Dr. 讃井の集中治療のススメ

集中治療+αの話題をつれづれに

場数としての学会発表

2016-07-12 23:22:13 | その他

唐突ですが、学術集会は、自分のプレゼンテーション能力に満足していない医療者にとって、良質なの練習の場であることは昔も今も変わらないような気がします。

プレゼンの上手い下手、成功不成功の2-3割は場数(経験数)ではないでしょうか。場数を踏めば自分の未熟さに気づいて直そうと努力する。もちろん最も重要なのは、真の実力、すなわち知識量や臨床医としての実力や研究者としての実力(これらでおそらく6-7割くらい)なのですが、プレゼンの上手さによって実力不足を補うことができます(あと、如何ともし難いのが人間性とか切れ味とかユーモアとか余裕とか誠実さとかが残り1割で、ボディーブローのように効いてくる気がしますが....)。

場数の効果。場数を踏めば自分のプレゼンの欠点がわかりますので、それを克服しようとします。そして、場は大きい方が自分に対するインパクトや学習効果が高い。ミニマルは自分一人でする学会発表準備のための練習や朝の回診でのプレゼンでしょう。そして最大のものが僕らの場合、国際学会での発表と思います。

何れにしても失敗することが重要。失敗しないと反省が生まれにくい。どんどん恥ずかしい思いをしたら良いと思います。場数を踏めば、自分の失敗なんて自分以外の誰も気にしていないことを実感しますし、自分のプライドがいかにちっぽけなものかもわかります。もちろん、上手くなろうという向上心は前提です。

このように考えると、普段の朝の回診のプレゼンのステージを越えるスタートラインとして学会発表は最適です。こんなに簡単なプレゼン向上の機会はないでしょう。同時に、他人のプレゼンの上手さ下手さを学習するまたとない機会でもあります。日本や世界にはすごいプレゼンターがたくさんいます。

何れにしても、最終的には目の前にいる人を説得できるか否か、こいつがこういうなら聞いてやろうと思わせることができるか否か、で人生は大きく変わるかもしれませんね。

以上、先日、うちの若い人に伝えたことでした。