(書評)
たなかてつお『不屈の大空 飛翔編』(学研パブリッシング)
戦争を知らずに育った人が平和の歌を歌うのは僭越だ。また、戦災体験者が戦争を知っているとは言えない。
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1機でも多くの敵機を撃ち墜とすことが 親兄弟を 郷土を守ることと信じ 空戦技術の上達のため あらゆる努力をし こうして 生きながら得(ママ)ております
あの空戦の中 多くの戦友が死んでいきました 思い上がった 当時の軍閥や官僚たちの暴走によって 引き起こされ あんな理不尽な戦争で 命を落とした英霊たちが 靖国神社に祀(まつ)られても その御霊(みたま)が 果たして鎮(しず)まることが できるでしょうか? 太平洋戦争には まだ 決着がついてはいません! 戦争を起こした真の原因を 闇に葬り去れば 日本は また 同じ過ちを繰り返すことになるでしょう
(『不屈の大空 飛翔編』「最強のゼロ戦乗り 坂井三郎」坂井の講演より』
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〈過ちは繰り返さない〉といった祈念は、「真の原因」が暴かれない限り、ただの夢だ。
GOTO 『夏目漱石を読むという虚栄』1342 常識としての美談夏目漱石を読むという虚栄 1340 - ヒルネボウ (goo.ne.jp)
(終)