北信濃寺社彫刻と宮彫師

―天賦の才でケヤキに命を吹き込んだ名人がいた―

■20P 松本市 里山辺のお船祭り(ダイジェスト版)ー彫刻を中心に

2018年05月08日 | 20 立川流

 毎年5月5日(注意! 御柱祭の時には前日の4日)に、豊作祈願のため里山辺の9つの地区から9艘のお船が須々岐水神社へ曳き回されます。

 それぞれのお船には、諏訪立川流系統の素晴らしい彫刻が付いています。お船の彫刻を中心に、初めての方がお船の概要を把握できるようにと思い紹介します(各船の彫刻の詳細は別の機会に)。祭りの流れ、詳細な曳行の順路は、後半に載せます。彫刻の内容から勝手に命名(『 』丸)しました。もっと、いいネーミングがありましたら、ご指摘お願いします。

 午前10時に、松本市教育文化センター前の道に9艘のお船が並び、順に神社に向かいます。その並び順に紹介します。

Ⅰ.薄(すすき)町のお船  片葉連  彫刻からは『仙人』丸

制作者:立川和四郎冨重(3代)、弟の専四郎冨種

改修:冨種の娘の松代(湘蘭)、清水湧水(清水虎吉の子)?

・全体像

・(進行方向)右側面

・左側面

 

Ⅱ.湯の原のお船  白糸連  彫刻からは『二十四孝』丸

制作者:和四郎冨重、冨種、池田文四郎

・全体像

・右側面

・左側面

 

Ⅲ.新井のお船 若草連  彫刻から『馬師皇』丸

作者は不明であるが、「馬師皇」の題材から諏訪立川流を疑う。かなり早い時期の製作と思われる。

・全体像

・右側面

・左側面   中央『馬師皇』

 

Ⅳ.下金井のお船  かねこ連  彫刻から『牛若』丸

制作者:不明 (原田蒼渓の補作)

・全体像

・右側面

・左側面

 

Ⅴ.荒町(荒町本郷)のお船  赤人連  彫刻から『力神』丸

制作者:不明 (清水東渓の補作)

・全体像

・右側面

・左側面

・力神

 

Ⅵ.西荒町(荒町区)  かやの連   彫刻『日本』丸

制作者:清水湧水(冨種の孫弟子)

・全体像

・右側面

・左側面

 

Ⅶ.上金井のお船  圓上連   彫刻よりも上部の人形(義経)が特徴的、『義経』丸

制作者:不明 (立川東渓の補作)

・全体像

・右側面

左側面

 ・上部の人形(義経)

 

Ⅷ.藤井のお船  朝日連  彫刻から『七福神』丸

制作者:立川冨保(和四郎冨昌の弟)

・全体像

・右側面

・左側面

 

Ⅸ.兎川(とせん)寺のお船  都連  貝の装飾が特徴的です。『高砂』丸

制作者:不明(立川東渓の次男・清水島太郎の補作)

・全体像

・右側面

・左側面

 

 

●各々のお船の曳行順路

午前10時に、教育文化センター前の道③に9艘が並びます。

・薄町は、神社前の倉から出して逆行で③の先頭に並びます。

・湯の原、新井、下金井、荒町、西荒町は④(幹線道路の北に並行する道に並んで進みます)に並び→③へ 赤腺

・上金井、藤井は、東から青線のルートで③に並びます。

・兎川寺は、寺の西方の倉から出て③の最後に並びます。

その後、神社前で儀式を行った後に、各船が鳥居②過ぎたところで、右に急カーブして境内へ。(一番の見せ場)

午後13時半頃まで、神社境内に9艘がとどまり、各町で食事をします。

帰りは、各船毎に神前でお参りをして、境内北側で船を豪快にゆらして、神社をでて各町に戻ります。

お船の彫刻を見るには、10時ころに③、12時前後に①がいいかと思います。

・教育文化センターに並んだ風景(手前は下金井のお船、奥は先頭の薄町)

・お船は前後は、上下に動き、まさしく田に水をはった情景がまさしく海であり、海原を船が揺れながら進んでいく様は一見の価値があります。

・上下にゆれるお船(上金井のお船)

 

*どのお船も素晴らしいです(甲乙つけれません)。諏訪立川流の彫刻を見るには、この祭りはいい機会です。


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