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アディクションの原因(又は壮大な言い訳)

2007-04-10 12:58:42 | アディクション
アディクションの原因は何でしょうか?
アル症の原因に関しては前にも書いたのですが、「基本的欲求に基づく甘えの未充足からくる飲酒へのしがみつき=普通に飲めてる健康的な大酒飲み状態」に「罪悪感」がくっついたための悪循環の結果なのですが、今回はちょっとだけ別の角度からみていみたいと思います。

人の心は「意識領域+無意識領域」で出来ているという説が一般的です。無意識領域の定義は正直手に余るのですが、ここでは「自己の行動を意識する事無く、自動的に行う領域」とでも定義しましょうか(正直あんまりいい定義じゃないけど)。この定義からすると、例えば歩くことや走る事も無意識で行っていますし、究極的には心臓の鼓動から呼吸の仕方までが無意識領域で行われていると言えます。究極的にはともかくここでは後天的な学習によって得られた行動パターンが無意識化された領域だけに絞って話をします。

例えば箸の使い方は先天的なものではなく後天的な学習で得られますが、普段は箸の使い方なんて意識しません。私はちょっとだけ箸の使い方が変なので、一度直そうと思ったのですがすっかり染み付いた使い方(無意識化された使い方)をついには改定できませんでした。逆にキーボードは最初は一本指入力だったのですが、ブラインドタッチを練習した結果ほとんど無意識で入力できるようになりました。こんな風に後天的に学んだことを無意識化(自動化)する事で、便利に生活する事ができるわけです。

人間の脳の働きとしては、パターン化したことを無意識化し、いちいち意識に昇らせないでも出来るようにするもののようです。しかもこれは肉体の機械的な動作コントロールだけでなく、判断や思考パターン等々、精神的な働きに関しても同じ事が言えるようです。例えばAさんが写っている写真を見て「あ、Aさんだ」と判断するときには「目と鼻の位置関係とか唇の厚さ、輪郭の形等々」を総合的判断しているのですが、これは意識ではなくほとんど無意識で瞬間的な判断として行われます。逆に「どうしてこの写真をAさんだと思う?」と聞かれても、意外と明確な説明が出来なかったりします。

アディクションはこの無意識領域にある何かが原因となって発生しています。有体に言えば「生育暦」上で、ある種の欠損(基本的欲求に基づく甘えの未充足)が生じたのが原因で、その欠損を正しく埋める事が出来ず代替物としてお酒や食べ物やギャンブルや人間関係や薬物を使わざるを得なくなるのが原因だと考えられるのですが、それはおいといて話を進めます。

問題点を修正するためには、原因となる事象が無意識領域内の何であるかを知る必要があります。しかし残念なことにアディクションの場合本人はまず自分の病識がありません(認知不協和によってもたらされる一般的な現象)。次に病識があってもやはり原因は自分ではわかりません。そのため、例えば酒に問題があると思って「明日から飲まないようにする」とか「節酒に心がける」とか「ビールがいけないから、チューハイにしよう」とか色々と方策を考えるのですがうまく行きません。
これは例えるならば、腕の腫れの原因が骨折であるにも関わらず「ばい菌が入って腫れたんだから、抗生物質を注射しよう」といった、的外れな対応になっているため、骨折の有効な治療が出来ていないためです。

結局は問題の原因が何であるかを知り、それに有効な方法を取らない限りどうにもならないわけです(原因はわからなくても、有効な方法を取れば効果はあります)。そして原因に関しては自分でもわかりませんが、他人にもやはりわかりません。そのため症状から普通に推測できる対処法のアドバイスはほとんど意味を成しません。アル症の人に「酒の買い置きを止めなさい、私がチェックして全部捨てるから」とか「食事代以外にお金を持たせない」とか「一日にビール1本までにしなさい」とかの忠告や強制をしても、食事を抜いてワンカップを買うとか、家の中に信じられないほど巧妙にお酒の隠し場所を作ったりとか、味醂や料理酒、果てはヘアトニックを飲んだりとか、酒がないと暴れてみたりとか、一時的にはうまくいっても、結局は破綻が待っているわけです。

さて、なんでこういう事を長々と書いたかと言うと、全く別のクローズドな場所で以下のような我が師匠の文章(いや、別に私に向けて書いたわけではないのですが)を読んでの言い訳でありました(笑)。いやー、われながら長くて回りくどい言い訳だこと!

直したいところを、いくら意識でどうこうしても、かえってひどくなるだけで、解決などはいたしません。心理学を学ぶと、相手が見えたような気になり、かなり尊大になり、相手に注意を与えて行くことが行われたりします。これはナンセンスです。

あー、師匠、全く赤面の至りであります。あと少しでその道を邁進してしまうところでした。是非今度はそういうナンセンスなことをしないで済むような心理状態に至る方法を聞かせてください。

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