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ヒルネボウ

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『冬のソナタ』を読む 「影の国へ行った人」(上p33~59) 1 「初めて」を聴きながら

2022-03-08 23:35:23 | 評論

   『冬のソナタ』を読む

    「影の国へ行った人」(上p33~59)

1 「初めて」を聴きながら

チェリンはよくやってくれるよね。

 

<「本当に酷い子ね。あなたに会いに行く途中で事故に遭ったらしいじゃない。なのに、あなたよく平気でいられるわね。泣くのが普通でしょ!」

チェリンがありったけの怒りをユジンにぶつけたが、ユジンは何の反応も見せなかった。ユジンは、ジュンサンが死んだことが信じられなかったのだ。

(上p36-7)>

 

「ジュンサンの死んだことが信じられなかった」のは「普通」かもしれない。ユジンにとって。また、チュンサンにとって。

 

<ユジンはそのテープをカセットプレーヤーに入れ、スタートボタンを押した。すると、ピアノが奏でるメロディーが部屋中に広がった。

以前、ジュンサンが演奏してくれた「初めて」という曲だった。

(上p38)>

 

何が「初めて」なのか、二人は知らなかった。「初めて」だったから。

 

<ユジンは「初めて」を聴きながら思い出の中のジュンサンと会っていた。

(上p38)>

 

さあ、「初めて」の物語が始まるよ。

 

<小さな家がひしめく春川(チュンチョン)のとある街並を、ひとりの女子高生が猛スピードで走り抜けて来た。

(上p39)>

 

誰かな。チェリンかな。ユジンかな。

誰でもいいから潜り込め、「猛スピード」で「初めて」の「思い出の中」へ。

(終)