--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

OKルート

2006-09-25 | 南極だより・野外オペ
熱を測ると100°Fを超えています。
あ、この体温計は華氏体温計です。
数年前、渡井さんがアメリカに学会に行くときに買ってきてとお願いしたものです。
なじみがないですが、摂氏でいうと38℃を超えているのです。
「100」という数字に喜びを覚えるというのは、小さい頃からの刷り込みなのか、体温計で100°Fを超えてもなんだか嬉しいという気持ちになってしまうのは不思議です。

#上は華氏体温計、下は摂氏体温計
この頃はまだ写真を撮る余裕がありました。
<この日のことを振り返りながら10/16に書いています:み・くり>
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アザラシをみました。このところ、あちこちで見かけるのでだんだん珍しくなくなってきました。これから氷が緩んでクラックがたくさんできるようになると、さらにたくさんみることができるようです。
み・くりさんの風邪はまだ治らないようですね。
それでは渡井から南極だよりを先にお届けします。(渡井)
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2006年9月24日(日)晴れのち曇り OKルート

海底堆積物掘削プロジェクト支援のためOKルート終端まで行ってきた。
最近野外活動が活発化するにつれ人手不足であるため、力になれそうなときは極力支援に回るように隊全体で申し合わせているのだ。

本日の目的地はOKルートの終端部付近。
リッツォホルム湾の中央部に近いところにある。
OKルートはオングルカルベン島から北西に伸びるルートであるので、このような名前がつけられている。

昭和基地からは片道3時間。距離にして36-37kmほど離れたところだ。
海底堆積物掘削プロジェクトでは、このところここで作業しているのである。
目的地には作業用の橇が数台デポしてあった。
海氷上で宿泊することは危険なので、毎日基地から通っているのである。
ただ通勤には荷物が少ない方が良いので、可能なものはデポしてあるのだ。

生憎本日の作業は海底堆積物掘削橇(=オレンジ橇)の運搬とワイヤーの撤収だけであったので、作業自体はみることができなかったのは残念だ。

ここまでのルートは平らな海氷原の中をまっすぐに進む。
オングルカルベンからは途中2度ほど進路を左にとるが、2回曲がるだけで目的地についてしまうのだ。
テーブル氷山が左右に続き、S17あたりの内陸の風景とは全く異なる。
大陸上の方が氷山などの障害物がないのに、OKルートの海氷原上の方が開放的な雰囲気を感じるのは何故だろうか?


#デポしてある橇たち

#海底堆積物掘削橇

-----9月24日本日の作業など-----
・海底堆積物掘削プロジェクト支援
・炭素同位体比標準試料二酸化炭素精製
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック

<日の出日の入>
日の出  6:00
日の入  18:30
<気象情報>
平均気温-12.1℃
最高気温-9.9℃(0036) 最低気温-14.9℃(2209)
平均風速4.1m/s
最大平均風速8.8m/s風向NE(2350) 最大瞬間風速12.7m/s風向ENE(2328)
日照時間 6.3時間

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長距離の日帰り通勤だったこのOKルートの掘削オペレーション。
朝早くから、夕食が終わってから帰ってくるという、通勤だけでも大変な作業だったようなのです。
(ただし、渡井さんの行った今回は撤収作業だけだったので、早い帰還だったよう)


ルートはおおよそこんな感じらしいですが、自分で描いてみても、どの辺りまでなのかよく分からないのです。
リュッツォホルム湾全体の地図から起こさないといけないみたいです。
ということで、全体像を起こしてみました。

焦っていたので、ちょっと上が詰まり気味なのは笑って許してください。
オングルカルベンは、アデリーペンギンの営巣地になるところだそうで、これからの季節に帰ってくるペンギンたちの観測のためにそちらを経由したのでしょうか。
片道3時間というのですから、長いですよね。
ルートを南にのばしてみると、ラングホブデとスカーレンの間にあるスカルブスネスあたりまで行ってしまいそうです。
普通なら泊まりの距離なのでしょうね。
雪上車で行けるのだから、リュッツォホルム湾の真ん中当たりまでずっと氷が張っているということなのですよね。
氷が割れたら流されてしまうこともあるわけで、宿泊ができないというのも分かります。
片道3時間もかけてどんなことをしているのか?というのは、私も興味津々なのですが、さわがきさんのブログKaki-Blogには、動画も出ていて興味深いです(記事がたくさんあるので、ページを指定していません)。

出動前の橇たちは、昭和基地前に並んでいました。
今はどの辺りに・・と思ったら、昭和基地前に戻ってきていました。

次はどこへ掘削に出かけるのでしょうね。
<この記事は10/16に書いています:み・くり>

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