goo blog サービス終了のお知らせ 

地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

北京懐旧鉄巡礼 (6) 中国鉄道博物館

2007-01-22 20:28:21 | 中国の鉄道


 昨日は韓国鉄道分断点のミカサを取り上げましたので、戦前の日本製SLつながりと、北京鉄シリーズを兼ねまして、中国鉄道博物館をご紹介しましょう。
 中国鉄道博物館は、動力近代化の大波に洗われた中国の鉄道でここ10数年ほどの間に一気に消えていったSLの中でも特に歴史的な車両と、中国国産EL・DL・客貨車のうち代表的なものを陳列している巨大な施設です。案内によると、その設立目的は「中国の鉄道発展史を回顧することで青少年に科学技術の重要性を知らしめる」ことだとか。そして最大の特徴は、鉄道車両の試験走行を行うために設けられた環状鉄道に隣接しているのを生かし、全ての陳列車両が外界の鉄道網とつながったかたちで並べられていることです! (現在大宮に建設中の鉄道博物館もこのスタイルをとるようで何より ^^)
 そこでいざ入館料20元を払って入館してみますと、すぐ眼前に飛び込んで来るのは2台の最高峰装飾ガマ「毛沢東号」と「朱徳号」! 言うまでもなく、中共が建国当初「革命の二聖人」を記念して極上の整備を加えた車両ですが、元をたどればどちらも満鉄ミカイ!! 両車の案内には「原産国・日本」と表示されています。それにしても他に人が誰もいない……入り口のオバチャン二人も本当にヒマそうで、久し振りに客が来た、と言わんばかりの表情でした (汗)。



 まあそれも恐らく、歴史的な微妙さがあってのことでしょうか。韓国もそうですが、中国の鉄道が抱えている最大の悩みのひとつは、記念碑的な車両を前面に出そうとするほど、忘れたくても忘れられない「日本」の二文字が目立ってしまうこと。そして、鉄道網の拡大を長年自前では出来なかったことと、軍事施設としての位置づけが長らく続いたことが、中国(そして韓国)の鉄道趣味を最近まで未発達にとどめてきた大きな原因だったかと思われます。2枚目の画像の左側のSLも、日本のキューロクを標準軌用にしただけの車両! 右側の「国慶号」は中共政権成立後初の国産SLですが、これも満鉄ミカイの完璧なコピー! そう……現在の中国の鉄道は日本の技術にソ連風、あるいは自前のアレンジ(そして最近では欧米カナダ風もあります)を接ぎ木することによって成り立ってきたわけです。館内をたった一人歩いていると、そういう鉄道史が好むと好まざるとに関係なく分かるようになっています。
 というわけで、余りにも垂涎ものの車両が大量に鎮座しているこの博物館(そして、来る5月に再オープンする瀋陽SL博物館)の来客が増えるのは恐らく、100%中国国産の技術による超メジャーな高速車両が現れて中国が日本に嫉妬する必要がなくなり、かつそんな車両が引退する??年後かと思われます。しかし、そういう車両も未だ存在しない以上、かなり長期的な話になりそうな気もします。
 満鉄の遺産にただただ圧倒され、近代史の複雑さをも感じ取れてしまう中国鉄道博物館、下手な北京観光よりは全然オススメです。但し、北京市北東のとにかくマイナーな一隅にありますので、タクシーの運ちゃんも知らない可能性があります。ご用心、ご用心……。北京駅東側にあるバス発着所から「403路」のバスに乗り(北京駅真正面の通りにもバス停がありますが、ここは始発ではないので座れず、下手をすると約1時間立ちんぼです -_-;)、終点下車徒歩10分、というのが一番安くて分かりやすいアプローチです (^^ 

北京懐旧鉄巡礼 (5) 激変する北京北駅

2007-01-14 10:01:33 | 中国の鉄道


 北京のかつての城壁の西北端に位置し、これまでは古き良き中国の鉄道駅らしさを炸裂させていた北京北駅。特に、草蒸したヤードの絶品さにつきましては前回ご紹介した通りです。しかし……昨年夏の訪問では同時に、そのような雰囲気を楽しめるのも最早時間の問題なのではないか……と思わずにはいられませんでした。と申しますのも、一昨年の訪問時に進められていた、駅の敷地の西半分を全て更地にしての大改造プロジェクトが、昨年夏の時点では既に完成しており、何と、合計7面13線の巨大な駅が新たに出現していたからです! (北京城鉄13号線の高架線上をゆく電車の窓からパッと見たときに数えたものですので、数字が前後しているかも ^^;) しかも、ホームの高さは全て伝統の地平レベルではなく、来る4月のダイヤ改正でE2系 (CRH2) などの高速車両が走り始めるのに備えてホームのかさ上げが実施された大幹線の主要駅などと同様、車両の床面と同じレベルにかさ上げされていました……。まさかこの駅には高速車両が乗り入れてくるはずはありませんが、来る北京五輪をはじめ今後ますます増加する輸送需要に備えて駅の機能を強化し、出来れば北京駅発着の東北・内モンゴル方面の列車を北駅発着に移転させることによって、北京駅そのものの容量を空けようということなのでしょう。



 こうして、背景の高層ビル群はおろか、駅そのものの姿までも大きく変わりつつある北京北駅を、ちょうど万里長城方面へ向かうダークグリーンの鈍行列車が発車して行きました。その組み合わせは一見ありふれた中国の都市の風景ではありますが、恐らくそれほど長続きしない光景だろう……と思えるのも事実。何故なら、今後発着する列車の本数が増えれば、余っている線路上でのんびりとカメラを構えるなどという芸当 (^^; →前回に記しましたとおり、一応一声かけてます) は出来ないでしょうし、肝心のダークグリーンのボロ客車、もといコルゲートたっぷりの愛すべき(?!) 計画経済風客車 (22系客車) も急速に減りつつあるからです (-_-)。
 もちろん、製造両数は非常に多いので、地方の急行・鈍行クラスの列車を中心に、今後10~15年以上にわたってまだまだそのチープな姿を楽しむ(そして、乗って苦痛を味わう ^^;)ことも出来るでしょうが、現在のところ急速な勢いでアコモ改造が進められつつあり、重くて開かない二重窓を、サッと開け閉め可能な二段窓に改めるなど (しかし隙間風が完全には解消しないのがチャイニーズ・クオリティ -_-;)、1980~90年代に中国を貧乏旅行した方であれば誰もが親しんだ (?!) であろう原型は失われつつあります……。
 加えて、そもそも華北の北端部や東北・内モンゴルへ向かう地味な列車が出入りしていたため、車体のダークグリーン率が高かった北京北駅も、ここに来て多くの列車で冷房化 (→車体は白ベースにオレンジの濃淡) が進行……。というわけで、編成全体がダークグリーンな列車や、ヤードにポツンと置かれた原型のYZ22型を目撃しようものなら、それだけでもじゅうぶん愛惜に値する「老北京」の光景だということになります……。

北京懐旧鉄巡礼 (4) 朝8時の北京北駅

2007-01-08 00:02:13 | 中国の鉄道


 北京の首都鋼鉄専用線からさらに東へ移動しまして、今度は05年秋にもご紹介しました北京北駅への再訪の記録です! 地下鉄1号線 (環状線) と13号線の乗換駅である西直門駅の周辺は、近郊へ向かうバスの巨大ターミナルがあるだけでなく、近年再開発の波が押し寄せて高層建築が立ち並びつつある界隈となっていますが、その片隅にて、まるで時間が止まったエアポケットのように広がっているのが北京北駅。特に、駅東側にある貨車や機関車が佇むヤードは、夏ともなればこんもりとした木々に囲まれて青草が生い茂るDeeeepな空間となります。05年9月に見たそんな光景が忘れられず、昨年夏の訪問時も北京市内北西部 (海澱区の文教・ITエリア) へ用務に向かうついでに北京北駅に寄り道してみたところ……やはりここは訪れる者を裏切らない! 今回は模範的共産党員が乗務すると思われる装飾ガマ「先鋒号」が鎮座していました! (*^^*)



 そこで、ヤードの片隅に立っている掘っ立て小屋、もとい信号扱所に向かい、赤緑の旗を片手に持った掛員のおじさんに念のため「奥に停まっているあの機関車を撮りに行っても良いでしょうか?」と訊いてみたところ……何と答えは「随便拍!没有人管! (どんどん自由に撮っちゃいな! 誰も気にしたり文句を言ったりしないさ!)」という、如何にもテキトーな国・中国らしいおおらかなお言葉! (^o^)
 というわけで「うひょ~これまた何とも言えない鎌とハンマー! アナクロだよな~」と思いつつ、装飾ガマを激写していたところ、やがて詰め所からわらわらと出て来た運転手氏がヤード内の複数の機関車に乗り込み、計5両の機関車 (しかも全部ダークグリーン ^o^) が入換を行って驚異の5重連となりました!! (@o@) 
 北京北駅に出入りするDLは基本的に郊外の懐柔にある機関区に所属しており、長距離列車を牽引して北京に戻ってきた東風4型 (奥の4両) や、前日に北京北駅周辺での入換に従事した東方紅5型 (手前の1両) は、こうしてまとめて懐柔に戻って行くようで……やがてホイッスルを上げて、何とも重々しい編成が緑濃きヤードを後にして行きました。
 う~ん、これだから午前8時台の北京北駅はやめられません (^_^)。ただ、次に訪れる際には、別の場所でこの5重連を記録してみたいと思っています。あと、今回の私の場合は構内撮影オーケーでしたが、訪問は訪れる方の個人の責任で、線路に入る際には自発的に許可を得るようにお願いします。

北京懐旧鉄巡礼 (3) 首都鋼鉄公司のSL

2006-12-06 20:41:51 | 中国の鉄道


 北京西郊のローカル線・京門線からはじめた北京の濃いぃスポット巡り、徐々に東に向かって行くことにしましょう。
 そこで次にご紹介したいのが、北京市内で見られる最後のSLのひとつとなった、首都鋼鉄公司の入換用として用いられている上游型 (SY) SLです! 首都鋼鉄公司は北京市街の西部・石景山区に巨大なコンビナートを構えており、CNR豊沙線の石景山・三家店駅から数多くの引込線を延ばしていますが、既にその大部分はDL化され、かつ工場の大部分は北京五輪を控えて移転予定とか (大気汚染対策)。僅かに大型変圧器を製作する工場の引込線にのみSLが生き残っています。恐らく扱う貨物の性質上、運行回数が少ないことから、今あるSLを使えるだけ使おうということなのでしょう。
 私がこの引込線の存在を知ったのは、たまにお邪魔している「中国鉄道倶楽部」の掲示板で今年の初夏頃掲載された情報でした。そこで、夏の中国長期出張の際には絶対に行くぞ!と心に決めて実行に移した次第 (^_^)。いつ運行されるか正確な時間は分からないため、とりあえず朝5時に起床して地下鉄とバスを乗り継ぎ、さらに草蒸した引込線を奥へ奥へとかきわけて行ったところ……何と、ちょうど車庫の方から上游が煙を上げてゆっくりと迫ってくるではありませんか! (*^O^*) そして300~400mほど動いて停止し、約20~25分間ほど、毎朝のお勤めと思しき整備作業に入りました。目の前で猛烈なブローオフを繰り返したりするなど (↑の画像)、こんな光景を独占して良いのか?と思うほどの大サービスぶり! v(^_^)v



 余りにも素晴らしい光景にすっかりノリノリになってしまった私は、たまたま機関士氏と目が合ったので「早上好!師傅!」(マスター、おはようございます!) と大声で挨拶したところ、機関士氏も二カッと笑顔で応えて下さったので会話タ~イム! 「どっから来たんだい?」「日本の東京です!」「日本人か~~熱烈歓迎さ!!」(反日オヤジでなくて良かった……)「ありがとうございます!中国の火車を熱愛しているんですよ! 聞いたところではここが北京でも最後の蒸気機関車だそうで、是非一度と思って!」「おぉ、そうかい! しかしまぁ……何とも不思議なのは、最近になって突然ここにやって来る愛好家が現れ出したってことさ。でもって、その何人かの愛好家は全員日本人だってことさ! ハハハ……」
 どうやら、ここを訪れるのは「中国鉄道倶楽部」で情報を仕入れ、かつ自分で中国の交通機関を難なく使いこなしてたどりつくことが出来る、濃いぃ日本人中国鉄だけのようです (^^;
 その後、上游はゆっくりと給水塔の位置まで進み、給水を行って火を落としてしまいました。どうやら今日の入換 (石景山駅までの往復) はなかったようです。そこで、特に運転室に部外者が入っても問題はなくなったということで、何と運転席に入らせて頂くという御好意まで受けてしまいました (^o^)。う~~ん、まさか現役のSLの運転席に入るという体験を一生に一度も得られるとは思っていなかったので、これは大感激! あまたの計器やパイプがひしめく、まだ熱が残るキャブの雰囲気を味わいながら、SLが生き物である所以をビンビンに感じたのでした……。
 というわけで、引込線関係者の皆様、ならびに「中国鉄道倶楽部」掲示板の皆様にはこの場を借りて厚くお礼申し上げます m(_ _)m なお、ここはあくまで工場用地ですので、訪問される方は個人の責任でお願い致します。私と同じようなシーンを目撃できない、あるいは状況が変わって排除されたとしても、当ブログとしましては責任を負いかねます。場所が場所ですので、何かの場合を考慮すれば、中国語の能力は必須かも知れません。

北京懐旧鉄巡礼 (2) 東風7型「共青団号」

2006-11-28 20:19:57 | 中国の鉄道


 北京郊外の山中を走る炭鉱鉄道「京門線」の、絶滅に瀕したローカル旅客列車を撮影した後は、最大の中間駅である門頭溝駅に戻り、石炭列車が構内で入換を行う様子を撮影しました。門頭溝駅は、かつてここも石炭の積み出し駅だったこともあって、長いヤードを持つスイッチバック式の駅となっており、終点付近から石炭を満載して来た列車も、これから山中深く分け入る空車も、ここで必ず機関車を付け替える必要が生じます。
 駅のホームに立つと、ちょうど豊沙線との接続駅である三家店 (永定河を挟んで門頭溝の対岸) から空車を連ねた列車が到着しましたが、何と50~60車も連結されているという超長大編成! しかしこのままでは、ここから先の有効長が短い交換駅に入線できませんので、編成を分割し、二本の列車を仕立ててヤマに向かうことになります。この日、そんな超長大編成を牽引して来たのが、京門線担当東風7型のスター「共青団号」! 



 この「共青団号」は別に列車名というわけではなく、中国共産党の下部組織である「共産主義青年団」の団員が乗務する模範的な機関車に付けられた称号で、中国ではだいたいどんな鉄道・国営バス路線でも、この手のネーミングを冠した機関車が、それこそ派手な装飾を施して走っております。まあ要するに、すっかり市場経済の国になってしまった中、共産党は辛うじてそういうところで権威をひけらかしているわけですが (苦笑)、京門線は所詮地味~な路線ということで、装飾も運転台の脇に控えめなものがくっついているだけ (^^; 1枚目の画像の右上に拡大画像を重ねてみました)。
 別に私は中国共産党政権にこれといった好意も何も持っていませんが、取りあえず中国の鉄道はどこに行っても同じような車両が走っていることが多いため (まあ日本の国鉄時代もそうでしたね……^^;)、こんな機関車が来れば取りあえず「当たり」と思い、かつ怪しいアナクロさが漂う装飾にニヤニヤするのが、中国の鉄道をほどほどテキトーに楽しむ上でのコツではないか、と思っております (^^;;)。
 ちなみに、下の画像は門頭溝駅構内での東風7型の並びですが、同じ東風7型でもエンドの違いによりかなり雰囲気が変わることがお分かり頂けると思います (日本のDE10もそうですが ^^;)。