瀬 直樹、渡邉 和宏、竹田 晋浩、讃井 將満

17:55 - 18:00
閉会の辞 武居 哲洋


ICUを救う「長期人工呼吸病院」

2013-01-28 14:28:14 | 麻酔

以前お伝えしましたが、第16回日本集中治療教育研究会(JSEPTIC)セミナーm3.comの記者の方が取材に来てくれました。

セミナーの中でとくに注目を集めたのは、札幌平成会病院の岡村 篤先生による「長期人工呼吸病院」に関するレクチャーで、その記事がm3.comに掲載されています。

http://www.m3.com/clinical/news/article/165236/

記事の閲覧には会員登録が必要ですが、ご興味のある方は是非どうぞ。

なお、「JSEPTIC Club」にご加入いただきますと、岡村 篤先生による「長期人工呼吸病院」のレクチャーだけでなく、大阪府立母子保健総合医療センター 竹内宗之先生の「呼吸仕事と呼吸筋疲労」など、必見のレクチャーが動画で見れます。

さらに、1年分遡ってセミナー(小児ICU、術後管理、終末期医療)のレクチャーも見ることができますので、お得です。

アップされたらMLでお知らせします。


口頭試問シミュレーションで教え、学ぶ

2012-08-30 14:18:12 | 麻酔

有志で集まって週二回朝7時から1時間、麻酔科専門医試験口頭試問のシュミレーショントレーニングを行っています。

とても楽しいです。

なぜか。

1. まず、知識の復習になるからです。

自分の知識がいかにあやふやか、再認識します。 米国レジデント時代に、コロンビア出身のチーフレジデントが朝のカンファレンスで、「悪性高熱症」の病態、発生頻度、診断、治療、疑った場合にどこに連絡して筋生検の準備をするかどうか、までよどみなく述べたときには、驚きました。 また、パキスタン系米国人の後輩レジデントが、麻酔科研修3ヶ月目で(3ヶ月目ですよ)、「シスアトラクリウム」という筋弛緩薬の薬理学、臨床使用法、適応について完璧に述べたのも思い出しました。 彼らのオーラル・プレゼン力は凄いなあ、さすが口で勝負する国、説得力あると感心しました(数字を正確に覚えて伝えるのですよね、だから説得力が出る)。

同時に、当然のことながら自分のオーラル・プレゼン力のなさを反省したわけですが、すぐに気づいたのは、「これはまず知識の問題であって、英語の問題でない」ということでした。実際、多くの場合これが当てはまり、さらに言えば「英語力の不足を知識でカバー」すれば、どんなに下手な英語でも「それなりに」通じると知りました。

正確な知識、これが必要です。朝の口頭試問のシュミレーションを終えたあと、なるべく早くこの自分のあやふやな知識を調べて、その日のうちに有志にメールで補足しています。

 

2. 日本の臨床麻酔の現状(メインストリーム)を実感することができるからです。

集中治療専属で週1回アルバイトで自分の好きなように麻酔をするだけの身にとっては(ちなみに好きな麻酔は、安くて、すぐ醒めて、覚醒時に痛みがない麻酔)、日本の臨床麻酔の現状を知る機会は多くありません。近年、日本でも複数の麻酔関連薬が発売されるようになりましたが、新しい薬について若いレジデントに臨床的な使用感を聞いてみたり、実際にいろいろな場面でどういう麻酔をするのか知るよい機会になります。日本で新しい薬と言っても実際に米国で使ったことがあるものが多いのですが、そのときの自分が持っていた印象が彼らのそれとは違うことに驚くこともあります。

これらの新しい薬の適応の問題、薬剤コストの問題などはさておき、麻酔がどんどん簡単になっていく歴史を肌で知ることができます。思い返せば、僕らが麻酔を始めた頃はセボフルランとベクロウムが広まりはじめて間もない頃だったのですが、当時先輩の先生方が「ハロセン」「エンフルレン」「パンクロニウム」「d−ツボクラリン」(人によっては「エーテル」)の難しさを面白おかしく語ってくれたのを思い出します。今やイソフルランすら使用したことがない若い麻酔科医が増え、今後はデスフルランしか使用したことがない若い麻酔科医が増えるかもしれませんね(ちなみに、米国ではデスフルランが先発でセボフルランが後発。セボの気道刺激性のなさをみんなありがたがっていました。現在の米国では、噂ですが、デス、セボ、イソが同程度のシェアを占めると聞きました)。

しかし、「麻酔が簡単になっていく歴史」は、大局に立てば、外科系医療の歴史と言えるでしょう。すなわち、一部の特殊技術者による治療が一般化されていく過程の一つなわけで、あらがいようもないというか、簡単になるのはいいことです。

 

3. どういう質問が良い質問か、勉強する良い機会になるからです。

回答者が設問のキーとなる答えを答えてくれなかった場合、どのように誘導するか練習になります。回答者に答えてほしいこと、つまり「これを答えれば他がだめでも合格点だが、他が完璧でもこれを答えてくれなかった」ために、合格点を与えられない、という「この設問の意図」というか「キー・アンサー」がありますよね。 これは、ICUのベッドサイドティーチングラウンドでレジデント自身にどう気づいてもらうか、のとてもよい練習になっています。

答えを自分で言ってしまわずにいかに回答者に言わせるか、は難しい。途中でイライラすることもありますし(いかんですねー)、「まるで「連想ゲーム」「ぴったしカンカン」か(古い!)と思うこともあります。

立場は変わって、このような臨床シュミレーション・ディスカッションは、回答者である若いレジデントにとっても、単に試験のためではなく、目の前の患者さんを救うための良いトレーニングであると信じています。「これが思い浮かび、やれば、他がいい加減でも患者は助かるが、他が完璧でもこれが思い浮かばずに、やらなかったために患者の状態が悪くなる」ことってありますよね。急性期医療には「勘の良さ」良い意味での「要領の良さ」が求められると信じています。

こんな感じで自分がまず楽しんでいるのが現状です(自己満足なだけだったりして)。

 

ついでに、これから試験を受けるひとにアドバイズを思いつくままに。

1. 振り出しに戻す

答えているうちに、あらぬ方向に行き、試験官が予想、期待するストーリーからどんどんずれていくことがあります。試験官は、前述のように「正解を言ってもらおう」としますから、回答者の回答にさらに質問をして修正しようと努力します。しかし、ときに回答者が気づくのが遅れると、「模擬患者」の状態がどんどん悪い方向に行ってしまい、取り返しのつかない状態になっていることがあります。そんなときには、気づいたらこだわりを捨てて、「そうすることもありますが.....」とか何とかごまかして(あるいは「もとい」と宣言して)潔く振り出しに戻してしてまうのも一法です。

 

2. 全体としての印象をよくすることを考える

3. あやふやな知識は使わない。

不得意な分野は最低限のことしか発言せずにボロを出さないようにしたほうがいいでしょうね。不得意分野であやふやな知識を「知ったかぶって」言うと、どうしても「コイツ本当に知っているのだろうか」と試験官は突っ込みたくなるものです(私が意地悪なだけかも)。 用語そのものが頭に浮かばないことがあります(逆に言うと、求められている用語、すなわちキーワードさえ言えればしめたもので、一気に印象が良くなるでしょう)。そのときは、あきらめずになんとか「自分がわかっていて普段の臨床ではできている」ということが試験官に十分伝わるようにあがく必要もあるでしょう。

逆に自分の得意分野にはまれば、「XXの管理を行います。なぜなら、〇〇年のNew England Journal of Medicineに掲載されたXXらの大規模RCTによれば〇〇により生存率がXX%改善し、その効果は確認されていますので」とか、「質の高い研究がほとんどないので臨床的な有効性は依然として不明ですが、理論的には(生理学的には、後ろ向きの観察研究結果から、薬理学的には、などなんでも入るでしょう)〇〇と考えられるので、XXの管理をおこないます」とか、試験官が「ああ、わかった、わかった、よく勉強してるね」というサインを出すまで、滔々と述べればよいでしょう。

もう少しですね。まじめな若いみなさまには、是非合格してもらいたいものです。


麻酔のEラーニングを作りました

2012-04-04 18:14:07 | 麻酔

メディカ出版(http://www.medica.co.jp/)から麻酔看護のEラーニング(動画配信形式の講義)が出ました。

http://www.medica.co.jp/eschool/view?id=177

麻酔のほぼすべての領域に関して、なぜそういう判断をするのか、実際にどう動けばよいかわかるように解説しました。麻酔看護に関わる看護師ばかりでなく、実は麻酔初級者のレジデントには最適と思います。

少々高額ですが、全部で20回の講義、11時間30分ですからご容赦いただければと思います。数人でお金を出し合って購入したり、施設でご購入されるといいのではないでしょうか。

最初から全部視聴し、完璧に理解しようとすると挫折するかもしれません。気になるところ、知りたいところ、自分が弱いと思うところからはじめればいいと思います。テストもついていますので理解度の確認もできますし。

最後になりましたが、ビデオ撮影ならびに問題作成に協力いただいた飯塚悠祐先生、竹内広幸先生、有井貴子先生、ならびに辛抱強くおつきあい下さった編集部の方々、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。


先生は何科医?

2012-02-23 16:53:52 | 麻酔

最近、専門医取得数年後の若い麻酔科医(ちなみに、自分の病院の人ではありません)と話す機会がありました。

麻酔科医としての自分の将来、日本の医療界の中の麻酔科という診療科について漠然とした違和感、危機感を抱いている。

自分はプロフェッショナルと言えるだけの資質を備えているのか、日本の麻酔科という診療科は、プロフェッショナルを再生産して、周術期医療をよくして、みなさまの役に立っているのか、など。

 

自分を振り返ってもよくわかります。

初期研修を終わり、麻酔を研修して、心外も自信を持ってできるようになって、小児も産科もそれなりにできるようになって、見よう見まねでICUも救急もできるようになった後に自分に質問してみました。

「自分は麻酔のプロフェッショナルか、自分は麻酔を人に教えられるか」

答えは「No」でした。だから、米国で、あらためて麻酔科レジデントに逆戻りしました。

うちの同僚(非麻酔科系の集中治療医)は、「何科の医者?」と訊かれると「自分は集中治療医です」と答えます。ときに、それを私に強要します。確かに、私もアルバイト以外、ICU専従の生活をもう5年もしていますので、客観的に見ると集中治療医が正しい。しかし、多くの場合、反射的に「私は麻酔科医です」と答えてしまいます。

理由は自分でもよくわかりません。

悪く解釈すると「集中治療医とは何か」を説明するのが “日本では” まだまだ面倒だからかもしれません(先生がそんなんじゃだめでしょ、とまた怒られますが)。よく解釈すると、やっぱりなんだかんだ言って自分が麻酔科医であることに誇りがあるってことなのかもしれません。

 

 

偶然見つけた気持ちの良い「集中治療医を目指す麻酔科医のブログ」

http://anesthfow.exblog.jp/

頑張って、若者。応援します。

 


続麻酔科臨床の書

2011-09-29 13:11:00 | 麻酔

 

以前に頂いておきながら本棚に積みっぱなしであった「続麻酔科臨床の書」(メディカルサイエンスインターナショナル)を出張の行き帰りの新幹線の中で読んだ。

心臓麻酔初心者から中級者にはとっても良い本。麻酔科医、心臓外科医の両者の視点から語られており、具体的で図もきれいでたくさんあり、執筆、編集にとっても苦労されたんだろうな、ということがよくわかる。

食道エコーについても基礎から実用的な知識まで、ポイントが非常にコンサイスにまとまっている。

結果的に心臓麻酔漬けの生活からフェードアウトして久しいので、偉そーなことは言えませんが、 自分のプラクティスとも結構違うのも知ることができて、興味深いです。

総じて、 著者の面々(内藤嘉之先生、吉田和則先生、井出雅洋先生)が、臨床が良くわかっていて、かつ好きなんだろうな、ということもよくわかる。

読み物として気軽に読むもよし、熟読するもよし。熟読すると、臨床にダイレクトに役に立つ知識も結構書いてあるのに気づくはずです。