Johnnyダイアリー

大好きなジョニー・デップのことや、映画の感想、日常の出来事を書きつづっています。

潜水服は蝶の夢を見る

2008年02月27日 | 映画鑑賞

潜水服は蝶の夢を見る
監督:ジュリアン・シュナーベル

【ジャン=ドミニク・ボビー】マチュー・アマルリック
【セリーヌ・デスムーラン】エマニュエル・セニエ
【アンリエット・デュラン】マリ=ジョゼ・クローズ


あらすじ
ジャン=ドミニク・ボビー(愛称ジャン=ドー)、42歳。ファッション雑誌「ELLE」の編集長として、順風満帆な人生を送っていたが、ある日、脳梗塞に倒れる。目覚めたとき、体は麻痺して動かず話すことも出来なかった。唯一動かせるのは左目だけ。やがて左目の瞬きだけで意思を伝える手段を身につける。

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『潜水服は蝶の夢を見る』を見てきました。

ジョニー・デップが出演を切望した作品ということももちろん、
ある日突然体の自由を失った男性が、唯一動く左目の瞬きだけで
本を書き上げたというストーリーにものすごく興味を駆り立てられました。

目覚めたとき体が動かなく 、話すことも出来ない。
動かせるのは左のまぶただけ。
やがて、アルファベットを読み上げてもらい、
まぶたで合図することによって意思を伝える方法を学んだが、
あまりの状態にジャン=ドーは、死んだ方がましだと思う。

潜水服は蝶の夢を見る

映像の作り方が、ジャン=ドーの視線からのものが多く
彼がどんな世界にいるのかがストレートに伝わってくるようでした。
画面がにじむと、ジャン=ドーが泣いているのが分かる。
それはまるで自分が泣いているように錯覚してしまう。
体が動かせずしゃべれないなんて、とてもつらい状況だろう。

ときおり、潜水服を着て海の底に沈んでいるジャンの姿が映し出される。
海の底で、体を動かすことも出来ずに孤独でいる。
それが彼の心理状態をすごく表していて、抱きしめてあげたい気分になる。

けれどジャン=ドーは、
自分には「無限の想像力」と「豊かな記憶力」があることにきずく。
体は麻痺していようと、心は限りなく自由なのだと。

体が動かせないことはとてもつらいことだけど、
「想像力」と「記憶力」は人間にしか与えられていない、
そして一番「人間らしい」ものなのかもしれない。

映像は、ジャン=ドーが見ている世界そのままだ。
風景が、愛する人達が、空気までもがキラキラと輝いている。
とても綺麗だ。
唯一のこされた感覚、
「視覚」をジャンはとても愛しんでいるように感じた。
映像の美しさが圧巻だ。

ジャン=ドーが生きることに本当に目覚めたとき、
彼の想像力はイキイキと輝きだす。
ジャン=ドーは、麻痺した体を抜け出し、蝶のように飛びたつ。
体は動かなくとも、心の自由を存分に楽しみ、生きる。

その大切さに気付き、
なんと、20万回の瞬きによって自分の境遇を本にした。

だが次ぎの本の構想を考えているさなか、彼は亡くなってしまう。
いったい次ぎの本には、どんな想像力がちりばめていたのだろう・・・。
そう思うと、とても残念だけど・・・。

決して押し付けがましくない、
想像力の素晴らしさと、人とのふれあいの大切さが
しっとりと、心に染みるいい作品に出会えました。