ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

The Duke's Proposal

2007年07月14日 | L
Leslie LaFoy. 2007. The Duke's Proposal. St.Martin's Paperbacks.

Turnbridge3姉妹トリロジーの最終回。
この3作目はあらすじが良かったので手に入れましたが、1作目の"
Her Scandalous Marriage"でやめておけば良かった…。
アマゾンで高評価を残している人はWallpaperでOKという読者達でしょうか。

Story:    
Dialogue:    
Hero:         
Heroine:     
Sensuality:  

ヒロインLady Fiona Turnbridgeは1作目で選択性無言症だったような子です。
ブロンドで翡翠のような目が印象的な美しいレディーに成長していました。
捨て猫や捨て犬など、怪我をしているとなおさら放っておけない性格で、実は地道に医学も勉強しているのでかなりの知識も持っています。

ある晩、行方不明になっていた飼い猫をやっとの思いで見つけると大怪我をしていました。
一人では治せないので、元軍医でもあるDunsford公爵の家を訪ねます。
そしてFionaは嫌がるDunsfordを銃で脅してまでして猫の手術をするよう懇願。

手術はうまく行きましたが、一晩2人っきりで過ごしたことが次の朝にはバレてしまい、二人は婚約することに。

FionaはDunsfordに少し憧れてはいましたが、いざ婚約してみるとお人形としてしか扱ってくれないDunsfordと本当に幸せになれるのかと自信がなくなります。

Dunsfordは、知らず知らずのうちにFionaなしではやっていけなくなるのですが、まだまだ自分勝手…。

     

LaFoyになんでヒストリカルを書くの?と聞いてみたいです。
1作目でもそうなんですけど、登場人物にその時代の服を着せてあるだけ。
言葉遣いはNYの下町?みたいな感じだし、その時代背景を活かした部分がほとんどないんです。
一晩一緒に過ごしたのが見つかったから結婚…、という部分だけヒストリカル。

でも、このかっこいいドクターをヒーローにしたお話が書きたいのなら、コンテンポラリーでもなんとでもなったはず。
実際、お話の中ではヒロインはDunsfordを公爵としてではなくて、ドクターとして考えているんです。

あと、アマゾンでは鋭いユーモアがいいとか書かれていますが、そのユーモアさえもヒストリカルじゃありません。"buy a vowel/consonant"とかなんとかそんな表現を使ったジョークがあったのですが、これって、"Wheel of Fortune"っていう現代の米国のクイズ番組のせいでよく使われるようになったんぢゃ…?
他のジョークも一見おもしろいなって思うんです。会話も軽快な部分もあるのでそれで楽しめた読者もいたんでしょうね。
でも上に挙げた例のように、ヒストリカルの雰囲気は伝わってこないユーモアなので、この作者はコンテンポラリーのラブコメを書いたほうがいいでしょう。

ヒーローはあんまり学習能力のない自分勝手な人なので、全く魅力は感じません。
ヒロインはやさしくて完璧。
・・・完璧すぎ。
それにヒーローのどこに惚れたのかもよく分かりませんでした。

前半はとにかくWallpaperの部分が目に付くし、H/Hのロマンスもおもしろくなくて、飛行機の中で読んだのですが「なんでこれを持ってきたんだ」と自分に腹が立ちました。
が、後半は少し挽回してヒーローが改善し始めたので、読み終わることができ、ハートマークも2個となりました。

あと、ロマンス小説お約束のアツアツラブシーンはほとんどありません。


私はLaFoyはしばらく避けます。


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2 コメント

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Unknown (monaka)
2007-07-16 21:48:53
kさん、こんばんは

元軍医で公爵ですか。
ずいぶん大胆な設定ですね。
でも、ちょっと興味あるかも。(いや買わないとは思いますが)

というのもちょうど「近代外科医学の父」といわれるジョン・ハンターの伝記『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』(ウェンディ・ムーア著 河出書房新社刊)を読んだばかりだったので。
ハンターという稀代の傑物の魅力もさることながら、18世紀の医療事情もよくわかって、目からウロコの1冊でした。

個人的には、結石除去の手術法が書かれていたのがうれしかったです。(ピープスがこれを受けているので)
丸焼きチキンのように手足を括られ、会陰部からメスをいれたそうで、彼はテニスボール大の石が取れたとか。もちろん麻酔も消毒薬もなしです。
これで全快するのは大変な運と生命力が必要ですね。

それと昔は、性病の治療に「生きたまま毛をむしったひよこを局所にあてる」というのがあったとか。(想像するとおかしくて)
18世紀後半には、さすがにこんな治療は時代遅れになり、もっぱら水銀が使われたそうです。(それって毒ですよね)

読み物としても、とても面白い本です。おすすめです。(多分、図書館でも購入するのでは)

これからヒストリカルで医療の場面がでてきたら、目がキラ~んと光るかも(笑
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こんばんは (K)
2007-07-17 20:14:42
コメントの公開が遅れて申し訳ないです。


私もこの軍医で公爵という設定にかなり惹かれたんですけど、結局このお話は「ワタシのかっこいいドクター」という響きを楽しみたいだけみたいです。
医療現場とか当時の奇怪(笑)な医学とかは全く…^^;

私はこの時代の『医学』、超怖いんですけど!?
毛をむしったヒヨコ…

考古学や科学に詳しい友人からも当時の解剖のことをちょこっと教えてもらった時があったんですよ。彼ははおもしろおかしそうだったけど、私は笑えなかった・・・

メディカル・リージェンシーとでも呼びましょうか
monakaさんの好みに合うようなものが出てくるといいですね
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