--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

とっつき岬車両整備(1)オイル交換

2006-09-16 | 南極だより・野外オペ
<9月17日にアップしています>
昨日は、スリランカ料理を食べてお腹いっぱいになり、いつどうしたのか気付いたら朝でした。
そんなわけで、アップが遅くなってゴメンナサイ。
それでは、渡井さんからの南極だよりです。
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2006年9月12日(火)晴れ とっつき岬車両整備(1)オイル交換

夏にS17で使用する雪上車の整備をとっつき岬で行うために、3泊4日でとっつき岬に出かけた。

本日の作業はオイル交換だ。
作業内容自体はオイルを抜いて、フィルター交換をして、新しいオイルを入れることで、自分が普段行っていることと全く同じだ。

が、なにせ11トンもある雪上車のこと。
オイルの種類や入れる量が桁違いなのでなんにするにも手間がかかるのだ。

入れるオイルは3種類。
エンジンオイル、トルコンオイル、ギアオイルだ。
エンジンオイルはピストンの潤滑に必要なもの。
トルコンオイルは変速機部分、ギアオイルはディファレンシャル部分だ。
これらはそれぞれ成分も違ければ粘性も異なる。
ギア油などな低温で粘性が高くなっているので、あらかじめホットガンで暖めて軟らかくしておかないとならないくらいだ。
一方、トルコンオイルはさらさらしていてなんなく置換できる。

ギアオイルのねっとり感を一度見てしまうと、慣らし運転の必要性が実感できる。
あの硬いオイルのまま普通に走ったら、ギアにオイルが行き渡らなく焼きつきを起こして破損したり、オイルが逆に抵抗になって歯車を欠損させてしまうのではないだろうか?

入れる量も半端でない。
オイルは20L入りのペール缶に入っているのだが、エンジンオイルは50Lほど、トルコンオイルやギアオイルは40Lほども入るのだ。


#トルコンオイルを入れる

#ギアオイルの入れ口 
車両後部にあるデファレンシャルの上にある


#オイルを暖める

#オイルを抜く

#SM100の下側にもぐりこむ

-----9月12日本日の作業など-----
・とっつき岬車両整備
 SM112, SM108 エンジン・トルコン・ギアオイル交換
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック

<日の出日の入>
日の出  6:53
日の入  17:45
<気象情報>
平均気温-31.1℃
最高気温-29.2℃(1348) 最低気温-33.6℃(2134)
平均風速2.3m/s
最大平均風速4.8m/s風向S(2130) 最大瞬間風速5.4m/s風向S(2155)
日照時間 10.3時間

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しばらく前に、SM100の立ち上げをしてみたいと言っていたけれど、今回は念願の(かどうか分かりませんが)車両整備に関わることができたのですね。
たぶん、車両の整備は渡井さんとしてはかなり好きな分野だと思うのです。
4輪自動車の整備はしたことがあるかどうか分からないですが、バイクの整備はいつもしているという印象。
車検も自分で通しているみたいだし、モンゴルのラリーに行ったときも日本では走れない仕様に
おかげさまで?私もエンジンのシリンダを磨かせてもらい、それを取り付ける作業をさせてもらうという、珍しい経験ができたのでした。
ということで「作業内容自体はオイルを抜いて、フィルター交換をして、新しいオイルを入れることで、自分が普段行っていることと全く同じだ。」という一文は、バイクの整備のことだと思います。
で、SM100の整備は・・
バイクの整備もよく分からないのに、SM100の整備のイメージは全くつかないのでした。
しかし、あの大きさ(南極展でSM100を見ることができたのは大いに役立っているようです)の車両ですから、オイルの量も半端ではない、というのは想像がつきます。
しかもこの日の平均気温は-31.1℃。
昔、某オイル会社のCMで「バナナで釘が打てる」というのがありました。
あれは確か「-40℃では・・」といっていたと思うのですが、ほとんどそれに近い気温(いや、日本から見ればですが)で行っているのですよね。
今まで軽油についてはウィンター軽油(W軽油)など、極地で使用するためのものを持って行っているのは知っていましたが、エンジン・トルコン・ギアオイルなども当然、寒冷地いえ、極地仕様のものなのですよね?
人間にもオイルにも厳しい条件下での作業だったことでしょう。
お疲れ様でした。

そうそう、慣らし運転は、昭和基地WEBカメラ リアルタイム画像でも見ることができます。




#行ったり来たり、数十分続いています

#雪上車が出かけた後は行ったり来たりしたあとがくっきり
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雪上車運転講習
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