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地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

香港・東鐵線の釣掛式電車

2011-04-17 18:00:00 | 中国の鉄道


 香港経由でネパールを訪れてから早いもので約1ヶ月経ち、その前後には大震災に関する様々な出来事が立て続いたため、すっかり旅の記録の整理も後手となってしまいました (汗)。しかし今日は、いつもお世話になっております「ぱれっと」様 (香港乗り物事情に関しては私にとって師匠であり、出発前に最新の『通用乗車地図』[※1]を頂くなど多大な御指南を頂きました m(_ _)m) と横浜中華街で美味い昼食を楽しみ、あれこれの土産話に花が咲きましたので、鮮度が落ちないうちに香港+αでの記録をアップしておきたく存じます。なお、今回の香港滞在は2泊3日で、実質的に乗り物三昧に浸ることが出来た時間は1日半に過ぎませんでしたので、香港島の非常にメジャーな2階建てトラムやケーブルカー、及び新界のトラムは残念ながら省略しております (鉄道線車両と路面電車を並べられると、何のかの言って前者を取りがちという点で、路面電車にどこか冷たい自分を発見……^^;;)。
 さて、今回欠かさず乗っておきたかったのは、香港鉄路 (香港地下鉄が九広鉄道[※2]を吸収合併するかたちで成立)・東鉄線の釣掛式電車です♪ この車両、ミョーに近未来的な (?) マスクに加え、付随車は床下カバーを完備しているなど、見かけはやけに最新な雰囲気を漂わせていますが、下は何と釣掛。九広鉄道が1980年代に電化されて以来、3扉セミクロスの電車が用意されて活躍していましたが、電化と本数増に伴う沿線の急激な宅地開発、それに広東省側での猛烈な経済発展に伴い越境利用客が急増した結果、3扉というスペックでは到底不十分となり、1990年代末に5扉の車体を新造し下回りを流用して生まれたのがこの車両です。



 1980年代に下回りが製造されながらも釣掛であるというのは如何にも英国の流儀ですが、静音対策が周到になされているためか、あるいは運転間隔が頻繁で (12両編成が2~5分間隔で走っています) スピードが余り上がらないためか、釣掛サウンドそのものは絶叫の域には達せず、車内では総じて「江ノ電1000形よりも響いているだろうか?」という程度。それでも、釣掛の大型電車に乗って近郊の緑の山々やニュータウンを眺めるというシチュエーション自体がたまらない魅力です。
 但し、それをかき消す存在として、車内にはニュースやCMを延々と流すテレビが……。しかも、訪れた時期が時期だけに、放送されている内容は福島第一原発の深刻な状況ばかり……。まぁ、「祖国」であるはずの中国で生産された食品を信用せず、ほとんど (?) の食品を日本や台湾から輸入している香港にとって、今回の原発事故は全く他人事ではないのでしょうが……(私も最新の状況が気にならずにはいられず、乗車中も思わず他の客とともに画面を注視)。ちなみに、もしテレビ放送一切抜きで釣掛サウンドに耳を傾け続けたい向きには、編成中に1両のみある電動車の「静音車」がオススメ。もっとも、乗客が静かであるという保証は一切なく、むしろ広東省側・深セン[土+川]とのボーダーである羅湖に近づくほど、香港商品の買い出し (?) で往来する中国人客の喧噪が加わりますのでそのつもりで……(汗)。3分の1ほどの列車は羅湖ではなく、数年前に新たに開通した落馬州のボーダー[※3]に向かいますが、落馬州支線は駅間距離が長く、大部分の区間がトンネルであるだけでなく、利用客数もそれほど多くありませんので、釣掛サウンドを本当に楽しみたい向きには落馬州系統の列車がオススメですね~。
 ちなみに、私が初めて香港を訪れたのはまだ英国領だった1994年で、中国側から羅湖のボーダーを歩いて通過し、電車に乗って九龍中心部に向かったのですが (フツーそんなルートで香港を初訪問する日本人はいないだろう……と ^^;)、それまでの中国側の旅が余りにも地獄過ぎたため (汗)、全てが秩序と清潔さに満ちた香港にすっかり舞い上がってしまいまして、思わず頭等車 (1等車) に乗車~。頭等車は当然のように付随車であり、先代の車体でも隣の電動車の釣掛サウンドは完全にブロックされ伝わって来なかったため、この電車は釣掛であるとは夢にも思わず、その事実を知ったのは最近数年来のことでした (滝汗)。頭等車は現在も編成中に1両連結されており、車内は全てゆったりとしたボックスシートですが (普通車は車端部のみボックスシート)、乗車の際には切符の事前購入、あるいは八達通 (オクトパス・カード) で乗車の際「頭等核準機」(1等車利用をカードに認識させる装置→精算は下車後改札通過時?) にしっかりとかざしておくのをお忘れ無きよう……。

※1 『通用乗車地図』は、通用図書公司が出版する香港各種交通機関利用指南本。全てのバス路線と停留所も網羅。香港で乗り物ヲタに徹するならば超!必携。
※2 九広鉄道の九は九龍、広は広州を意味し、香港側での社名。かつての国境=今の特別行政区境から広東省側は中国国鉄広深線 (現在、広深鉄路公司が運営)。
※3 ボーダーの橋を渡ると深セン地下鉄4号線「福田口岸」駅があり、2駅乗った「会展中心」駅にて1号線に乗換可。深セン中心部に行くにはやや面倒。

中国国鉄と言えば絶対緑皮車!宣言 (?)

2010-10-10 00:36:00 | 中国の鉄道


 本日は中華民国99年の双十国慶節。「99=久久」に10が3つ並ぶということで、誠に目出度い日和ということになります。また、中国人初のノーベル平和賞受賞者が生まれたのも目出度い限り。というわけで、久しぶりに中国がらみの画像をアップしてみましょう(中華民国は今や台湾+αでしかなく、「台湾にある中華民国」と中国を一緒にするな!というお叱りを受けそうですが、そもそもアイデンティティが台湾人ではなく中国人である馬は「一つの中国」という虚構を前提に台湾を仕切ろうとしているのもまた現実。というわけで、こじつけさせて頂きます。^^;)
 いや、ここ4年来中国とはご無沙汰な私としましては、以上は新ネタがないことをぼかすための言い訳 (笑)。昨日は、リンク頂いております『中国鉄道倶楽部』の管理人・Borgen様の一時ご帰国にあたり都内某所にて開催された中国鉄宴に参加させて頂きまして、それを記念してのアップです。今回幹事を務められた、リンク頂いております『不思議な転轍機』管理人・はいらーある様からお誘いを頂いた当初、中国には4年来ご無沙汰で完全なネタ切れに陥っているため「さてどうしたものか」と思ったのですが、そういえば最近唯一の中国鉄活動として撫順模型シリーズを製作したことを思い出しまして、熱烈なコメントを下さったはいらーある様への御披露目を兼ねて久しぶりに中国鉄分を補給しようか……ということで参加させて頂いたところ、いやー中国・韓国・国内ネタであっという間に約4時間が過ぎてしまいました。Borgen・はいらーある様をはじめ、当日お越しの皆様、楽しいひとときを誠にありがとうございました! m(_ _)m



 周知の通り、最近の中国鉄道事情といえば、日本・ドイツの技術を金に物言わせて購入して「国産」を僭称するCRH「和諧号」や、猛烈な勢いで開業・延伸を続ける地下鉄の話題が目立つところですが (先月末には瀋陽と成都で地下鉄が営業開始。瀋陽は満洲国時代に大阪市営地下鉄の規格で作ろうとして以来、約70年越しですな……)、日本の最新鋭の車両とパッと見で余り変わらない雰囲気の車両を眺めていてもすぐに飽きが来るのは否めず、自ずと話題の中心は満鉄関連や社会主義計画経済臭・「社会主義の友好」臭がプンプン漂って来る車両に……(笑)。19系・24系客車ばかりを連ねた臨時列車の濃いぃ話題にのけぞったり、中国鉄道博物館で保存されている専運車(共産党の最高幹部用=事実上のお召し列車)の車内トイレが見学可能であったところウ○コをするヤツ続出で車内公開が中止になったという話題に「さすが中国の特色ある文明礼貌は違うぜ!」と唸ったり (滝汗)、まぁいろいろな話題がてんこ盛りでしたが、その中からほの見えて来たのは……やはり私を含めて皆さん、趣味として楽しむならダークグリーンの車両 (緑皮車)、及び白+オレンジ帯 (紅皮車。全車空調付き) でありながらも登場時はダークグリーンだった車両がベストだと思っておられるのだろうなぁ……ということ (乗るなら緑皮車は「忍」の一字で、時間と体力がなければなりませんが ^_^;)。またカマにつきましても、SLでなければ東風4型 (緑亀・赤亀) やND2・NY5など1980年代の輸入機に人気集中……。これらは既に消えたか、猛烈な勢いで減少を続けており、とりわけ北京~上海間で緑皮の伝統を守り続けた1461/1462レが最近紅皮化された際には中国国内の「鉄」が慌てふためいて追っかけ回したという経緯があるなど (これを最後に上海からは緑皮消滅とか・・・)、あれほど大量に走っていた緑皮車も今や地域によっては探さなければ巡り会えない状態となっているのが実情のようです。冷房の必要性が薄い東北・西北地方ではまだしばらく残ると思われますが……。
 うーむ、こんな感じで久しぶりに緑皮に乗りたいのぅ……という毒気に染まってしまったのですが、取りあえず行く機会もヒマもなさそうなのが実情です (苦笑)。
 ダークグリーンといえば、伝統的な緑皮車である22系 (リブつきのボロ) や25系 (2段窓の非冷房バージョン) はいずれ消えゆく運命にあると思いますが、いやいや青蔵線(青海チベット鉄道)直通用の25T客車はこの塗装で残るぞ、というご意見もありましょう。しかし……個人的にはこの路線が将来にわたって営業されることを望んでいませんので、何とも微妙なところです(→と言いつつ、機会があったため撮っているのですが ^^;)。

 それはさておき、今回SY1698様が持参された満鉄関連資料(国立国会図書館を渉猟されたもの)は最高に濃ゆ~い内容で、思わず鼻息が荒くなってしまうほどでしたが、その中に「大型石炭ホッパー単行電車」という驚異的なシロモノの写真があり、「これ作りてぇ……」と脳内物質分泌しまくり (→しかしマスクが異様なかたちですので、実車再現は諦め、雰囲気をあしらって楽しむつもり。ホッパー部分はKATO総本山あたりでアメ車を物色して……。最大の課題は、もし作ったとしても自走出来ないことでしょうか)。
 あと、はいらーある様によりますと、華中鉄道の客車にはスハ32系列の輸出モノのほか、オハ35系列の車体延長版もあるとのことで、よしっ!これならGM板キットで簡単に製作可だな……と (笑)。

消え行く北京風情を想う・2年前の北京北駅

2008-08-07 19:01:59 | 中国の鉄道


 明日はついに北京五輪の開会式。既に始まる前から、それは本当に成功するのかどうか、無事終わるとしても成功といえるのかどうか極めてアヤシイものがありますが、とりあえずはテレビ越しに、冷めた目線で高みの見物というのが無難でしょう (笑)。五輪観戦ついでに鉄活動をしようという方は、厳戒状態の公安当局との悶着など、突発的なアクシデントに十分気をつけられますよう……。
 それにしても、北京五輪という一大イベントの体裁を取り繕うために、古いものを片っ端から壊して巨大or最新のものを造って行くスピードは想像を絶するものがあります。まぁ、私が生まれる数年前に行われた東京五輪のときもそうだったのかも知れませんが、中国の場合は「土地は全て国有だぁ! 使用権だけ貸してやる!」という前提のもと、猛スピードで土地を人々から召し上げて転がして行くのですから、やっぱ異常です。(以上の点についてのコメントはご遠慮下さい)
 そんな五輪目当ての大改造や巨大インフラ整備のうち、鉄道に関して筆頭に挙げられるのは北京=天津間の350km/h高速列車の運行開始でしょうか。JRE・E2系の6M2T・出力増強バージョンであるCRH2C型と、ドイツのICEを導入したCRH3型がその任に当たっているようですが、CRH2C型は車体など大部分が中国に技術移転されたとは言え、肝心の核心的な電装品は日本製のようですので、有り体に言って満鉄あじあ号や弾丸列車構想が描いた夢がついに、その本領発揮の舞台とされていた大陸で実現したということも出来るでしょう。
 しかし……この高速列車の起点とされた北京南駅が、開業に合わせて最新の巨大ターミナルとして改造されてしまったのはショック……。かつてバックパッカーをやっていた頃、北京南駅から鈍行列車に乗ったことがありますが、当時の北京南駅といえば、近場へ向かうローカル列車や貧しい農村地帯へ行く列車の発着が中心で、古い駅舎や雑然とした駅前広場に侘びしく裸電球が点る中、肥料袋に荷物をいっぱい詰め込んだ乗客が蠢いているという壮絶な光景が広がっていました。しかし、それがまた、人が集まる首都の一面を象徴しているわけで……恐らく昔の上野駅の雰囲気とも比較にならない濃密な空間だったと思います。そんな旧・北京南駅をつぶして、光り輝く高速列車の始発駅に大改造したというのは、まさに北京から多様な人間臭さを消して、無味乾燥でクリスタルな世界を造ろうということでしょうか……。



 もう一つの大きな変化といえば、北京都市圏の急速な拡大と衛星都市群の出現に対応するため、既存の鉄道網を活用した近郊鉄道網の整備が決まったことでしょうか。具体的には、S1~S6線として、西の門頭溝、西北の万里長城・延慶、東北の懐柔、東の平谷、東南の大興 (だっけ?)、西南の房山・周口店へと向かう路線を整備し、既存のボロい緑皮客車による「市郊」列車としてではなく、最新鋭のPP式ディーゼル動車&客車によって運行するというもの。そして、その第1弾として、この8月から北京北駅と万里長城・延慶を結ぶ列車が走り始めました。塗装が高速列車CRH=「和諧号」と同じであることから「和諧長城号」と名付けられたこの列車は (でも車体断面は一般の客車と同じですので全然「和諧号」じゃない……汗)、平地では160km/h、急勾配では45km/hの性能を発揮し、ドデカい車体サイズの列車が1時間~1時間半間隔で運行されるということで……この路線と同じ要領で他の路線の近郊列車も整備されるとすれば、それは恐らく日本・台湾・韓国やヨーロッパの近郊輸送よりも、巨大な車体のPP列車を仕立てたアメリカの近郊輸送に近いものになるのではないかと予想しています。
 まあ、もともと満鉄の遺産に多くを負っている中国国鉄は、満鉄がアメリカの鉄道に範をとっていることから、自ずとアメリカの鉄道に近い雰囲気になって行くのかも知れません。
 それにしてもこれまたショックなのは……この近郊列車のターミナルとしての機能を兼ねるべく2年前の時点で大がかりな再開発が進んでいた北京北駅が、やはり巨大なドームに包まれたかたちの駅となってしまったことです……。駅の東側に広がっていた、草むした機関区&貨物ヤードは、果たして今頃一体どうなっているのでしょうか……。中国に出張する機会も時間も最近ありませんので、直接確認できないもどかしさがありますが、やはり北京南駅と同じく、こういう濃いぃ空間は消される運命にあるのでしょう……。
 昔の北京は、どこに行っても必ず緑生い茂る静かな横町があり、それが異国の旅人をも和ませてきました。そんな雰囲気は、ローカル列車の始発駅と貨物スポットを兼ねた北京北駅にもあふれていたのですが……北京という街がオリンピックの名の下に古き良きものを失っていったのと全く同じ運命を北京北駅もたどっているのかと思うと、やはり複雑な気分です。あるいは、濃いぃ雰囲気が残っていた頃に訪れたことを幸運に思うしかないのでしょうか?

北京懐旧鉄巡礼 (8) 急行「大陸」展望車

2007-02-04 13:43:35 | 中国の鉄道


 昨年8月以来、約半年にわたって断続的にお送りして来ました夏の中国&チベット出張鉄シリーズも、ついに最終回。最初は、瀋陽駅付近で偶然発見した満鉄客車の生き残りのご紹介から始めましたので、最後も満鉄客車の生き残りで締めることにしましょう。既にご存じの方もおられるかと思いますが、満鉄客車の中でも最も有名なものの一つ、テンイネ2型です!
 この客車は、満鉄が最も隆盛を迎え、山海関から南の日本軍占領地での鉄道運営を行う華北交通も設立された1930年代、釜山~北平 (北京) 間の直通列車として走り始めた急行「大陸」用の展望車として、1936年に製造された非常に由緒ある車両です。満鉄最速列車「あじあ」ほどの神々しさはないとしても、25m級の重厚な客車を連ねた最新鋭急行列車の最後尾に連結されたテンイネ2型の存在感は、優雅な曲面ガラスといい、重々しく高級そうな三軸台車といい、それこそとてつもないものだったのではないか……と思います。たとえそれが日本の帝国主義的拡大と切っても切り離せない徒花だったとしても……マイテ49よりもカリスマ性を感じるのは私だけでしょうか?



 そんなテンイネ2型、日本の敗戦と満洲国の崩壊後はもちろん管理権が中華民国→人民共和国に移ったわけですが、他の満鉄車両が長年の酷使を経て1990年前半までにほとんど廃車となった(それでも長寿!)ことと比べますと、やはり非常に高級な車両であったことが幸いしたのでしょうか、共産党・政府高級幹部の視察旅行用車両として転用されて丁寧に扱われて来たようです。そして80年代になると、満洲国をしのぶ日本人慰霊ツアー客を乗せる特別車両としても重宝された模様。RJ誌バックナンバーに載っている中国鉄道ツアーの広告などを見ていますと、「テンイネ2で行く中国東北周遊!」なんていう売り文句があったりします。
 それでも、たび重なるスピードアップや老朽化の結果、VIP客車としての第一線を退いて線路作業員宿舎として用いられるという運命をたどり……最後はここ、中国鉄道博物館の側線に流れついてきたようです。
 ↑の画像を撮影した時点では、ごらんの通り草がからまった荒れよう。しかも、運が悪いと車内にいる作業員の「撮るな!」という怒鳴り声が……という事前情報もあったのですが、何ともラッキーなことに、このとき作業員は不在で、ゆっくりと記録できました (*^^*)。あぁ……流転の車生を終えて、ついに放置の運命か……歴史の波乱を地で生きた車両だったのだなぁ……と思いながら。
 そこでしばらくすると、警備員が後ろから私の肩を叩きました。「ヤバイ!撮影禁止か? 撮った分を全部消せとか言われたらヤだなぁ……」と恐れていたところ、曰く「博物館の閉館時間はとっくに過ぎているから今日はハイおしまい!」とのこと。あぁビビった……(^^;)。そこで、また訪れたときに改めてじっくりと……と思いつつ、403路のバスに乗って宿へ戻ったのでした。

 ですが、前回扱った「専運車」と同様、このテンイネ2も最近ついに博物館内に搬入されました! 他の満鉄SLともども、これから整備のうえ永久に保存されることになりましたので、もうこのような放置シーンを眼にすることは出来なくなっております。
 満鉄・華北交通から中国国鉄へ……波乱の現代史の中を満鉄型客車が走り抜けた鉄路に、今あらためて満鉄技術の正統な継承者である新幹線E2系 (CRH2) が走り始めるというのは何という因果でしょうか。政治の紆余曲折はどうあれ、鉄道車両には罪なし! 中国鉄道博物館に保存されたテンイネ2と、これから活躍を始めるE2系CRH2に幸いあれ!
 というわけで、06年夏の中国&チベット鉄シリーズに長らくおつきあい頂きまして誠にありがとうございました m(_ _)m


北京懐旧鉄巡礼 (7) 放置された専運車

2007-02-03 00:43:21 | 中国の鉄道


 前に少々読後の感想をご紹介した『将軍様の鉄道』では、金正日専用列車のゴツい全体像、そして平壌の金日成廟に保存されている金日成執務車が何枚かの写真とともに紹介されており、鉄道での視察旅行にこだわる金父子の趣味や、如何にも一般人民とはかけ離れたゼイタクぶりが良く分かりました (苦笑)。もっとも、この手のVIP用客車は何も北朝鮮の専売特許というわけではなく、例えば日本にも皇室専用車両があるように、鉄道が国家と結びついている世界のほとんどの国では必ずこの手の車両が存在していると言えるでしょう。面積が九州ほどしかなく、各種の交通手段が発達しているため、それほど在来線鉄道の特別車両による視察にこだわる必要がない台湾ですら、総統専用の客車があるほどです(塗装はキョ光号と同じ色)。
 というわけで、「鉄道とは国家なり」の論理に最も忠実な国のひとつである中国にも、当然この手のVIP車両=共産党&政府高級幹部専用車両 (専運車) が存在しており、大規模な移動の場合には専用編成の出番となり、小単位の移動の場合には定期列車の尻に連結されたりします。
 ただ、日本のお召し列車の運行が官報で告示されるのとは違って (撮ったことはありませんが ^^;)、中共のことですから当然のことながら何時運行されるかも分からず、撮影が見つかれば取り調べの可能性も! (-_-) それでも、昨年夏に中国鉄道博物館を訪れた際、敷地横の留置線にて、そんな専運車を撮り放題!な機会に恵まれました。



 もっとも、撮り放題にはウラがあり……こういう人目に付きやすい所に放置されているということは、事実上もう使用されなくなったことを意味しています。特に、中国国鉄はここ10年少々のあいだに大幹線の最高速度が120km/hから160km/hにスピードアップされたことから、スジに乗り切れなくなった最高速度120km/hの専運車が役目を失って放置されるに至ったようです。分かりにくいかも知れませんが、これらの車両は全て3軸ボギー台車を装備しており、乗り心地は極めて良さそうながらも確かに高速対応は難しそう……。
 特に、1枚目の画像の車両は、見ているだけで「もったいない……」という言葉が浮かびます。この車両は現在も製造が続く25系客車をベースとしており、1990年代に入ってから製造されているはずですが……散々金をかけたのにもう放置とは! (以下略)
 いっぽう2枚目の車両は1960~80年代の作品と思われますが、如何にも分厚そうな車体をナマで見ると、22系客車とは比較にならないほど高級感が感じられます。たぶん東ドイツ製? 
 というわけでこれらの車両、訪れたときは「いつまでこれだけの車両をこの状態で放置するつもりのだろう……」と訝しくて仕方がなかったのですが (^^;)、リンク頂いている「不思議な転轍機」の「はいらーある」さんから頂いた情報によりますと、最近博物館の中へ搬入されたとのこと! 既に中国鉄道博物館内には毛沢東・周恩来執務車があり、車内を見学することも出来ますが、この放置車両が整備されて公開されたあかつきには、どれだけ怪しくデラックスな車内になっているのかをじっくり眺めるのが楽しみです (^^;