ヒルネボウ

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腐った林檎の匂いのする異星人と一緒 34 ゲーム(STAGE26 地下広場)

2024-01-13 00:09:50 | 小説

 

   腐った林檎の匂いのする異星人と一緒

    34 ゲーム(STAGE26 地下広場)

広場に人々が集まっている。がやがや。

「地上で何か起きているのか」

「何も起きてない」

「じゃあ、なぜ、私たちはここにいるの」

「知るもんか、私たちのことなんか」

「自分のことで精一杯なの」

「災害が起きているそうだ」

「災害は副次的現象だ」

「戦争やってんじゃないか」

「野蛮国が攻めてきたんだ」

「異星人の暴動だな」

「異星人なら、ここにもいるぞ」

「今来たあの女が怪しい」

「でも、頭がある」

「作り物さ」

「可愛過ぎる」

「容貌で判断するのは差別だよ」

「科学的根拠を示せ」

「首切ろう」

「本物なら血が出るよね」

「その血だって作り物さ」

「トマジュ」

「嘗めて血液型、わかる人、いますか」

がちゃがちゃ。

彼らは仮面を被っている。安っぽい反射光。ぎらぎら。正体不明。異星人と一緒。

彼らは、いつも同じことしか言わない。何度か尋ねたら、有益な情報を得られるのかもしれない。けれども、誰に何を何度尋ねたかなんて、覚えていられない。時間が惜しい。

ホップ・ステップ・アンド・ジャンプ! 

人垣を跳び越え、閉鎖された改札口を軽く跳び越え、歩廊を一気に越えて線路に着地し、両手を広げる。どこからともなく拍手が送られている。

線路の右と左のどちらかが地上に通じている。地上は明るいが、危険だ。地下は安全だが、暗い。

あなたは、右と左、どちらを選びますか。

あなたのいなくなった広場で、人々が『嘘の月』を歌い始める。

(続)


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