某公園の園路階段改修の設計&見積りを頼まれた。
さてと・・・と、おもむろにCADソフト(Jdraf)をスタートアップし、黒い画面に線を引こうとしてふと考えた。
「どうせ3Dにするんだろう?」
別のわたしが問いかける。
そうか、2Dにする必要はないのだ。いきなり3次元にすればよいのだ。
「(仕事のやり方を変えるのは)そうそう簡単ではないわな」と苦笑いしつつ、Jdrafを閉じ、SketchUpを起動した。
対象となるのはそう難しいオブジェクトではない。作図も簡単だ。ほどなくして完成した。
描いているあいだじゅう、施工のことを考えていた。
「待てよ、このやり方はちがうんじゃないか?」
「ここはどうやってやるんだ?」
アタマに描いていた施工方法が、この場合の最善ではないことに気づく。
2次元図ではそこまでイメージがふくらまない。製図は、脳内イメージを図化する作業ではあるけれど、それは文字どおり「図化」に過ぎないのであって、イメージを具体的なものにする作業ではない。それに比して、三次元図(3Dを「図」というのかネ)の作成はずいぶんと趣きが異なる。PC上というバーチャルな空間ではあるけれど、「具体的なカタチをつくる」という行為をしていると、現場のイメージがどんどんふくらんでくるのだ。
わたしが施工屋だからなのだろう。
「施工」のことをあまり知らない人だとこうはいかないはずだ。
たとえばCIMの効能としてよくいわれるところの配筋干渉チェック。初めて配筋モデルを3Dでつくったときに疑問に思ったことがある。
「これって、鉄筋を組み立てたことがない人がつくったとしても、本当の意味での不具合はわからないんじゃないだろうか?」
「自分で組む順番をアタマに描いてアタマのなかで組みながら配筋モデルをつくらないことには、意味がないんじゃないだろうか?」
「してみると、世に言うところの配筋干渉チェックは、本当の意味ではチェックできてない場合のほうが多いのかもしれんな」
などなど。
そんなこんなを踏まえて、やはり施工屋は3Dモデルを描くべきだと強く思う。
手間と時間はかかる。
しかし、なんだってハナはそうだ。スキルが身体に入るまでは、そう簡単にはいかない。だが、つづけていると徐々にサマになってくる。アタマが覚え手が覚え身体が覚えてくるとなんとかなってくるものだ。
それでも、手間も時間もかかる。
「そんな余計なものを」
「他にやることは山ほどある」
たしかに、おっしゃるとおりかもしれない。
かくいうわたしもまた、基本的には「3Dオペレーションは専従者を置いたほうがよい」という考えである。しかし、だからといって、施工屋が「描かなくていい」という話にはならない。施工屋は3Dモデルを描くべきだ。局所的でいい。部分的でいい。ターゲットをしぼってでいい。3Dモデルを描くべきだ。なんとなれば、アナタもわたしも3次元でものごとを考えている。2次元図は、それを「ある断面」として切り取ったものにすぎないのだ。そもそもは地球上にある物体は3Dなのである。3次元で考え→2次元で図化し→3次元のモノをつくるという従来の方法は、迂回した仕事の仕方であって自然な方法ではないことを承知していなければならない。
となれば答えはひとつ。
少しずつでもいいからシフトチェンジすることだ。
ゆる~くてもいいからCIMすることだ。
「えぶりばでぃ、れっつとらい!」なのである。
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