机の脇に置いてあった読了した本の表紙を見た女房殿が言う。
「あら、めずらしいね、こんな本を読むなんて」
「この夫婦、“なつぞら”のモデルやって」
「へ〜モデルがあったがや」
「そうぜ、知らんかったが?」
「知っちょったけど」
「どないやねん」
『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』(小田部羊一、聞き手藤田健次)を読んだ。毎日、はムリだが、録画しておいたものをこれまで一話も欠かさず観てきたNHK朝の連続ドラマ『なつぞら』。それがなければ、100パーセント手に取ることがなかった本だ(そもそも、それがなければこの本自体が出版されていないのだろうが)。常日ごろは、やれ天邪鬼だの捻くれ者だのと自称しているくせに、ミーハーなことこの上ない。
だが、まあよいではないか。
そんな行動もなければ、このオヤジ、まったくもってつまらない人間だ。
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60年代当時の一般企業では結婚して子どもが出来たら女性は仕事を辞めて家庭に専念することを求められました。東映動画でも同様でしたが、当時のそんな風潮に反旗を翻したのが奥山さんでした。東映動画の女性アニメーターで結婚後も旧姓で仕事を続けたのも、出産後に子どもを連れて出社したのも奥山さんが最初です。
自分なりの信念を貫き行動し、自分自身で道を切り拓いていくということが、いかに難しいことか・・・。
それを奥山さんは、凛とした態度で実現していきます。そしてそこには生涯のパートナーであった、良き理解者の小田部さんの存在がありました。
小田部さんのお仕事はご存知の通り、今の日本のアニメーション界やゲーム界の礎となるものです。そして、そこには必ず奥山さんの存在がありました。
(「あとがき」より)
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いつしか朝ドラのモデルうんぬんはどうでもよくなり、「聞き書き」を読みいっていた。
『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』(小田部羊一、聞き手藤田健次)、その読後感、じつにさわやかなり。
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