腐った林檎の匂いのする異星人と一緒
34 ゲーム(STAGE34 絶望の滝)
偏見の洞窟を潜り抜け、希望の丘を浮かれた鞠のように弾んで下る。美化された怨念の浅瀬を滑るように渡ってから、粘る屈辱の沼を迂回し、氷のように冷たい清浄の池で喉を潤す。ああ。悲嘆の鳥の独演に耳を傾けている余裕はない。ややこしいだけの凡庸草が絡みつき、その棘が薄ペラな衣装をずたずたに切り裂く。肌には無数の傷が刺青のように残る。無念の赤。自恃の赤。懐旧の夕陽が俯く横顔の輪郭を溶かす頃、蒙昧の根に躓き、あなたは倒れる。
絶望の滝は近い。
元刑事が蒙昧の根を拾い、科捜研へ送る。科捜研は、それをごみ処理場へ送る。
(続)