前回は西洋の教会旋法の一つである「フリジア旋法」と「平調子」に関連性があるのでは?と言う推測をいたしました。それは単なる音のつながりだけで無く聴覚的に日本人に馴染むと感じることも述べさせていただきました。
音の並びだけ見れば「平調子」はこの非ヨーロッパ的で不安定な旋法から音を選択したものと言えますが、その選択の仕方は調性上の解決の可能性を内包した第三音ははずしてしまい、ヨーロッパ音楽やジャズでは不安定と考え避けてきた「フラットした第二音」をあえて鳴らすと言う特徴があります。
教会旋法の世界でのフリジア旋法の評価は先に述べたとおり「天と地の間に浮かびながら停止する」と言うものでした。
フリジア旋法がそう評価されそう感じられているのであれば、平調子はそれを更に超え「天と地の間で永遠に安定することを放棄した旋法」と評していいのではないでしょうか?
私はそう感じますね・・・。
日本の平調子には安定への可能性を拠り所とするより、ただひたすら「天へと浮かぶこと」「神に近づくこと」を願った古代人の潔い心が込められているのです。
と言う事で「平調子」「雲井調子」を使った自作のフュージョンです。琴が弾くテーマとアドリブは邦楽旋法のみ使用しています。欧米人と違いことさらエキゾチックにせずむしろ邦楽旋法でいかに都会的に創るかに重点を置いているのが特徴です。
*なおこの考察は完全な私見であることをご了承の上でお読みくださるようお願い申し上げます。