Dr. 讃井の集中治療のススメ

集中治療+αの話題をつれづれに

災害時感染制御支援チームの可能性

2020-10-17 14:13:37 | その他

ヒューモニー 別連載 第21回 災害時感染制御支援チームの可能性

岩手医科大学 櫻井 滋 教授の避難所における感染対策に関するお話。前回に続く後編。

以下、キーメッセージ。

  1. 行政や医療に関連する組織の多くは “縦割り” で、横のコミュニケーションが乏しく、効率的な災害時感染対策の足かせになっていた。
  2. 一方、縦割り組織は、一部の権力の暴走を防ぐ安全弁の役割を果たしてきた。
  3. これを真っ向から批判して新しいシステムを作ろうとすると、非協力的な組織・人が多数出現する。既存の組織・人をうまく活かすために折り合いが必要。時間はかかっても障害を1個1個取り除く努力をすべき。
  4. 現在、学会をバックに、感染対策ドクターをリーダーに、ICD(感染制御医)、ICN(感染管理看護師)、薬剤師、検査技師などを各都道府県単位に配して、災害時に機動的に動かせるシステムを構築中。
  5. 「夢を実現させるために実務に貢献しながら夢を見る」人・組織が必要。

などでしょうか。

成果が出せてやり甲斐がある組織づくりは、個人的に悩みどころだったので、櫻井先生のご発言は滲みました。

JB press:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62475

Yahooニュース:https://news.yahoo.co.jp/articles/bb54efc0efbc1c1d64dfd7e722ec53ee9e18c04e?page=1

関連記事:https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/topics/201203/523937.html


報道特別番組 「コロナ重症病棟 医師たちの闘い」 2020年度新聞協会賞

2020-10-13 11:21:49 | その他

7月11日にフジテレビで放映された報道特別番組「コロナ重症病棟 医師たちの闘い」が2020年度新聞協会賞を受賞したと連絡が入りました。

自治医科大学附属さいたま医療センター(さいたま市)の専用病棟を中心にのべ300時間に及ぶ撮影を行い、コロナ重症化の実態と、集中治療部 小野 将平 先生を中心とした医療従事者の献身や葛藤が克明に報道されました。

https://www.fujitv.co.jp/company/news/201007.html

https://www.fnn.jp/articles/-/92798?fbclid=IwAR2Du9fsRx2gT3JlyuXw3tf5riCLMMKu1vqY-a_9cnsAT9bnKNbiEZxQ6ro

https://www.fnn.jp/articles/-/92174?fbclid=IwAR3A7fu4yz9LlORI5qsNKwWm5J-icO_wVFpvAiqBd9iRZ_WKflieHQVYxGg

https://www.pressnet.or.jp/about/commendation/kyoukai/works.html


とある電話カスタマーサービスとの会話

2017-02-16 21:29:30 | その他

とある電話カスタマーサービスと

僕:予約することは可能でしょうか。

先方:予約は取れません。来ていただいてお待ちいただく事になります。

僕:どれくらい待たないといけませんか?

先方:その日の混雑状況によって変わるので何とも言えません。

僕:わかりました。

という会話をしました。いつもはもう一歩突っ込んで「大体でいいので普通どれくらの時間か教えてくれませんか」と切り返すのですが、この方からはそれ以上の情報が得られそうもないな、と直感したので、ただ「わかりました」と答えて静かに電話を切りました。

同時に、僕が仮に先方の立場であったら「その日の状況によって変わりますが、平均(短くて、長くてetc)XX分くらいでしょうか。」と答えようとするだろう、と想像しました。彼は間違った事は何一つ言ってませんが、聞いた側の気持ちが落ち着く答えはどちらでしょう。人間は「ない」という否定表現はあまり好きではないのではないでしょうか。

 

自分が集中治療室で患者・家族に説明する場面を想像してみたいと思います。

ワラにもすがりたい患者・家族に「未来はわからないから何とも言えない」という返答のみで終わらせるのは、少なくとも(自分が育てようとしている)急性期医療のプロフェッショナルとは言えません。「未来はわからないが、こうなるだろう」という言葉を続けて欲しいのです。

自分自身を振り返ると、おおよそ何割くらいの確率で悪い(最悪の)状況になる(例えば、長くてこれくらいの期間人工呼吸が必要になる)、最良のシナリオになる(例えば、良くなって元の生活に戻れる)のはおおよそ何割くらい、おそらく最も予想されるシナリオはこうなる、など、未来予測の幅と中央値を提供するようにしています。最良のシナリオを提供するようにしているのは、希望を失わないで欲しい、目標を持っていただいた方がリハビリなどのモチベーションが上がるかな、という期待があるからです。

これは、誰かに教わったり、定評として推奨できる類のものではありません。単に僕のやり方です。実際、僕ら医師は後で揚げ足を取られないようにどうしても医学的かつ政治的に妥当な表現を好む傾向にあります。しかし、患者・家族が欲しいのは自分の不安を何となくでも良いから和らげてくれる一言だったりするはずです。もちろん自分の都合の良い聞き易い部分だけ記憶されて、あとで揚げ足を取られる確率が上がるかもしれませんので、それを防ぐための丁寧な説明努力や、保険としての記録は大切です。

ちなみにこれ(=会話相手の求めているものに対して何とか答えようとする誠意)は、普段の職業的・非職業的会話や学会発表で質問を受けた時にも通用する会話の原則ですよね。毎日のように、会話の中で「それってこっちの求めてる答えではないのだけどなー」と思う場面に遭遇します。おそらく、自分でも意識せずにそういう返答をしている場面が多いのでしょうね(自ら途中で気づくこともありますが、気づかないことも多い)。怖いです。


場数としての学会発表

2016-07-12 23:22:13 | その他

唐突ですが、学術集会は、自分のプレゼンテーション能力に満足していない医療者にとって、良質なの練習の場であることは昔も今も変わらないような気がします。

プレゼンの上手い下手、成功不成功の2-3割は場数(経験数)ではないでしょうか。場数を踏めば自分の未熟さに気づいて直そうと努力する。もちろん最も重要なのは、真の実力、すなわち知識量や臨床医としての実力や研究者としての実力(これらでおそらく6-7割くらい)なのですが、プレゼンの上手さによって実力不足を補うことができます(あと、如何ともし難いのが人間性とか切れ味とかユーモアとか余裕とか誠実さとかが残り1割で、ボディーブローのように効いてくる気がしますが....)。

場数の効果。場数を踏めば自分のプレゼンの欠点がわかりますので、それを克服しようとします。そして、場は大きい方が自分に対するインパクトや学習効果が高い。ミニマルは自分一人でする学会発表準備のための練習や朝の回診でのプレゼンでしょう。そして最大のものが僕らの場合、国際学会での発表と思います。

何れにしても失敗することが重要。失敗しないと反省が生まれにくい。どんどん恥ずかしい思いをしたら良いと思います。場数を踏めば、自分の失敗なんて自分以外の誰も気にしていないことを実感しますし、自分のプライドがいかにちっぽけなものかもわかります。もちろん、上手くなろうという向上心は前提です。

このように考えると、普段の朝の回診のプレゼンのステージを越えるスタートラインとして学会発表は最適です。こんなに簡単なプレゼン向上の機会はないでしょう。同時に、他人のプレゼンの上手さ下手さを学習するまたとない機会でもあります。日本や世界にはすごいプレゼンターがたくさんいます。

何れにしても、最終的には目の前にいる人を説得できるか否か、こいつがこういうなら聞いてやろうと思わせることができるか否か、で人生は大きく変わるかもしれませんね。

以上、先日、うちの若い人に伝えたことでした。

 

 


自治医大先端医療技術開発センターを見学してきました

2015-06-30 16:59:33 | その他

自治医大先端医療技術開発センター 菱川 修司先生のお許しを得てご紹介させていただきます。

6月25日に自治医大先端医療技術開発センターATOMコース(Advanced Trauma Operative Management、外傷外科トレーニングコース)が開催され、見学してきました。自治医科大学外科教授 アラン・レフォー先生が責任者をお勤めです(レフォー先生は、週1回当センターにもいらして教育的カンファレンスを行ってくださいます)。

http://www.jichi.ac.jp/cdamt/

http://atomcourse.com

https://www.jssoc.or.jp/journal/atom/info.html

ATOMコースも素晴らしかったですが、何よりもこのラボの設備の素晴らしさに驚きました。手術室、MRI装置、CT装置、移動型血管撮影装置、ICUなど、臨床をシミュレートした相当の実験ができそうです。米国マイアミで基礎研究に没頭した半年間を思い出しました(その施設は米国陸軍の医療チームトレーニング施設を兼ねていましたが、本ラボの方が遥かに設備が整っています)。

当科でも将来的には資金とマンパワーを得て、蘇生や肺傷害などの基礎実験にも取り組みたいと考えています。

ちなみに学外の方も利用可能ですので、ご興味のある方はホームページをご覧くださり、お問い合わせください。

 


自治医科大学附属さいたま医療センター麻酔科・救急科・集中治療部のFacebook

2015-06-03 19:30:30 | その他

自治医科大学附属さいたま医療センター麻酔科・救急科・集中治療部のFacebook ページを作ってもらいました。

神尾 直 先生(血液内科専門医です。総合内科専門医・集中治療専門医を目指して研修中)ありがとう。

ドクターばかりでなくコメディカルの方々も見学大歓迎です。

https://www.facebook.com/jichi.saitama.icu?ref=notif¬if_t=page_invite_accepted