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ジャズ批評とジャズ喫茶について

2022-01-14 20:21:34 | JAZZ
 私の手元にある「ジャズ批評」の最も古いもので、1969年の第6号です。

 この冊子、実はジャズ批評の発行人であった松坂比呂さん(故人)からいただいたものです。

 いただいたのは、確か1971年頃だったと思います。当時私は福島市に住み、地元の大学に通っていました。大学3年生の夏休み、友人のTに誘われて大学近くの喫茶店でアルバイトをしました。

 その喫茶店が、カフェ・パスタン。当時は普通の喫茶店で、コーヒーの淹れ方や簡単なカクテルなどの作り方を教えていただいてボーイをしました。オーナーは、ジャズ界では知る人ぞ知る松坂敏子さん(故人)でした。(以後ママと言います)

 ある日、「畠さん ジャズが好きなんですってね。こんど何かジャズのレコード聞かせて」と言われて、持参したのがチャールスミンガスの「直立猿人」ともう一枚のLP(もう一枚の方は忘れてしまいました)です。



 ママは自分のビル、メゾン・ド・ミヌールの4階でオーダー専門の「あゆみ」という洋装店も経営されていて、そこにあった古いステレオで持参したレコードをかけました。

 その後、ママの義妹が以前銀座でジャズ喫茶オレオを経営されていたこと、今はジャズ批評というジャズ雑誌を発行しいることなど知ることになりました。松坂比呂さんが福島市においでになった時にジャズ批評のバックナンバーを何冊かいただき、その中の一冊が写真のものです。

 アルバイトを終えた後は、今度は客としてパスタンに通うようになりました。そんなある日、「福島ではジャズの生演奏がなかなか聞けないんだよね」と愚痴をこぼしたことがありました。しばらくして、ママから「渡辺貞夫のコンサートやるよ」と言われ、びっくり。たぶん松坂比呂さんのお世話もあって実現できた話だと思いますが、当時個人がジャズのコンサートを開くということは画期的なことだったと思います。

 パスタンに集まっていたジャズ好きの客(当然私も)が協力して、福島県文化センターの小ホールで渡辺貞夫のコンサートを開かれました。昭和48年(1973年)のことだったと思います。ステージの袖で聞いた生演奏を今でも思い出します。パーソネルは、アルトサックス渡辺貞夫、トロンボーン向井滋春、ギター増尾好秋、ドラムスつのだひろ、ピアノ板橋文夫、ベースは忘れてしまいした。
 
 その後、パスタン主催のジャズコンサートが次々に行われ、山下洋輔トリオなど当時のそうそうたるジャズマンが福島市にやってきて演奏しました。

 昭和50年(1975年)、私は仕事の関係で福島市を離れることになました。そのころパスタンは、メゾン・ド・ミヌールのすぐそばの一戸建ての建物に移ることになり、ママからどんなオーディオ装置をいれたらよいかと相談を受けました。当時の私は真空管アンプを自作するなどオーディオマニアだったからです。

 ジャズ喫茶としての開店ですから、スピーカーは何といってもJBLです。3wayスピーカーとして、
ウーハーは、2220+ショーホーン4560
スコーカーは、ドライバ2440+ホーン2350+2328
ツイーターは、2405
という提案をしました。

 しばらくして、ジャズ喫茶パスタンが開店しました。店内は黒く塗られ落ち着いた大人の雰囲気でした。そして正面には私が提案したスピーカーシステムが鎮座していました。

 スピーカー以外の装置は、当時福島市にあったオーディオ専門店のアドバイスで購入されたようです。カートリッジはオルトフォン、アンプはパイオニア製で、プリアンプがC3メインアンプがM3でした。このシステムで出てきた音は、クリアでボーカルもしっとりしているオールラウンドという感じでした。
ボリュームを上げるとしっかりと迫力のある音がしていたと思います。

 ジャズ喫茶と言えば、オーディオが命。全国のジャズ喫茶が当時どんなオーディオシステムを使っていたかは、ジャズ批評別冊の1976年発行「ジャズ日本列島」51年版に掲載されています。今となれば貴重な資料です。


 当時、私が良く行った福島市のジャズ喫茶(ここではジャズをかけている喫茶店という意味で)は、駅前の「ほっとはうす」、国道4号沿いの「パスタン」、文化通りの「ジェスパ」、競馬場近くの「不思議の国のアリス」など。そう言えば郡山市のA&Sにも時々行ったな・・・とにかく全国津々浦々にジャズ喫茶ありでした。


 ジャズ喫茶は、日本固有の文化と言われいます。あれから半世紀を経ていろいろなものが移り変わっていく中、まだしぶとく生き残っているところがあるようです。その中でジャズ喫茶の聖地とも言われるのが岩手県一関市の「ベイシー」。コロナ禍の現在休業中のようですが、一昨年ベイシーのドキュメンタリー映画が公開されています。(私は見ていませんが)。ジャズ喫茶、残ってほしい文化ですね。

 そして、「ジャズ批評」も生き残っていますね。スイングジャーナルなど多くのジャズ雑誌が廃刊になる中、しぶとく生き残っていることに拍手を送りたいと思います。