腐った林檎の匂いのする異星人と一緒
34 ゲーム(STAGE13 忘れられた炎)
歌に合わせてあなたは踊る。そして、音を導く。
空き缶にたくさんのGが投げ入れられる。
歌は終わる。いつの間にか、終る。
余韻。
御辞儀。そして、一回転半。
向き合うと、偽廃兵は、お礼に物語を聞かせてくれる。伴奏付き。
「忘れられた炎? それは君だろう。いや、答えなくていい。兄貴が家を飛び出したのも、地下迷路をさまよったのも、異星人から指鉄砲を借りたのも、君のためだろう。大海原に乗り出したのも、きっと、そうさ。草木は眠るのに、兄貴は眠らなかった。君がいつ通りかかるか、わからないから」
円盤が音もなく接近する。
「あるいは」白濁していない方の目を細める。「君が探しているのか、兄貴を」
あなたは、この物語を最後まで聞きますか。あるいは、この物語に潜り込みますか。
(終)