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地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

伊豆急の秘宝を訪ねて (下) クモハ103快走!

2012-07-09 00:00:00 | 地方民鉄 (東海道)


 一昨年末から盛り上がって来た伊豆急50周年は、8000系の先頭に掲げられた大きなHM姿を撮るだけでも盛り上がるというものですが (逆に、今度は何時剥がすのだろうかという疑問が……^^;)、それ以上に特筆しなければならないのは、開業以来の生え抜き車両であるクモハ103が営業用車両として見事に復活を果たしたことでしょう! クモハ103は引退以来このかた、伊豆高原の入換機械として辛うじて動態保存されており、検査で編成をバラされた車両の移動や「リゾート踊り子」運転にからむロイヤルボックスの挿入・抜取作業のために「よっこらしょ」と庫内をノロノロ走る光景を目撃する機会もありましたが、基本的には引退以来恐らく未補修の車体がさらに潮風にあぶられて、かなりヤバいのではないか……という思いを禁じ得ませんでした。
 しかし、伊豆急50周年の目玉として、クモハ103が完璧に美しいハワイアンブルー姿を取り戻し、しかも他の車両に伍して高速運転するだけの性能を維持しているということで拍手喝采! 恐らく、もともと100系の部品を流用して作った2100系の初期編成を廃車にした結果、再び100系のために部品を活用する余地が出来たということなのかも知れませんが、それ以上にあの海辺スレスレの塩害三昧で過酷な環境を走る鋼製車を見事にレストアしたという伊豆急技術陣の100系に寄せる思い入れと根性に頭が下がる思いです。



 そこで、幼少時から父親の故郷に行くために伊豆急にお世話になってきた私としても、復活した昨年秋の時点ですぐにでも飛んで行きたかったのはやまやまですが、骨折のためなかなか外出もままならず……結局「何を今さら」な今年6月の初乗車となってしまいました。前にも記しました通り、もともと予め決まっていた平日休みに、日曜参観代休の甥っ子をどこかに連れて行ってやろう……と考えていたところ、伊豆急が「下田あじさい祭」に協賛して6月中旬~下旬の月・金に100系臨時快速を運行するという緊急ニュースが飛び込んで来まして、思わず「よっしゃ!チャンス到来!」と叫んだ次第です (笑)。そして、甥っ子にとって生まれて初めての伊豆急の旅は、TB-2→アルファ・リゾート21→クモハ103へと乗り継ぐものになるということで……何というマニアックな初体験なのでしょう! (それを仕組んだ叔父さんがマニアだということで。笑)
 というわけで、まずは入換で3番線に入るクモハ103を激写! そして余裕で海側の席をゲット!! 5633Mが発車した時点では全く問題がありませんが、185系伊東行からの連絡列車 (721レ) が到着する前に臨時快速の改札が始まりますと、下田に向かうフツーの観光客(とゆーか……旦那の方が如何にも鉄分あり気味な50代以上の夫婦連ればっかし)がゾロゾロやって来て海側の座席が埋まってしまいましたので、確実にクモハ103臨時快速の海側に座りたい場合には、5633Mで伊豆高原に到着しておいて改札から出ないに限りますね……。トイレも改札外ですので、車内で済ませておくのが賢明でしょう (クモハ103は勿論トイレ無し)。
 そんなこんなで、各ボックスごとに2人以上埋まるという、まさかの大入り状態で約40分のタイムスリップがスタート! 天気が悪い平日ゆえスカスカだろうか……という予想は見事にハズれ、老若男女問わずレトロな鉄道車両に弱い日本人らしさがこんなところにも表れました (笑)。
 伊豆高原を発車すると早速、雄大でなだらかな台地の展望に始まり、北川駅からの大パノラマ、熱川の源泉、波が目の前で砕ける稲取前後の海岸線……と、見どころが満載となりますが、そんな光景を力強いモーター音を奏でるクモハ103のボックスシートから眺めていますと、まさに懐かしき昭和の伊豆の旅が蘇って来るから不思議です……(*^^*)。これは間違いなく第一級の鉄道文化遺産と断言出来ます♪♪
 河津からは山越えに入り、甥っ子は稲梓駅のド田舎っぷりに絶句 (笑)。つい最近までここに駅員が配置されていたのが不思議です……。西伊豆へのアクセスは、蓮台寺よりも稲梓の方がはるかに距離的に便利なはずなのですが、如何せん山の中腹の狭い空間にあり、しかも主要道から外れて細い坂道を登らなければならない稲梓駅のロケーションが悪すぎる……。以前親戚に送ってもらった際、稲梓駅発券の切符欲しさに稲梓まで送ってもらったことがあるのですが、余りの辺鄙さに親戚もビビっていたのを思い出しました (^^;
 そんなこんなで、再び特急が通過となった蓮台寺を経て (やっぱ西伊豆に行き来する観光客にとっては、うら寂しい蓮台寺よりも、もう少々時間をかけても華やかな伊豆急下田駅を利用した方が良いというもの……)、ついに下田に到着! 午後の出番までしばらく側線で昼寝するクモハ103の入換シーンを激写し、「嗚呼やっぱ良いなぁ……伊豆急♪」と思ったのでした。