goo blog サービス終了のお知らせ 

地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

ヤンゴン熱鉄記 (1) 総論・全ては変化の中に

2013-03-16 20:59:00 | ミャンマーの鉄道


 東南アジアと南アジアをつなぐ位置にある人口6000万超の国・ビルマ (ミャンマー) は、折角豊かな天然資源と農産物に恵まれながら、長年にわたる「ビルマ式社会主義」の失政に加え (何せ独裁者ネーウィンは、星占いで施策を決めていたといわれるほか、1980年代にはヤミ商業ネットワークを潰すために突如全ての紙幣の効力を停止する「廃貨」という無茶苦茶な政策を二度三度やっていたのです!)、1988年の民主化運動弾圧以来の欧米を中心とした経済制裁により、周囲の国々に比べ一人当たりGDPが圧倒的に低く、世界最貧国レベルに甘んじるという状況が続いて来ました。しかしその現実が、とくに乗用車・バスなど日本中古車に心酔し、どれほど年式が古い車両でも壊れるまで徹底的に使い倒すことに結びつき、世界的にも空前の日本中古車天国となっているのは知る人ぞ知るところです。そして近年は、鉄道DCについても日本の中古車が続々と輸入されつつあるのは周知の通りです。
 そんなビルマ (ミャンマー) は昨年から、上からの民主化が一定程度進展した結果、経済制裁が解除され、労働集約型産業の新たな沃野として世界的な注目を集めており、とりわけ本朝においてもC国の代替となる場所を求める製造・サービス業や観光業などから熱い視線が注がれているのは周知の通りです。そこで私も、そんな史上かつてない激変を始めたこの国と、そこに息づく日本中古DCをはじめとした鉄道車両&バスの姿を、是非今こそナマで眺め激写してみたいものだと思いまして、昨日まで短時間の滞在ながらお腹いっぱい!の訪問を楽しんで参りました。また、往路には恥ずかしながら19年ぶりにタイを訪問し、僅か2泊ながらもこれまた満腹!な乗り撮り鉄を楽しんだ次第です。



 そこで今後、両国で激写した記録を順次備忘録としてアップして参ります。あくまで2013年3月時点での記録として御覧頂ければ幸いです。何せ外国の鉄道事情は流動的ですので、参考にされても事情の変化に対する責任は負いかねますが、多少とも現地を訪問される方のお役に立てれば幸甚に存じます。
 そして今回の訪問にあたりましては、RP誌でおなじみの斎藤幹雄様から事前に様々な情報・アドバイスを頂き、おかげさまで超絶に強運を極めた撮影・乗車となりました。まずはこの場ながら心より御礼申し上げます!! m(^^)m
 なお従来、ビルマ (ミャンマー) の鉄道は原則撮影禁止といわれておりましたが、このたびアップする画像は全て特別な許可は取得しておりません。念のため駅で「撮っても良いか?」と訊ねますと、普通にOKが出て、これといった文句は言われません。ヤンゴン中央駅でチラホラと世間話に興じる警察官を見かける他は、銃を構えた軍人・公安の類は全く見かけませんでした。それだけ現在のヤンゴン近辺の社会情勢は良好ということなのでしょう。中国や韓国・ベトナムよりもはるかに鉄活動しやすかった……です (^o^)。ただ、これもあくまで2013年3月時点の状況に過ぎず、その後の政情・社会情勢の変化により再び問答無用で撮影禁止となる可能性もあろうかと存じます。くれぐれもその場の判断と自己責任ということで宜しくお願い申し上げます。当ブログの記述を当てにされた方が現地で撮影禁止や取り調べ等の不利益を蒙られたとしても、当ブログは一切責任を負いません。とりあえず不測の事態を避け、単にこの国の鉄道を楽しみに来た鉄ヲタであることを知らしめるためにも、ヘタクソでも全く大丈夫ですので英語が出来るに越したことはないでしょう。しばしば大いに親切にしてくれるかも知れません。
 ちなみに、「ビルマ」か「ミャンマー」か、という問題につきまして……この国の最大民族はミャンマー族であり、その自称が1989年以後軍政により国名とされ、日本政府もそれを受け容れているところです。しかしこの国はミャンマー族以外の民族も多数住み、英国から独立した際にはミャンマー族以外の少数民族も含めた総意として「ピンロン協定」が結ばれて以来長年バーマ=ビルマが国号として採用されてきたところでもあります。したがって筆者は「ピンロン協定に代わる国民的合意が形成されるまでは、なおも国際的名称としてはビルマが適切である」という見解をとっておりますが、今や広く観光・ビジネス・鉄道趣味面で「ミャンマー」という名称が人口に膾炙しているのも事実です。それゆえ、記事カテゴリをはじめとして、あくまで便宜として「ミャンマー」と表記することにします。
 というわけで、前置きが長くなりましたが……こんな調子では一体いつ連載が終わるのだろうか……(^^;)。余りにも濃厚なヤンゴン4泊5日でしたので……。