北信濃寺社彫刻と宮彫師

―天賦の才でケヤキに命を吹き込んだ名人がいた―

■01A ながの祇園祭 桜枝町屋台(長野市桜枝町) その1

2016年10月07日 | 01 山崎儀作

桜枝町(さくらえちょう)屋台。

彫工:山嵜儀作、明治28年(1895)、儀作64歳。

【桜枝町の基本構造】 東町、西後町屋台と同じ、一層二輪形式。前方は舞台(踊る場所)、後方は御簾で囲まれた囃子(はやし)方になる。西後町と同じで全て素木(しらき)。

 

平成28年(2016)に、地元の方の熱意によって25年ぶりにお披露目され巡行された。

 

前方の舞台の天井部の『丸龍』(親子龍)。直径は110㎝になります。

 

天井部 『丸龍』。屋台の彫物の中で主役になりますが、一見みづらい場所にあります。

 

天井の丸龍のつけられた板に、「妻科村 彫刻師 山﨑儀作」と墨書があるほか、制作時の桜枝町の町役の方々の名前が書かれています。

 

屋台前方部。懸魚(げぎょ)は『菊』。その奥に破風(はふ)入り『鳳凰』。その下部の欄間の『龍』。

 

破風入り『鳳凰』、欄間『龍』。

 

屋台前面の土台部分(腰巻:こしまき)の彫物 『富士山』。

 

囃子方前面部の上部欄間 『鶴』。

 

屋台後方部。懸魚『菊』、破風入り 『麒麟』、上部の欄間 『松に鷹』、蹴込(けこみ) 『波に千鳥』、腰巻 『二見浦』。

 

屋台後方部の拡大。麒麟が2匹、鷹が3匹。 鷹の彫物は、あまり厳しさを感じません弟子でしょうか。

 

屋台後方部 腰巻 『二見浦』。 腰巻は浅い彫りになっております。儀作の物ではなく後補?と疑われる方もいるかもしれません。佐久の蕃松院の欄間のように、深い彫り(仙人、羅漢)、浅い彫り(近江八景)があります。腰巻に彫られた人物は儀作の作風です。二見浦(ふたみがうら)は、三重県伊勢市の二見町の海岸で、夫婦岩が有名です。

山嵜儀作所持の絵本通宝志(四)より  二見浦風景

 

 

山嵜家文書。

請負代 桜枝町 金426円12銭2厘8分 とあります。

 

次回 その2で側面の方を紹介させていただきます。

 

 


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