次世代総合研究所・政治経済局

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ミサイル発射に関する英米報道(2)

2006年07月05日 16時29分59秒 | Weblog
 IHT(インターナショナル・ヘラルド・トリビューン)の報道(他で指摘されていない内容のみ)
 http://www.iht.com/articles/2006/07/05/asia/web.0705missile.php

1.テポドン2の飛行時間は42秒、墜落は第一段階が燃焼しつくす前。
2.発射された他のミサイルはスカッドC、ノドンを含み、これらは北朝鮮がイラン、パキスタンらに売却しているもの。
3.「テポドンは明らかに性能的に失敗だった("The Taepodong obviously was a failure that tells you something about capabilities,")」=ハドリー国家安全顧問
4.「例え失敗でも北朝鮮にとっては今後のため有益」=米国政府関係者
5.従来の米国関係者の見解では視界不良の悪天候では北朝鮮はテポドン2を発射しないだろうとのことだったが、今回、未明に発射されたことはこの説を覆すもの。
6.最初の発射がスペースシャトル発射の数分後で北朝鮮もこの映像を見ていたのでは。
7.今回のミサイル発射が国際的緊張を招いているのは北朝鮮が核兵器保有を宣言しているから。
8.アシュトンB・カーターハーバード大学教授はミサイル発射台の攻撃を進言したが米国政府はこれを拒否していた。
9. 米国政府関係者は今回の発射は米国にとって深刻な脅威とは全く考えてない(American officials had never considered it a serious threat to the United States)というのも今回の発射では弾頭を装備していなかったからだ。
10. 今回の発射は6カ国協議は失敗とする米政権内の強硬派を勢いづかせる可能性がある。

11.今回の発射で北朝鮮に自制を求めていた中国政府の威信(影響力)が傷ついたため、中国政府は怒るに違いない。中国政府外交部はいまだミサイル発射につきのコメントしていない。
12.「中国が怒ることを期待している」=匿名希望の米国高官
13.ヒル国務次官補が、中韓両国に対して今回の発射を契機に制裁へ参加するようにさせることを期待するが、中国は参加するかどうかは微妙。ただし中国は北朝鮮の政権崩壊は真剣に憂慮している。=米国政府関係者
14.6カ国協議への復帰は中国も北朝鮮に対して呼びかけており、中国の態度は本気だ=米国政府関係者

15.北朝鮮に対して援助や投資をしている韓国の対応は難しくなった。
16.韓国では来年の大統領選へ向け、現政権の対北朝鮮政策が攻撃されるとの予測がある。

17.日本国内では小泉後継についてはタカ派への支持が増える可能性がある。
18.安倍官房長官は「発射は国家安全保障、国際社会の平和と安定、そして大量破壊兵器の拡散の見地から深刻な問題」と 述べた(として暗に安倍氏が強硬派であることを示唆)


追記:日経新聞(電子版)では一発がテポドン2である可能性については「防衛庁が午前までの情報を総合したところ」というかたちでようやく14:22に報道されている。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060705NTE2INK0605072006.html




ミサイル発射に関する英米報道

2006年07月05日 15時41分32秒 | Weblog
Ⅰ.FTの報道
http://www.ft.com/cms/s/117a0e44-0ba8-11db-b97f-0000779e2340.html

1)ミサイル発射:一個の大陸間弾道弾(テポドン2)を含み、アラスカ、ハワイ、米国本土にも到達しうるテポドン2が1分以内、または発射中に失敗した可能性があることを米国国務省報道官のコメントを引用して報道。スカッドやノドンの再発射もありうるとのハドリー米国国家安全顧問の談話も引用。

2)韓国の姿勢:政府高官の発言の引用「北朝鮮はこれ以上のことができるということを示した。ここにはメッセージがある」

3)日本の反応についての論評:安倍官房長官の6時の会見、安保会議の開催などをあげ、速やかであったと評価

4)その他:核兵器に関する6か国協議が不調の中で金正日政権はこの問題を扱う方法について模索していたが、日米韓国政府は発射には経済制裁の方向を一貫して打ち出していたことが今回の行動につながったとコメント。

Ⅱ.CNNの報道
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200607050004.html

1)米情報当局者や国務省当局者の談話を引用し、長射程の弾道ミサイル「テポドン2」1発(複数の軍事関係筋によれば発射後1分以内に失敗)含む少なくとも6発のミサイルを試射と報道。射程距離の短いミサイル2発は、弾道ミサイル発射直前に、異なる場所から発射されたと報道。

2)ハドリー補佐官は、発射実験が「挑発的行為」であるとコメントし、ヒル国務次官補は5日からの北アジア訪問で、関係各国とこの件について協議すると報道。

3)クリントン政権時代に国務省当局者を務めたウェンディ・シェルマン氏は、「北朝鮮は米国のみならず各国に対して、北朝鮮が重視されるべきだとの信号を送ろうとしている」とコメントした。

4)国家安全保障の専門家であるマサチューセッツ工科大学のジム・ウォルシュ氏は、北朝鮮が6カ国協議への関心呼び戻しを図ったとしたうえで、ミサイル試射が米国にとって差し迫った危機ではないとの認識を表明。「(ミサイル開発は)技術的に大変難しいので、北朝鮮が習得していないのは非常に明らかだ。北朝鮮が技術を習得するまで、あと10年はかかると見る向きが多い」と指摘。

5)米国防省関係者は、テポドン2の試射が失敗したとみられ、米国が迎撃する必要はなくなったとしている。

Ⅲ.BBCの報道
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/5148648.stm

 事実関係はおおむねCNN同様(ミサイル発射の時刻等についてはNHKや共同通信に依拠)

1)射程距離6000キロメートルのテポドン2は発射後45秒で墜落、今後北朝鮮は明らかに孤立するとのスノー報道官が談話。

2)韓国で緊急の閣僚会議が召集

3)月曜日に北朝鮮が「核施設が先制攻撃されれば核兵器で報復」と警告。

4)スキャンロン記者のコメント:「北朝鮮は圧力や核問題について米国から無視されていると感じていた。今回の行動は注目を引きたいとの思惑によるものかもしれない。」

ミサイル発射に関する英米報道

2006年07月05日 15時41分32秒 | Weblog
Ⅰ.FTの報道
http://www.ft.com/cms/s/117a0e44-0ba8-11db-b97f-0000779e2340.html

1)ミサイル発射:一個の大陸間弾道弾(テポドン2)を含み、アラスカ、ハワイ、米国本土にも到達しうるテポドン2が1分以内、または発射中に失敗した可能性があることを米国国務省報道官のコメントを引用して報道。スカッドやノドンの再発射もありうるとのハドリー米国国家安全顧問の談話も引用。

2)韓国の姿勢:政府高官の発言の引用「北朝鮮はこれ以上のことができるということを示した。ここにはメッセージがある」

3)日本の反応についての論評:安倍官房長官の6時の会見、安保会議の開催などをあげ、速やかであったと評価

4)その他:核兵器に関する6か国協議が不調の中で金正日政権はこの問題を扱う方法について模索していたが、日米韓国政府は発射には経済制裁の方向を一貫して打ち出していたことが今回の行動につながったとコメント。

Ⅱ.CNNの報道
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200607050004.html

1)米情報当局者や国務省当局者の談話を引用し、長射程の弾道ミサイル「テポドン2」1発(複数の軍事関係筋によれば発射後1分以内に失敗)含む少なくとも6発のミサイルを試射と報道。射程距離の短いミサイル2発は、弾道ミサイル発射直前に、異なる場所から発射されたと報道。

2)ハドリー補佐官は、発射実験が「挑発的行為」であるとコメントし、ヒル国務次官補は5日からの北アジア訪問で、関係各国とこの件について協議すると報道。

3)クリントン政権時代に国務省当局者を務めたウェンディ・シェルマン氏は、「北朝鮮は米国のみならず各国に対して、北朝鮮が重視されるべきだとの信号を送ろうとしている」とコメントした。

4)国家安全保障の専門家であるマサチューセッツ工科大学のジム・ウォルシュ氏は、北朝鮮が6カ国協議への関心呼び戻しを図ったとしたうえで、ミサイル試射が米国にとって差し迫った危機ではないとの認識を表明。「(ミサイル開発は)技術的に大変難しいので、北朝鮮が習得していないのは非常に明らかだ。北朝鮮が技術を習得するまで、あと10年はかかると見る向きが多い」と指摘。

5)米国防省関係者は、テポドン2の試射が失敗したとみられ、米国が迎撃する必要はなくなったとしている。

Ⅲ.BBCの報道
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/5148648.stm

 事実関係はおおむねCNN同様(ミサイル発射の時刻等についてはNHKや共同通信に依拠)

1)射程距離6000キロメートルのテポドン2は発射後45秒で墜落、今後北朝鮮は明らかに孤立するとのスノー報道官が談話。

2)韓国で緊急の閣僚会議が召集

3)月曜日に北朝鮮が「核施設が先制攻撃されれば核兵器で報復」と警告。

4)スキャンロン記者のコメント:「北朝鮮は圧力や核問題について米国から無視されていると感じていた。今回の行動は注目を引きたいとの思惑によるものかもしれない。」

示威行動に終わったミサイル発射

2006年07月05日 13時02分17秒 | Weblog
 北鮮の6発のミサイルがロシア沿海州に向けて発射された。
http://www3.nhk.or.jp/news/2006/07/05/k20060705000120.html

 すでに日本本土を超える射程を持つテポドンを発射した過去からすると、今回は示威行動に終わったというべきだろう。結局振り上げた拳の落としどころを慎重に選んだといったところだと思われる。

 この点、正午のNHKニュースで軍事評論家の江畑謙介氏が、防衛庁長官の「発射は失敗した可能性」との発言に対し、むしろ日本国民への衝撃を軽くする意味で北鮮のメッセージであるとの可能性をより強くコメントしたのが信頼できる。

 むしろ、日本政府は「失敗説」にこだわり、いたづらに恐怖感を国民に植え付けるべきではなかろう。併せて、経済制裁については当面マンギョンボン号の入港禁止のみにとどめ、軍事行動などが取れない日本としては、国内資産凍結などは「次の一手」のためのカードとして温存すべきと思われる。

 一方、訪日中の小沢一郎・民主党代表はただちに予定を変更して、李軍・対外連絡局長と会談し、「発射は遺憾」の発言を引き出した。この対応は評価されるべきだろう。いまだこの発言をした中国首脳はいないのだから。

示威行動に終わったミサイル発射

2006年07月05日 13時02分09秒 | Weblog
 北鮮の6発のミサイルがロシア沿海州に向けて発射された。
http://www3.nhk.or.jp/news/2006/07/05/k20060705000120.html

 すでに日本本土を超える射程を持つテポドンを発射した過去からすると、今回は示威行動に終わったというべきだろう。結局振り上げた拳の落としどころを慎重に選んだといったところだと思われる。

 この点、正午のNHKニュースで軍事評論家の江畑謙介氏が、防衛庁長官の「発射は失敗した可能性」との発言に対し、むしろ日本国民への衝撃を軽くする意味で北鮮のメッセージであるとの可能性をより強くコメントしたのが信頼できる。

 むしろ、日本政府は「失敗説」にこだわり、いたづらに恐怖感を国民に植え付けるべきではなかろう。併せて、経済制裁については当面マンギョンボン号の入港禁止のみにとどめ、軍事行動などが取れない日本としては、国内資産凍結などは「次の一手」のためのカードとして温存すべきと思われる。

 一方、訪日中の小沢一郎・民主党代表はただちに予定を変更して、李軍・対外連絡局長と会談し、「発射は遺憾」の発言を引き出した。この対応は評価されるべきだろう。いまだこの発言をした中国首脳はいないのだから。

北鮮のミサイル発射

2006年07月05日 04時48分22秒 | Weblog
 やはり予測したとおりというべきか、北鮮は最後にはビビッて米国を標的とすることを避け、無警告で日本海に向けてミサイルを発射した。

 今回のミサイルはなんとなく米国に向けて発射するような雰囲気を日本政府もマスコミも持っており、「米国の後方支援的口先警告」を繰り返していたが、おっと、気づいてみればやっぱり狙われていたのは自分の庭先ではないか。

 そもそも燃料を一旦注入してしまえば抜くことはできず、折角注入した以上、どこかに向かって発射しなければならなかったのは必然だった。あとは「いつ、どこへ」だったのだが、日本海に落ちたのは金正日の「きまぐれ」に過ぎず、別の気分の時には日本本土に落ちていたかもしれないことを考えると、日本政府の危機管理はお粗末としかいいようがない。

 今後は、米国は自国のことではないので「やれやれ」、「もう知らないよ」になるだろうから、日本政府は今後、単独で考えて行動しなければならないがどうするつもりなのか。

 「日朝平壌共同宣言」を反故にされた小泉氏、次の一手は用意してあるのだろうか。それともこれもまた安倍官房長官にお任せか。

『現代』8月号を読む

2006年07月05日 03時17分38秒 | Weblog
 『現代』8月号は「平成の政商・宮内義彦」が目を引く。すでにブログでも指摘したが、オリックスなる高利貸しの会長である宮内がライブドア「事件」、村上ファンド「事件」の黒幕であることは周知の事実になりつつある。

 本稿はあまり知られていない、宮内と村上の出自にも触れながら今回の「平成の疑獄?」がいかに形成されたかを探ろうとする力作で、表題どおり、宮内のことに詳しく触れている。父親が木材貿易商でそのコネでニチメンに入社したこと、28でオリックス(当時オリエント・リース)にニチメンから出向し、やがて片道切符になること、これらの出自を知れば、なぜ、宮内が関西学院大学という異色の経歴で、財界に君臨しているかが分かる。

 
 このほか、連載モノの「司法変質」②(亀井洋志)では司法=行政であることがデータを使って詳細に説明されており、保存版とするにふさわしいし、「ドキュメント・ロッキード秘録」(坂上遼)ではいよいよ角栄逮捕の場面となり往年を思い出す。

 このほか個人的には瀬戸内寂聴とヤンキー先生こと義家弘介との異色?対談「親は3つのプロになれ」が常識的な対談となっていて好感を持った。