ある現場の総合工程表。
同業の皆さんなら説明は不要だろう。
横線は作業の日数を表していて、
そして、下にある曲線の縦軸は工事の出来高(お金)。
すなわち、これで判るのはどれだけの金目を消化しているかであって、
どの作業が工期に影響を与えるのかはわからないし、
厳密にいえば、工事が進んでいるのか遅れているのかもわからない。
なにより、作業と作業の間の「つながり」がわからないので、
何がどうしてどうなってああなってこうなるのかが、この工程表を見ただけではわからない。
「つながり」がわからないということは、これを土台として話し合いができないということであり、
すなわち関係者がコミュニケーションを図るための道具としては、まったく用をなさないということである。
「そんなことがわかっていてなぜ?」
と思うアナタは正しいが、これで管理しなさいと官から義務づけられているのだから、
たかが私ごときが否定はできない。
(公共工事の場合は)否応なしにつくる必要があるのだ。
一方、これ。
CCPM工程表。
同じ工事のものである。
まずもってヴィジュアルが大きく異なるのは、作業項目の数。
上の総合工程表の作業の項目が約20なのに対し、
(それでも5,000万円ぐらいの工事にしては多いほうだと思う)
ここでは100を超えている。
それだけ詳細に積み上げているという表れである。
しかし、本当の意味でこの工程表が優れているのは、
作業と作業の「つながり」を基本としてつくられているということであり、
そのおかげで(直接的に)工期に影響を及ぼす作業や、作業間の因果関係が理解しやすいという点にある。
ということは、コミュニケーションツールとしての威力も持っているということ。
だが、ここまでならネットワーク式工程表と変わりはない。
最大のポイントは、各作業のつながりの最後尾に置かれたプロジェクトバッファ。
一つひとつの作業日数を見積もるときにとる安全余裕(バッファ)を、各作業から引き離して、
プロジェクトでもっとも守られるべきもの、すなわち納期の前にまとめておいて、
一つひとつの作業の進捗ではなく、バッファの増減でプロジェクト全体の工程を管理する。
価値を見出さない人にとっては「たかが」だろうが、
私にとっては「されど」。
いやいや伝家の宝刀なのである。
これがクリティカルチェーン・プロジェクト・マネジメント(CCPM)、
(今ここにいる私の)原点であり、最大の武器。
今さらながらではあるが、そう感じさせてくれることがつづき、
あらためて書き留めておこうと、そう思い立った。
長いことやっていればマンネリにもなり、
いつもいつでもテンションとパッションが持続でき得ないおのれに対し、
自戒をうながす意味も込めて。
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