次世代総合研究所・政治経済局

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『文藝春秋』四月特別号を読む(2)

2007年03月20日 22時41分35秒 | Weblog
昨日の記事で『文藝春秋』四月号の紹介をしたが、1点忘れていた記事があった。

 「小泉「裏官邸」と竹中官房長官説」、赤坂太郎による記事だ。

 これによるとすでに安倍政権内部は崩壊寸前であることがよく分かる。本当に深刻のようだ。小泉が先日安倍に会ったのももはや事態を放置できないと思ったからだという。

 その証左に、ラスプーチンこと飯島前総理大臣首席秘書官のもとに各省次官局長クラスが日参、あまりの多さに「小泉の個人事務所は開設しない」としていた飯島は同じ階の議員面会室を「陳情」対応のために使っている。事実上の「裏官邸」というわけだ。

 この記事の通りとすると統一地方選の結果次第では安倍政権が参院選まで持つかどうかはかなり微妙になってくるだろう。


『文藝春秋』四月特別号を読む

2007年03月20日 01時22分22秒 | Weblog
 『文藝春秋』四月特別号が面白い。
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/index.htm

 面白い記事が多すぎて時間の経つのも忘れて昨日一気に読んでしまった。

 購入した理由は特集記事「小倉庫次侍従日記」を読むためだ。新事実が興味深い。例えば、
 1)聖上(昭和天皇のこと)、皇后、御用品中、金製品並びに金を主とするご装身品等すべてお下げ渡しあり。恐懼に堪えず(昭和14年6月26日)

 2)ご袍の下襲(したがさね)の袖口破れたるをみつけらる。虫喰いたるなり。「このままでいいよ」とおおせらる。畏き極みなり。(同7月30日)

 3)(国には絶対の信頼を置ける者がなり旨申し上げたるに)「その通りだよ」などご歓談遊ばせたり(同8月22日)

 4)御進講後「藤原藤房(南北朝時代、後醍醐天皇に対して側近厚遇を諫言したが入れられず出家遁世した万里小路藤房のこと)の意見はどう思うか」とのご下問あり。(同9月26日)

 5)勲記のご紋章の金は金を使っているかいないか調べるよう仰せあり(同9月27日)

 6)(白鳥(敏夫イタリア)大使からの)ご進講、ご気分すすみ遊ばさざる模様。広きお気持ちにてご聴取あそばさるようお願い(同10月19日)

 7)ご膳に野戦料理をお取り遊ばさる(前線を思って正月に野戦兵食 昭和16年元旦)

 これらの日記からは人間天皇の苦悩と孤独、そして君主としての自制が伝わってくる。6)の白鳥とは昨年の宮内庁長官日記で靖国神社合祀に天皇が不快感を示したといわれる白鳥駐イタリア大使であり、天皇が白鳥を嫌っていたことが裏付けられる。すでに明らかになっている『昭和天皇独白録』などとは違った角度から昭和天皇の知られざる側面が窺え大変興味深い。更に熟読していきたい。

 このほか「周恩来は毛沢東に殺された」では周の国民的人気に嫉妬した毛が早期に発見されたガンの情報を周本人に伝えないよう、検査も手術もしないよう医師団に厳命し、周の死を爆竹で祝ったことが暴露されていた。いかにもありそうなことだ。

 政治アナリスト(元民主党事務局長)の伊藤淳夫氏の「負け犬労組」解体論では、労働貴族らの特権ぶりが明らかにされている。私も以前、労組(連合)を切らないと民主党の将来はないことを雑誌論文で述べたことがあるが、
http://www.php.co.jp/shinkan/12335-M-2.gif
思えばこれまでこうした論考がなかったこと自体が不思議である。私が以前連合傘下の労組役員をしている時見た光景は、下位労組役員に接待ゴルフなどで機嫌をとらせ、傘下労組員にさんざん反対運動させた公務員の新賃金制度(管理職加算制度)が導入されるとちゃっかりとみずからの賃金体系に導入するプロ労組役員の行状であった。

 「乱世こそおれの出番」では、多分9割以上の国民が「完敗」と考えている6カ国協議を麻生外相が成功だと強弁しているが、そういう考えもあるのかと思いながら読んだ。

 「日本人へ」では、映画『硫黄島からの手紙』について、作家塩野七生氏もやはり私と同様の感想を持ったらしく、「時間の経過と死んだ人間の量を感じさせることができていない」と苦言を呈していた。




安倍首相に耳打ちした外務官僚は誰か

2007年03月19日 01時59分53秒 | Weblog
前々回のブログ記事で外務官僚主導の外交が日本を滅ぼすという話をした。そこで思い出したことがある。1月に安倍首相がNATO本部において講演、日本・NATO関係について「新たな段階への移行」を宣言、関係強化を訴えたことがあった。
http://www.sankei.co.jp/seiji/shusho/070113/shs070113000.htm

 しかし、その後、欧州においてNATO体制の根幹を揺るがす出来事が起こる。1月27日ブログ記事でもお伝えしたが、ポーランドとチェコの中道右派政権が世論の不支持を振り切り、米国のミサイル防衛システムの導入を決定したのだ。

 日本ではあまり報道されていないようだが、すでに懸念を表明していたロシアはこれに激高、軍部が対NATOにミサイルの照準を合わせるほかなしと応じたのだ。以下2月20日付FT電子版記事抄訳をご覧いただきたい。
http://www.ft.com/cms/s/be3c9c58-c086-11db-995a-000b5df10621.html

 (抄訳)
 ポーランドとチェコの領内に米国のミサイル防衛システムが構築される可能性が高まる中、システムが構築されればロシアは中距離弾道ミサイルの生産を数年内に再開、ポーランドとチェコはロシアのミサイルの標的となる可能性があるとした。ロシアの戦略ミサイル司令官ニコライ・ソロブゾフが語った。またユリ・バルエフスキー陸軍参謀長は、米国が計画を断念しない限りロシアは87年の中距離核兵器条約から脱退する可能性があるとした。

 米国は、ミサイルシステムはロシアを対象としたものではなく中東の「ならず者国家」からの防衛を目的とするものと説明しているがロシアはこれを黙殺した形だ。システムがロシアと近接した地域に設置されることからロシアへの根回し不足を指摘する声はある。米国とNATOがロシアの懸念を無視しているとしてドイツ外相も懸念を表明している。

(以上抄訳)

 NATOとの共同歩調というのはどうも安倍首相の基本的な発想の線上にはないような気がする。これを耳打ちしたのが外務官僚だとしたら彼らの「思いつき」は日独伊三国同盟以来のお笑い沙汰になるだろう。

内乱化するインド

2007年03月18日 17時19分31秒 | Weblog
昨年の4月18日の記事で「インド-経済の歪みと共産主義」と題し、隣国ネパールから「マオイズム」(反政府武装組織・共産党毛沢東主義派)が密かにインドに「輸出」されていることを紹介した。

 具体的にはインドの東部を中心に、ビハール、ジャルカンド、チャッティスガル、オリッサ、アンドラ・プラデシュ、マハーラーシュトラなどにおいて「毛沢東主義」を標榜する武装共産主義勢力が跋扈し、シン首相自らが懸念と警告を表明するにいたったこと、地域名をとって「ナクサリズム」と呼ばれるこの思想の根底にはインドの貧困があること、死者は昨年の1~3月で235人に上っていることを述べた。

 その後、この問題についてはECONOMIST誌などが詳細を紹介していたが、つい最近FT紙に最新情勢が記載されたので紹介したい。

http://www.ft.com/cms/s/e51671b6-d362-11db-829f-000b5df10621.html
(3月16日FT電子版より以下抄訳)

 資源豊富なチャッティスガル州で、左翼過激派により少なくとも50名の警官が殺害され、インドの経済成長の地域不均衡が浮き彫りになった。

 この虐殺では南部のビジャプール地区の警察キャンプに手榴弾や火炎瓶が数百人のマオイストによって投げられた。同地区は繰り返しナクサ主義者(インド東部を中心に反資本主義を掲げて武装襲撃を行うグループ)の攻撃を受けている。

 この騒擾は、西ベンガルにおいて警察が経済特別地区(インドネシアのサリムグループの化学工業コンビナート建設計画)のための土地収用に反対する村民に対して発砲したことへの報復とみられる。この事件では少なくとも14名の村民が死亡、70名が負傷したとされる。村民の背後にマオイストがいるとして警察が弾圧したのだ。

 香港の人権擁護委員会のバジル・フェルナンドは「これがイギリスを非暴力運動で排斥した同じ国か?」と疑問を投げかけている。


 西ベンガルにおける暴力は1977年の(マルキスト)インド共産党が治める州の野党に対するものがその始まりである。同共産党は過去の脱産業化を反転させるべく、投資を活発に誘致している。

 バラティア・ジャナタ党に近い「パイオニア」紙によると、西ベンガル州首相ブッダーデブ バッタチャルジーは、天安門事件の小平にインスピレーションを喚起され、虐殺をけしかけているという。 インド政府紛争管理庁のアジャイ・サフニ局長は、「マオイストは西ベンガルのタタ・モーターの特別経済区のプロジェクトなどの反対運動に主要な役割をしているが、中央政府の認識は甘い」という。

 インド国内ではこうした左派過激派の騒擾は全602行政区のうち14州165行政区に及ぶ。

 シン首相は昨年ナクサ主義運動に触れ、同主義の指導者がインドが革命的状況にあると規定していることに触れ、インド建国以来最大の憂慮すべき治安状態にあるとした。

 紛争管理庁によれば、ジャムアンド カシミールのテロは12自治区に影響を与得ているのに対しインド北東部のこの地域の騒擾は50自治区に影響を与えているという。

 ちなみに首相が虐殺を公認しているとされる西ベンガル州だが、「左翼戦線」ということで日本共産党がかつてその選挙での勝利や志井委員長の首相訪問を「赤旗」で大きく取り上げていた。この党は未だにカンボジアのポルポトや中共の毛沢東のしてきたことから何も学んでいないようだ。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-05-12/2006051201_05_0.html
http://www.shii.gr.jp/pol/2002/2002_12/2002_1226_1.html




勝海舟の遺訓(アジアにおける日本考2)

2007年03月18日 03時02分42秒 | Weblog
先日のブログ記事(アジアにおける日本考1)で後藤田正晴(元副総理・法相・官房長官)のコメントを引用した。

 昨日のTBS「ブロードキャスター」で外交コンサルタントで元首相補佐官(沖縄担当)の岡本行夫氏が6カ国問題での「日本はずし」を危惧していた。実際、6カ国協議は事実上の5カ国協議で、米国の経済制裁解除を目前にして金正日の高笑い、そして金桂冠外務次官のせせら笑いだけが耳につく結果となった。
 また、岡本氏はここ最近の「慰安婦」に関する安倍総理の発言の真意が結果として他国に正しく伝わっていないこともこうした流れと一致するものと述べていた。

 現在、日本国民の北朝鮮に対する嫌悪感、敵視姿勢は強まっているように思う。しかし、その発端は「1972年の「ニクソンショック」に続く「米国による梯子外し」を招いた外務省の外交の拙劣さ、「外交」の名に値する交渉ができない日本政府首脳の無能さに起因するものではないだろうか。

 そもそも外交において「梯子外し」などは日常茶飯である。にもかかわらず「イラクで日本は米国の手伝いをしたのだから拉致問題でもきっと味方になってくれるはず」という稚拙な予定調和的な発想が政府内に存在していることが諸悪の根源なのだ。結果として北に対する敵愾心を高めるとは自縄自縛というもので二重の誤りを犯している。

 これについて思い出されるのは明治期の日本の対アジア戦略である。日本人がほぼ揃って支持していた日清戦争に対し、旧幕臣で明治政府のご意見番でもあった勝海舟は一環して反対していた。

 そもそも台湾出兵のころから一貫して清との戦争に反対していた海舟は、下関条約で遼東半島を伊藤博文や陸奥宗光が要求することにも反対、三国干渉を歓迎した。そして、遼東半島には講和で得た賠償金で清やロシアと共同で鉄道を敷設し、旅順港を東洋発展の拠点港とすべきだと主張していたのだ。

 海舟は欧米のアジアへの侵略に対してアジアが結束して対抗するという基本理念を堅持しており、伊藤、陸奥、福沢らの姿勢に反対していた。福沢が「脱亜論」によって日本のアジア支配を正当化したことはあまりにも有名である。

 しかし、海舟のように三国干渉をむしろ歓迎する人物は圧倒的少数であり、当時の世界情勢からして無理筋だった遼東半島の要求が却下された結果、「臥薪嘗胆」の掛け声のもと、日本国民はロシア憎しの感情に染まり、日露戦争へと突き進むことになるのだ。日露戦争で台湾以外にはじめて事実上の植民地である朝鮮半島を獲得した日本が韓国併合の次に触手を伸ばしたのが満州(中国東北部)、そして北支(中国華北部)であった。

 私には今回の6カ国協議は結果が「ニクソンショック」、そしてそれが「三国干渉」、の二番煎じになるような気がしてならない。まだまだ歴史から学ぶことも多いのではないだろうか。

「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として二度目は茶番(farce)として」(マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール 18 日』)

 最後に、戦前のジャーナリストで外交評論家の清沢洌(きよし)の『暗黒日記』昭和20年4月7日を引用する。
「日本は国際関係を見るのに極めて勢力均衡的(日本がソ連と近づけば米国はヤキモキして日本に手をのべてくる。日本が米国と和平工作でもやればソ連は日本のご機嫌権を取って来る、などという考え)で、それが特に右翼や軍人に多い。リアリスチックではなしにかえって自己独断的である。」

袋小路にはまるヒラリー

2007年03月17日 02時21分27秒 | Weblog
米国民主党大統領候補のヒラリーが米軍のイラク駐留継続を主張している。
http://www.iht.com/articles/2007/03/14/news/clinton.php?page=1

 ヒラリーは大統領になったら政治ミッションと同様、規模は縮小するものの米軍駐留も継続すると主張した。ただし規模の明言は避けた。

 理由については①アル・カイーダとの戦闘、②クルドの保護、③イラク軍の支援、④イランからの攻撃回避を明言している。また、⑤内戦への介入はしないとしている。

                                     (以上抄訳)



 米国の安全保障の見地から決断をしたとのことだが、上記の発言はかつて自身が主張した軍撤退とは色彩の異なるもので、多くの民主党支持者が撤退を支持する中、いささか「冒険」のように思われる。おそらく民主党のエドワードやオバマ候補との違いを意識したものだろう。(オバマは漸次撤退を主張し若干規模の駐留を容認)

 ヒラリーの発言では上記の⑤と②③との整合性について説得力が感じられない。もし内戦が激しくなった場合、中途半端な政策方向でうまく申し開きができるのか。ヒラリーはどうやら袋小路にはまったように思う。




たかが桜、されど桜 

2007年03月14日 22時59分40秒 | Weblog
桜の開花予想が間違っていたことが明らかになり、気象庁観測部長が陳謝した。
http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070314/jkn070314016.htm

 驚いたのは、気象庁では桜の開花予想をコンピュータだけでやっていて、実際のつぼみの大きさなどによる確認、検証などは一切やっていないし今後とも行うつもりはないとしていることだ。

 従って、データ入力に関する障害が生じるとたとえつぼみが小さくても今回のように「非常識な」早い開花予想になってしまうのだ。

 気象庁も牢固とした官僚組織で「末端」の観測所が「異議申し立て」をすることなどは許されないようだ。かつては参考にしていたといわれる各観測所の桜の「基準木」はもはや有名無実になっているのだ。だったらいっそ引っこ抜いたらどうか。

 気象庁は技術者集団である。長官にはじまって各技官に至るまで学歴は「○○大学理学部卒」か「気象大学校卒」である。事務官(法律系)はトップの気象庁次長をはじめ管理部門の一握りの人間に限られる。
http://www.kishou.go.jp/intro/gyomu/index3.html

 はっきりいって今回の「事件」は「小役人根性」と「理系オタク」の相乗効果が生んだ現象だ。最悪というほかない。

 ニュースのコメンテーターの中には「たかが桜」的なコメントをした人物もいたが、ことはそう簡単ではない。うやむやにすべきではないと私は思う。

 第一に、今回の間違った開花予想で経済的に損害を被った業界は数知れない。弁当屋にはじまり各名所の目論見はずれは、今回の事態が、気象庁が技術の粋を尽くした結果予想が外れたのではなく、全くの「ミス」であったのだから損害賠償請求すべき事案に相当する。誰か訴訟を提起してみたらどうか。

 第二に今回はまだ気象、それも開花に関してだったので人命に関わることはなかったが、こんな調子では気象庁が今後、大規模災害が予測される気象事象に対してきちんと予測できるのか疑問だ。どうせ台風や地震や津波や竜巻についても「間違ったデータ」を数々打ち込んでいるのでは、と疑った方がよさそうだ。


松岡農相はなぜ強気なのか

2007年03月13日 21時58分55秒 | Weblog
 松岡農相が政治資金報告書における光熱水費が異常に多額に記載されている問題について、同じ答弁を国会で繰り返している。民主党の国会対策委員長はこれを「見苦しい」とまでいった。一方、安倍総理は法令上問題ないことを強調して松岡を擁護、そもそも現在の法律が適切であるかどうかの検討に入ることを示唆した。
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070313AT3S1201Z12032007.html
http://www.asahi.com/politics/update/0313/017.html

 ひとことで言って松岡はやりすぎである。法律や国民をナメてるといわれてもしかたない。世論調査でも88%が「問題アリ」としているという。しかし「泥棒にも三分の理」である。松岡のいうことを代弁するとこうなるだろう。

①そもそも俺はこんなコマイことには関わっていない。秘書がやっている事務作業だ。
②政治資金規正法上は違法でない。
③秘書がトロくて人件費にぶち込むべき経費の費目の選択を誤ったんだ。

 実際、多くの国会議員事務所では、この作業(政治資金報告の際の政治家の事務所の費目割り振り)を議員本人が細かく指示するということはあまりないだろう。現在の規正法はそもそも「ザル法」であって主要費目で領収書添付を不要としている。

 カネを浮かしたりツジツマを合わせるためには費目を適当に割り振ればいいわけであり、松岡の事務所の職員(秘書)がトロかったか面倒がって「ヤリすぎ」てしまったというのが真相だろう。

 裏づけ(領収書添付)が必要ないのは光熱水費に限った話ではない。たとえば人件費などにも領収書などは法令上必要ない。従って実際には勤務していない人物について人件費を計上して裏ガネをつくったとしても規正法上は問題ない。

 はっきりいって松岡の事務所員は「光熱水費」ではなくて「人件費」に計上しておけばよかったのだ。多分永田町の秘書連中の感想は「松岡の秘書はトロいね」というものだろう。

 そういう背景があるものだから松岡も「他の議員も(実態と報告が乖離しているということについては)五十歩百歩」と思っており、それが氏の強気につながっているのだ。

 それを裏付ける話が久間防衛相の「(松岡が明らかにするなら)他の議員も明らかにしなくてはならない」という発言だ。これは上記のような事情を踏まえてのものだ。

 野党も鼻息が荒いようだが、本当に野党の秘書連中は松岡事務所以上のレベルなのだろうか?早く確認した方がいい。もし今後野党の追及が尻つぼみになるようだったら、それは自党の秘書連中の「無能」に気づいた時だと思った方がいいだろう。




オバマ候補の資金調達

2007年03月13日 00時50分20秒 | Weblog
昨日のブログ記事で米国大統領候補をめぐってヒラリーが苦戦しているということを紹介した。今度は対立候補のオバマ氏の資金についてFTの記事を紹介する。(以下抄訳)
http://www.ft.com/cms/s/277c3936-cce8-11db-a938-000b5df10621.html

 オバマ候補はヒラリーのお膝元のニューヨークで強力な資金収集活動をしている。資金提供者には40億ドルのファンドを運営する、ゴールドマン・サックスの元幹部のエリック・ミンデッヒもいる。資金収集の朝食会もシカゴの銀行家スティブ・コッホの主催でクレジット・スイスで開催された。

 オバマは先月ハリウッドで130万ドルを集めた。金曜日(9日)には参加費がひとり2300ドルのイベントと1人100ドルのイベントを連続してグランドハイアットで開催する。

 専門家はオバマがヒラリーの地元で強力な資金集めをすれば今後の運動に弾みがつき、ヒラリーが対抗するには今以上の資金収集が必要になると予測している。事実ヒラリー陣営も率直にプレッシャーを感じていると告白している。

 ヒラリー陣営は今月までに1500万ドルが目標としており、18日に上限いっぱいの4600ドルの寄付金を集めるイベントを予定しており、300万ドルを集める予定だ。

 オバマを支援することでは億万長者のジョージ・ソロスが著名だが、ソロスはオバマを「異質な人物」( “transformational figure” )としている。一方「オバマへの支援はアンチ・ヒラリーということではない」ともコメントしている。(以上抄訳)


 

苦境にあえぐヒラリー

2007年03月12日 01時25分07秒 | Weblog
 米民主党大統領候補として最右翼とされてきたヒラリー・ロドハム・クリントンが苦戦しているとの観測がもっぱらになってきている。https://www.economist.com/world/na/displaystory.cfm?story_id=8779362

「エコノミスト」3月3日号では『Hillary under pressure」と題してこの問題を取り上げた。(以下部分訳)

 先週ヒラリーは突如、公民権運動の故地であるアラバマ州セルマの教会へと演説地へ変更、対立候補のオバマと同時刻に300ヤードのニアミスをした。

 民主党候補にとって黒人票は重要だ。ワシントンポスト紙とABCニュースの調査では1ヶ月前に60%対20%とヒラリーの圧倒的有利であった。市民権運動の指導者からの支援を組織化できなかったり、オバマ自身にゲットーの経験がなかったり、母親が白人であることが黒人票を十分に獲得できない理由とされていた。

 ところが今や44%対33%でオバマがヒラリーを黒人票では抜き去った。70% の黒人はオバマに好意的印象を持っており、ヒラリーは夫の遺産に頼ることはできないこととなった。

 ヒラリーには史上初の女性大統領の可能性があるが、オバマには史上初の黒人大統領の可能性がある。ヒラリーの「史上初」のセールスポイントは弱体化したのだ。

 オバマは10年以上にわたって築きあげられたクリントン王国に斬りこんでいる。ヒラリーはイラク戦争に賛成しそれを撤回しないために反戦勢力に対して弱く、その点オバマは反戦経歴については申し分がない。

 ハリウッドで開かれたオバマの資金集めの催しではジェニファー・アニストンやモルガン・フリーマン(映画ディープインパクトで黒人の米国大統領を好演)らの大物俳優が参加した。ジョージ・クルーニーやハル・ベリーも支持を表明した。

 現在ヒラリーのオバマに対するリードは僅かに12ポイントといわれ、しかもヒラリーの不支持率は高い。ヒラリーの支持/不支持率は49/48 (オバマは 50/30 )

 ブッシュ王国とクリントン王国に違いはあるのかというような論調も出ており、こうなるとかなりヒラリーは苦戦するだろう。