ごはんのおとも」として、最も手軽に楽しめるふりかけ。
昭和・平成・令和と時代が進んでも、日本の生活者に愛され続け、現在の市場規模は約500億円。各メーカーの商品開発や購買につながる訴求も功を奏し、市場は平成初期に比べて約100億円拡大したといわれる。
【写真やランキング】「のりたま」を分解してみると?
ふりかけの売れ筋商品ランキングなどにも注目だ そのふりかけ市場で、首位ブランドとして君臨するのが丸美屋食品工業の「のりたま」だ。
さまざまな調査データでも、長年にわたりナンバーワンの座を譲らない。いわば「絶対王者」といえる存在。発売されたのは1960(昭和35)年なので、今年60周年を迎えた。
昭和35年といえば、戦後の高度経済成長期の真っただ中で、一般庶民の生活も急激に変わっていったが、まだまだ現在とは生活様式が異なっていた時代だ。 なぜ時代が移り変わっても、強いブランドであり続けるのか。
現在の「のりたま」担当者に話を聞き、メーカーのこだわりや人気の秘密を探ってみた。
■家庭では3~5種類のふりかけを常備 「今年、多くの人がリモートワークとなり在宅時間が増えたのは、ふりかけには追い風でした。家で食事をすることが多く、ふりかけに手を伸ばす機会も増えたからです」
丸美屋食品工業の伊藤梓さん(マーケティング部 ふりかけチーム係長)は、こう説明する。2005年に入社して以来、商品開発を経てマーケティング担当となった。
「多くの家庭では3~5種類ぐらいのふりかけを常備しています。食器棚の中や食卓テーブルのカゴに入れて、そのときの気分で好きな商品を使われる方が多いですね。在宅で食事を用意する機会が増える中、ふりかけは、おかず1品の代わりにも使われています」
その中で、最も利用されるのが「のりたま」なのだ。現在、工場では1日に約10万5000袋が製造されている。なぜ、これほど人気なのか。
「日本人が大好きな“のり”と“たまご”を中心に素材の風味とバランスを高めてきました。もともと旅館の朝ごはんに出た2品にヒントを得て生まれた商品で、多くの人に好まれる味です。どのお米にも合うのも強みで、もちもちでも硬めのごはんでもおいしいです。
『子どもの頃にお母さんが作ってくれたお弁当に入っていた』と話す消費者の方も多いですね。味に加えて、こうした郷愁も人気を後押ししていると思います」
下記のランキングでは上位5位までを紹介したが、トップ10には「のりたまN.P」と呼ばれる小袋(N.P=ニューパック。内容量28g)も入っている。
以下はリンクで
丸美屋 沿革
1927年(昭和2年) | 丸美屋食料品研究所「是はうまい」を発売 | |
1945年(昭和20年) | 東京大空襲により丸美屋食料品研究所は解散 | |
1951年(昭和26年) | 4月 | 丸美屋食品工業株式会社創立 |
1954年(昭和29年) | 4月 | 大阪連絡所を開設 |
1956年(昭和31年) | 11月 | 名古屋連絡所を開設 |
1960年(昭和35年) | 1月 | 「のりたま」を発売 |
1961年(昭和36年) | 2月 | 仙台出張所を開設 |
4月 | 杉並区大宮前に本社、東京工場を竣工 | |
1963年(昭和38年) | 8月 | 「すきやき」を発売 |
11月 | 埼玉工場新設、製造部門を移転 | |
1964年(昭和39年) | 2月 | エイトマンシールを封入した「のりたま」「すきやき」が大ヒット |
1965年(昭和40年) | 3月 | 「スーパージェッターふりかけ」を発売、キャラクター商品市場に参入 |
1966年(昭和41年) | 8月 | 三井物産株式会社が総発売元になる 東京支店を開設 札幌・福岡に出張所を開設 新潟・金沢・広島・高松に連絡所を開設 |
11月 | 本社を杉並区西高井戸に移転 | |
1968年(昭和43年) | 5月 | 「3色パック」を発売 |
1969年(昭和44年) | 3月 | 「味道楽」を発売 |
1970年(昭和45年) | 8月 | 「とり釜めしの素」を発売、レトルト食品市場に参入 |
1971年(昭和46年) | 6月 | 「麻婆豆腐の素」を発売 |
1976年(昭和51年) | 2月 | 「ロボコンふりかけ」を発売 |
1978年(昭和53年) | 3月 | 横浜・千葉・宇都宮・静岡に出張所を開設 |
1979年(昭和54年) | 11月 | 株式会社丸美屋フーズを設立 |
1982年(昭和57年) | 10月 | 本社を杉並区松庵に移転 |
1984年(昭和59年) | 12月 | 鹿児島事務所を開設 |
1987年(昭和62年) | 3月 | おすすめ中華「棒々鶏」を発売 |
1988年(昭和63年) | 2月 | 「ビックリマンカレー」を発売、レトルトカレー市場に参入 |
8月 | 「混ぜ込みわかめ」を発売 | |
12月 | 埼玉配送センターを新設 | |
1989年(平成元年) | 2月 | 大宮出張所を開設 |
7月 | 長野営業所を開設 | |
9月 | 「うまいどんぶり!」を発売 | |
12月 以下略 | 埼玉工場内に第二研究棟を新設 |